長野県軽井沢町の軽井沢プリンスホテルスキー場が、雪のない緑の季節に屋内のアクティビティホールをピックルボール用のコートとして開いている。西武・プリンスホテルズ&リゾーツが2026年7月31日に公表した内容によると、導入は8月1日から始まり、11月23日までを予定する。雪上リゾートが競技シーズンの外側で施設をどう回すかという問いに、日本を代表する避暑地が緑の季節の使い道を具体化した。遊休空間の使い道を探す国内の運営者にとって、見ておく価値のある一手だ。
スキー場が夏に開いた屋内コート
舞台はゲレンデそのものではなく、場内の「アクティビティホール」と呼ばれる屋内施設だ。ここにコートを設けることで、天候に左右されずにプレーできる環境をつくった。利用は8時から17時まで、料金は1面1時間5,000円と案内されている。パドルで穴あきボールを打ち合うピックルボールは、テニス・バドミントン・卓球の要素を併せ持ち、コートはテニスの約3分の1の広さで足りる。屋内ホールに複数面を割り付けやすい競技特性は、スキー場が抱える空きスペースと相性がよいと見られる。
「テニスの聖地」で新競技を足す意味
軽井沢は1890年代に町で初めてのテニスコートが置かれ、日本でも古い部類のトーナメントが開かれてきた土地だ。プリンスホテル側もこの歴史を踏まえ、ラケットスポーツの文脈にピックルボールを重ねている。既存のテニス文化を否定せず、その延長線上で敷居の低い新競技を足す。この置き方は、来訪者に「軽井沢らしさ」を壊さずに新しい体験を勧められるという点で理にかなっている。ゼロから施設を建てるのではなく、持っている資産と物語に乗せる発想だ。
オフシーズンの稼働という経営課題
スキー場の売上は、雪の有無で大きく振れる。屋内ホールのような設備は年中そこにあるのに、本来の役割が冬に偏りがちだ。ホールをピックルボールに開く取り組みは、この空き時間を緑の季節にも働かせる試みと読める。北海道のルスツリゾートでは公認8面を使った秋のフェスが企画されており、リゾート地が競技を集客の柱に据える流れは軽井沢だけの話ではない。ルスツの公認8面で開かれる10月のフェスと並べて見ると、雪上リゾートの二毛作という共通のテーマが浮かぶ。
料金・期間・場所の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | 軽井沢プリンスホテルスキー場 アクティビティホール(屋内) |
| 期間 | 2026年8月1日〜11月23日(予定) |
| 営業時間 | 8:00〜17:00 |
| 料金 | 1面1時間5,000円 |
| コートの広さ | テニスコートの約3分の1 |
| 問い合わせ | 軽井沢プリンスホテルスキー場(0267-42-8115) |
1面1時間5,000円という価格は、複数人で分ければ一人あたりの負担は抑えられる設定だ。コートが用意された会場に道具を持ち込めば少人数でも成立するため、家族連れやグループが避暑の合間に立ち寄る使い方を想定していると見てよい。
競技人口の伸びと施設側の読み
プリンスホテルの資料は、日本の競技人口を2024年時点で約5,000人としている。世界と比べれば小さな数字だが、国内の伸びは急だ。世界的な評価システムDUPRの登録動向では、日本は成長率で世界5位に入り、前年から大きく数を増やしている。施設側が今のタイミングで屋内コートを開いたのは、この立ち上がりの角度を見ての判断だろう。成長最速の国が軒並みアジアに並ぶDUPRのデータは、避暑地の一手が思いつきではないことを裏づける。
遊休空間をコートに変える発想の広がり
使われていない空間をコートに変える動きは、リゾートにとどまらない。都市部では百貨店の屋上が期間限定のコートになり、買い物客の回遊を生む実験が続いている。大阪高島屋の屋上でのピックルボールは、商業施設が競技を入口として使えることを示した例だ。軽井沢の屋内ホールも、都市の屋上も、根っこにあるのは「持っている場所の空き時間を競技で埋める」という同じ考え方である。百貨店の屋上を5日間コートにした大阪の試みと読み比べると、業種を越えて手法が共有され始めていることがわかる。
リゾート運営者からどう見えるか
宿泊やゴルフ、テニスといった既存のメニューを持つリゾートにとって、ピックルボールは新設投資が軽く導線に足しやすい競技として受け止められている。ゲレンデや大型ホールのような広い箱を抱える運営者ほど、面を割り付けて短時間から売れる商材の価値は大きい。天候リスクを屋内で吸収でき、初めての人でもすぐ打ち合える手軽さは、滞在時間を延ばす仕掛けにもなる。軽井沢の一手は、雪や芝という自然条件に売上を握られてきたリゾートが、屋内の空き時間を現金化する道筋を具体的に示した点で意味を持つ。今後は料金や面数を各地の需要に合わせてどう最適化するかが、横展開の分かれ目になりそうだ。
訪れる前に押さえておきたいこと
屋内ホールを使うため、雨や気温を気にせず予定を組めるのが利点だ。一方で期間は11月23日までの予定とされ、面数や当日の受け付け方法は公表資料に細かく載っていない。訪問前に軽井沢プリンスホテルスキー場へ直接確認し、面の空き状況と予約の可否を押さえておくのが確実だ。避暑の行程にラケットスポーツを一つ挟みたい人は、8時から17時という時間帯の中で、他のアクティビティと組み合わせて回すと動きやすい。

