アシックスが2026年9月18日(金)から27日(日)までの10日間、東京・日本橋の広場「福徳の森」にピックルボールコートを1面設ける。「ASICS PICKLEBALL CONNECT」と名づけたこの企画は、パドルもシューズも無料で貸し出し、事前予約もいらない。仕事帰りに手ぶらで立ち寄り、10分だけ打って帰る——そんな遊び方を街のど真ん中で試せる。競技を始めたい人の入口が、体育館の予約表から通勤路のわきへ動いた出来事として読める。
日本のピックルボールはこの1年で常設施設が一気に増えた。三越前駅から歩いて2分の一等地に、スポーツ用品大手が自社ブランドで無料コートを置く意味は小さくない。
福徳神社の隣で10日間、手ぶらでコートに立てる
会場の福徳の森は、福徳神社に隣接する日本橋室町の広場だ。東京メトロ三越前駅A6出口から徒歩約2分、JR新日本橋駅からも徒歩約2分と、乗り換えのついでに寄れる立地にある。開放時間は平日が16時から21時、土日祝は13時から21時。9月21日の敬老の日、22日の国民の休日、23日の秋分の日はいずれも13時開場で、連休をまるごと使える。
参加費は完全無料で、当日先着順。中学生以上なら一人で参加でき、小学生以下は保護者の同伴が条件になる。コートは1面のみで、1回10分の交代制、混み合うときは5分に短縮する。1組は最大10名まで入れるため、同僚同士や家族連れでもまとまって遊べる。
借りられる用具の中身
貸出品はパドルとシューズの両方。シューズは22.5cmから30.0cmまでフィッティングに対応し、競技用の「GAME FF PICKLEBALL」や「SOLUTION SPEED FF 4」を試し履きできる。ピックルボール専用シューズを履いて動く体験は、自前の運動靴とは横方向の止まりやすさが違う。用具を売る会社が入口を無料で開けている構図が、ここに凝縮されている。
米国で5年動いたアシックスが街中に降ろした一面
アシックスは2021年から米国でピックルボール事業を展開してきた。全米で急速に伸びた競技に用具メーカーとして関わり、その知見を日本国内へ持ち込む初の都市型コートが今回の企画にあたる。海外で積んだ経験を、日本橋という象徴的な場所で一般客に開くかたちだ。
常設施設の整備も同時に進んでいる。三井不動産は豊洲に都内初の常設ピックル場を屋外4面で開業しており(三井不動産が豊洲に都内初の常設ピックル場、屋外4面を9月9日開業)、稲城の商業施設には買い物ついでに打てる日本初の常設屋内コートも生まれた(買い物ついでにピックルボール、稲城の商業施設に日本初の常設屋内コート)。不動産が「場所」を用意する動きと、用具メーカーが「道具と体験」を用意する今回の動きは、方向が違うようで同じ入口づくりへ向かっている。
10分交代・1面で1日に何人さばけるのか
1面・10分交代という条件は、無料開放としては手厚い。平日は5時間、土日祝は8時間の開場時間があり、1組最大10名で回る。単純計算では平日で30組前後、土日祝で48組前後が入れ替わる勘定になり、混雑時に5分へ短縮すればさらに回転が上がる。数字を並べると、10日間で延べ数千人規模が初めてのパドルを握る計算が立つ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会場 | 福徳の森(東京都中央区日本橋室町2-5-10) |
| 期間 | 2026年9月18日〜9月27日の10日間 |
| 時間 | 平日16:00〜21:00/土日祝13:00〜21:00 |
| 参加費 | 無料(予約不要・当日先着) |
| 貸出 | パドル・シューズ(22.5〜30.0cm) |
| コート | 1面/1回10分交代(混雑時5分)/1組最大10名 |
初心者が最初の一本で帰らない工夫
ピックルボールの敷居の低さは、コートがテニスの約3分の1で、ボールが穴あきプラスチックのため飛びすぎない点にある。ラリーが続きやすく、初対面同士でも10分で打ち合いが成立する。今回の企画が10分という短い区切りを置いたのは、待ち時間を減らして「もう一回やりたい」を引き出す狙いと重なる。
愛好者の間では、体験会の初回でどれだけ楽しさを持ち帰れるかが定着を左右する、という見方が根強い。定員60人の女性向け体験会に1000人超が応募した事例もあり(定員60人に1000人超、Oggiの体験会が示した女性人気の数字)、入口の需要は明らかに供給を上回っている。無料・手ぶら・予約不要という三拍子は、その需要を取りこぼさないための仕組みだ。
用具メーカーが入口を握れば最初のパドルは自社ブランドになる
用具メーカーが自ら無料コートを開くと、初心者が最初に触れるパドルとシューズがそのブランドのものになる。テニスやランニングで培ったフィッティングの資産を、立ち上がったばかりの競技へ横展開できる。競技人口が増えれば専用シューズという新カテゴリーの市場も膨らむため、入口への投資は将来の販売につながる。
現場では三つの層が見込まれる。一つ目は近隣で働く会社員で、仕事帰りの短時間運動として使う層。二つ目は用具の買い替えを検討する既存愛好者で、新作を試し履きする場として使う層。三つ目はSNSに写真を上げる層で、フォトスポットの設置はこの拡散を織り込んでいる。無料開放は集客イベントであると同時に、ブランド想起を街なかに刷り込む販促でもある。
行く前に押さえる日時とアクセス
当日先着のため、平日は開場直後の16時台、土日祝は昼過ぎの混み合う前が狙い目になる。持ち物は基本的に不要だが、汗をかくため着替えやタオルはあると安心だ。シューズは足のサイズを伝えればフィッティングしてもらえる。小学生以下を連れる場合は保護者の同伴を忘れずに。
この10日間をどう使い倒すか
始めたい人にとって、無料でパドルとシューズまで借りられる10日間は、道具を買う前に競技が自分に合うかを見極める好機になる。まずは同僚や家族と最大10名の枠で予定を合わせ、平日夜か連休の昼に一度立ってみる。合うと感じたら、豊洲や稲城の常設コートへ足を運んで続ける導線がすでに用意されている。街の広場で握った一本を、次の一歩へつなげる10日間だ。

