ピックルボールの伸びが速い国を数字で並べると、上位10か国がすべてアジアに入った。評価システムDUPRが直近12か月の新規ユーザー増加をもとに集計したランキングを、米メディアThe Kitchenが公開したものだ。首位はフィリピンで年間1213%、日本は5位に入り伸び率は170%だった。世界の競技人口の話題が北米中心だった数年前と比べ、増加のエンジンがアジアに移りつつある構図が見える。日本のコートで打つ側にとっても、対戦相手や用具、大会の広がりが今後どう変わるかを占う材料になる。
伸び率トップ10がそろってアジアに並んだ
The Kitchenがまとめたのは、DUPRに登録された新規ユーザー数の12か月間の伸び率だ。競技人口の絶対数ではなく「増え方の速さ」で並べているため、母数が小さい新興国ほど高い数字が出やすい。それでも10か国が例外なくアジアだったという結果は、地域全体で入口が一気に広がっている状態を示す。DUPR自身もブログで、アジアの複数国の伸びが直近の米国を上回っていると説明している。
日本は5位。フィリピン、インドネシア、中国、インドという人口規模の大きい国に続く位置で、韓国やタイ、マレーシア、ベトナムを上回った。アジアの勢力図はDUPRが映すアジアの順位で韓国・マレーシア・ベトナムが急伸したという流れと重なり、日本もその上昇組の一角にいる。
フィリピンの1213%が示す新興国の伸びしろ
首位フィリピンの1213%は、他国と桁が違う。2位インドネシアが405%、3位中国が183%、4位インドが182%と続き、5位以下は100%台に収まる。フィリピンは自国ブランドのSmash Republicが立ち上がったように、用具の内製化やプロ選手の登場が同時に進んでおり、競技の入口から出口までが短期間で整った。数字の跳ね方は、遅れて火がついた市場が一気に立ち上がるときの典型的なカーブに近い。
日本の170%はこの爆発的な新興国群には及ばないが、すでに一定の競技人口を抱えたうえで7割増を記録した点に意味がある。母数が育った市場で高い伸びを保つのは、ゼロから跳ねる新興国より難しいからだ。
DUPRが集計した10か国の伸び率
| 順位 | 国 | 12か月の伸び率 |
|---|---|---|
| 1 | フィリピン | 1213% |
| 2 | インドネシア | 405% |
| 3 | 中国 | 183% |
| 4 | インド | 182% |
| 5 | 日本 | 170% |
| 6 | タイ | 170% |
| 7 | 韓国 | 159% |
| 8 | シンガポール | 153% |
| 9 | マレーシア | 120% |
| 10 | ベトナム | 110% |
※出典はDUPRの新規ユーザー12か月データ(The Kitchen報)。競技人口の総数ではなく増加率のランキング。
日本の170%は世界のどのあたりか
170%という数字を、日本の現場感覚に置き換えてみる。三井不動産が豊洲に都内初の常設コートを開いたように、この1年で商業デベロッパーや自治体が相次いで常設コートを整備した。無料体験会に定員の何倍もの応募が集まる例も各地で起きており、登録ベースの170%増はこうした肌感覚と矛盾しない。
同率6位のタイ、7位の韓国と1桁台の差で並んでいることも見逃せない。アジアの中位グループは団子状態で、来年のわずかな施策の差で順位が入れ替わる余地が大きい。ダナンのワールドカップで日本が世界ベスト4に入ったような競技面の実績が、登録者の伸びをさらに押し上げる循環に入りつつある。
用具メーカーと施設運営が次に動く場所
増加率の地図がアジアに寄ったことは、用具ブランドや施設事業者の投資判断に直接効いてくる。パドルや練習球のメーカーにとって、伸び率上位の市場は新規購買が生まれやすい。日本はすでに輸入パドルの選択肢が増え、屋内球のような細分化した製品も入ってくるようになった。競技人口の伸びが続けば、日本語対応のサポートや国内在庫を持つ動きが加速する。
施設側では、増加率が高い市場ほど「打つ場所が足りない」課題が先鋭化する。アジア各国が同時に施設不足に直面すれば、コート設計や運営ノウハウの共有、コーチの往来といった地域内の連携が現実味を帯びる。日本のプレーヤーは、海外遠征や国内での国際大会でアジア勢と当たる機会が増えるとみておくのが自然だ。
数字を追いかける前にプレーヤーができること
ランキングは市場の温度計であって、明日の自分の上達を保証するものではない。とはいえ伸びる市場では、初心者向けの体験会、中級者の練習会、上級者の大会という段階が短期間でそろっていく。日本もその途上にあり、今のうちにDUPRの登録と試合履歴を積んでおけば、増える大会のエントリーやレベル別の組み合わせで有利になる。
次の一手としては、近隣の常設コートや体験会でDUPRレートを取り、アジアの大会日程を意識して練習計画を立てることだ。増加率で世界5位という位置は、国際大会の誘致や海外選手の来日を呼び込みやすい土台になる。数字の後ろにある「対戦相手が増える」実感を、コートで先取りしておきたい。
参照元
The Kitchen「10 countries where pickleball is growing fastest」

