フランクリンが女子世界ランキング1位のアナ・リー・ウォーターズと組んだ署名パドル「C45」を投入した。米ピックルボール専門メディアThe Dinkが8月12日に取り上げたこのモデルは、彼女が競技で使う前から開発に関わり、そのまま試合で握り続けているのが売りだ。トップ選手が用具の設計段階から入る流れは日本でもミズノや三谷産業の参入で身近になりつつあり、C45は「選手が形を決める」時代の中身を具体的に見せてくれる。日本のプレーヤーが道具選びで何を基準にするか、その手がかりが詰まっている。
ウォーターズが競技投入前から関わり、そのまま使い続けた署名モデル
C45はウォーターズのシグネチャーとして発売された。The Dinkは「アナ・リー・ウォーターズはC45を試合で使う前から、その形づくりに関わった。そしてそのまま使い続けた」と紹介している。名前を貸すだけのタイアップと違い、彼女が普段の試合で選んだ現物がそのまま製品化された点が核だ。世界最上位の選手が量産モデルにゴーサインを出すには、面の当たりや手元の速さまで自分の基準を通す必要がある。サッカー由来の予測力で球が来る前に動くウォーターズのプレースタイルを踏まえると、この署名モデルが速い展開を前提に組まれているのは筋が通る。
「C45」の45は表面の45度ピールプライ、T700カーボンで回転を掛ける
製品名の「45」は面の加工角度から来ている。表面素材はT700カーボンで、45度方向のピールプライ(織り目)テクスチャーを入れてボールを噛ませ、回転を掛けやすくしている。The Dinkは「滑らずに食いつくテクスチャードカーボン面」「接触時にたわんで柔らかい打感と反発を出すフォーム層コア」と表現した。回転量そのものは10月に予定される規制で天井が引かれる見込みで、回転数2100の上限がアジアのパドル工場を揺らす局面にある。表面の食いつきを設計思想の中心に置くC45は、規制後にどこまで通用するかが試される新製品でもある。
5.1インチの長いグリップとオーレリアス型が両手打ちに効く
形状はウォーターズが選んだ「オーレリアス(Aurelius)」型で、全長15.7インチ(約40cm)・幅7.6インチ(約19cm)の細長いシルエットだ。グリップ長は5.1インチ(約13cm)と長めに取ってある。The Dinkの元記事が「あなたのパドルのグリップは短すぎないか」と問うたのはここに関わる。細長い形は面の先端が遠くまで届き、リーチとスイングの速さを稼げる反面、当たりの芯が細くなる。長いグリップはバックハンドを両手で握る選手に余地を作り、手首でなく体で振る打ち方を後押しする。テニスから移ってきた日本の愛好者には、両手打ちを残したままピックルに入る受け皿になりやすい形だ。速い手元を最優先にした形の選択が、この一本には表れている。逆に片手のフリックで細かく散らす人には、面が長い分だけ操作が重く感じる場面も出てくる。
12.7・14・16mmの3厚、フォームチャンネルで芯を広げる
コアはPowerFlexポリマーで、厚みを12.7mm・14mm・16mmの3種から選べる。内側に広げたフォームチャンネルで構造を補強しつつスイートスポットを広げる作りだ。厚みの違いは打感と許容度を分ける。日本のプレーヤーがどれを取るかの目安を整理した。
| Core thickness | 打感の傾向 | 向くプレーヤー |
|---|---|---|
| 12.7mm | 反発が強く球離れが速い | 攻めの速さと弾きを重視する人 |
| 14mm | 反発と操作性の中間 | 攻守のバランスを取りたい人 |
| 16mm | 手元でボールを持ちやすく許容度が高い | コントロールと安定を優先する人 |
厚みごとの傾向は一般的なパドル特性に基づく編集部の整理。重量は全体で7.2〜8.0オンス(約204〜227g)。
日本のプレーヤーがC45の設計から持ち帰れること
価格は約229.95ドル(約3万4千円、1ドル148円換算の概算)で、USAピックルボールとUPA-Aの両認証を取得している。着目すべきは、トップ選手が名前を出す条件が「面の食いつき」「フォームコアの柔らかい打感」「ネット際の手の速さ」という具体に絞られている点だ。生の反発力より速い手元を上に置く優先順位は、ハニカムからフォームコアへ主役が替わり始めたパドルの流れとも重なる。同じフランクリンでも若手のパトリキンに賭けた署名モデルとは狙いが違い、C45は完成された世界1位の要求を量産に落とし込んだ一本だ。国内で入手する際は、まず自分の握りに合うグリップ長と厚みを店頭で確かめ、面の食いつきが10月の回転規制後も生きるかを見極めたい。用具選びで迷ったら、スペック表より「誰が何を優先して作ったか」を読むほうが早い。
