淡路島の西海岸に、サウナと海辺の温浴施設が新しく生まれた。2026年7月17日にオープンしたSUNAMERI(スナメリ)Spa&Saunaは、瀬戸内海に沈む夕日を眺めながらととのう施設だが、注目したいのは水風呂やサーマルスプリングだけではない。スパのすぐ隣に、ピックルボールを打てる屋外コートが用意されている。温浴とサウナで人を集めるリゾートが、その敷地の一角にラケットスポーツを差し込んだ格好だ。日本のピックルボールがどこで根付いていくのかを考えるうえで、この「温浴リゾート発」の広がり方は、施設を運営する事業者にとって参考になる。
スパのそばに、屋外のコート
運営は飲食・空間プロデュースを手がける株式会社バルニバービ。場所は同社が淡路島西海岸で進める滞在型エリア「Frogs FARM ATMOSPHERE」の中で、住所は兵庫県淡路市郡家1107-3にあたる。SUNAMERIは1階に男女別の内湯、2階にサウナとサーマルスプリング(温浴スパ)を配し、海と一体になるインフィニティデザインを売りにする。そのスパのすぐ近くに、屋外のピックルボールコートが設けられた。
コートの利用は当日受付制で、事前予約はいらない。受付は近隣のショップ「IrregularGarage」が担い、パドルとボールの貸し出しもある。手ぶらで訪れて、入浴の前後に海風の中でラリーを楽しむ、という組み立てが最初から想定されている。温浴施設に併設されたスポーツ設備として、湯とコートを行き来しやすい。
「ととのう」と「動く」を1か所で
温浴やサウナは、それ自体が強力な集客装置になる。だが滞在時間を延ばし、リピートやグループ利用を生むには、湯上がりに「もう一つやること」があると効く。SUNAMERIがピックルボールを選んだのは、この競技が持つ入口の低さと相性がいいからだろう。ルールが単純で、テニス経験がなくてもすぐ打ち返せる。4人集まればダブルスが成立し、体力差があっても一緒に楽しめる。家族連れやグループでリゾートを訪れる層に、サウナのついでに手を出してもらいやすい。
この「既存の集客資産にピックルボールを足す」発想は、単独では珍しくなくなってきた。テニススクール大手のノアが自社のノウハウにサウナを掛け合わせて新しい層を取りにいく動き(テニス大手ノアが挑む、ピックルボール×サウナで作る新市場)と、SUNAMERIの構えは方向が近い。サウナとピックルボールという組み合わせに、複数の事業者が同時期にたどり着いている。
料金設計は「気軽さ」に振っている
SUNAMERIの料金は、スパとコートで別建てになっている。ピックルボールコートは時間貸しで、温浴料金には段階が用意されている。
| 利用対象 | 料金(税込) |
|---|---|
| Pickleball courts | 1時間 1,000円/1グループ |
| 温浴(大人・通常) | 2,500円 |
| 温浴(大人・オープニング/宿泊者) | 2,000円 |
| 温浴(小学生以下・通常) | 1,250円 |
コートが1グループ1時間1,000円という時間貸しは、本格的な専用コートの料金と比べても軽い。競技として打ち込む場所というより、温浴利用のついでに数人で体を動かす気軽なお試しとして値付けされている。スパ利用券とのセットプランも用意され、湯とコートを回遊させて滞在単価を上げる構えだ。
「大型施設」でも「都心1面」でもない第三の型
日本のピックルボールコートの増え方には、いくつかの型がある。広い土地に何十面も並べて聖地を目指す動き(20面の温泉リゾート、伊豆稲取が日本最大のピックル聖地になる日)があり、都心の遊休スペースに1面だけ差し込む身軽な出店もある。SUNAMERIはそのどちらとも違う。目的地としての温浴リゾートに、屋外コートを添えるという型だ。
この構えは、富士急がラケット施設の中でピックルボールを数あるアクティビティの一つに据えた例(富士急が全天候ラケット施設、ピックルを7種の一つに据えた狙い)とも通じる。主役はあくまでリゾート体験で、ピックルボールはその滞在を豊かにする一要素として置かれる。競技人口を直接増やしにいくというより、まだ打ったことのない層に最初の一打を届ける役回りだ。
温浴×スポーツが、地方リゾートの武器になる
SUNAMERIが面白いのは、淡路島という観光地の海辺という立地でこれをやっている点だ。都市の屋内施設と違い、屋外コートは海や夕日という景観をそのまま価値に変えられる。サウナで人気の「外気浴」と、屋外でのラリーは体験として地続きだ。温浴・サウナで集めた客に、追加投資の小さい屋外コートで滞在の理由をもう一つ渡す――このモデルは、全国の温浴・グランピング・リゾート施設に横展開が効く。
裏を返せば、屋外コートは天候と季節に左右される。海辺の特設コートを年間どう回すか、雨天や冬場の稼働をどう設計するかが、事業として続けるうえでの分かれ目になる。温浴という天候に強い本体があるからこそ、コートは「晴れた日のプラスアルファ」として無理なく置ける。まずは併設で試し、手応えを見て設備を厚くしていく段階的な入れ方が、リゾート型では現実的だ。
訪れる前に知っておきたいこと
| Facility Name | SUNAMERI(スナメリ)Spa&Sauna |
|---|---|
| Operator | 株式会社バルニバービ |
| Location | 兵庫県淡路市郡家1107-3(Frogs FARM ATMOSPHERE内) |
| Hours | 9:00〜23:00(最終入店22:00)/定休日なし |
| Pickleball | 屋外コート・1時間1,000円/1グループ・パドル/ボール貸出あり・当日受付(IrregularGarage) |
| 温浴料金 | 大人2,500円/小学生以下1,250円(オープニング・宿泊者は各2,000円・1,000円) |
| 駐車場 | Free |
| Open | 2026年7月17日 |
Summary
SUNAMERIは、温浴・サウナという定番の集客装置に、屋外のピックルボールコートを添えた滞在型リゾートだ。1グループ1時間1,000円という気軽な値付けと当日受付は、競技者を囲い込むためのものではなく、まだ打ったことのない層に海辺で最初の一打を届けるための設計になっている。温浴やグランピングを運営する事業者にとっては、屋外の遊休スペースにコートを1つ足すだけで滞在の理由を増やせる、投資の小さい打ち手の実例になる。淡路島を訪れるなら、サウナでととのったあとに海風の中で1時間、仲間とラリーしてみるところから試したい。次に増えるコートは、大型施設よりも、こうした「リゾートの片隅」から生まれるのかもしれない。
Source:株式会社バルニバービ プレスリリース(PR TIMES) / SUNAMERI Spa&Sauna 公式サイト
