渋谷区は2026年9月21日、渋谷区スポーツセンターでピックルボールの無料体験会を開いた。主催は渋谷区、運営を担う主管はティップネス、プロバレーボールチーム東京グレートベアーズが運営するピックルボールクラブ「東京ピックルズ」が協力に入った。パドルを初めて握る人に照準を合わせた一日で、当時の申込受付は9月9日13時から始まっていた。
渋谷を拠点にする三者が別々の役割で一つの体験会を組む形は、都心でピックルボールに触れる入口がどう作られつつあるかを示している。この記事では、当日の中身と当時の申込の段取りを確認し、区・スポーツクラブ・プロチームが分担して普及を回す仕組みを読み解く。

9月21日、渋谷区スポーツセンターで開かれた2部制の無料体験会
会場は渋谷区西原の渋谷区スポーツセンター。祝日にあたる9月21日に、時間帯を分けた2部制で行われた。
- 1部 14:00〜15:30:運動が久しぶりの人を含む初心者向け。小学生以上が対象で、親子で参加できる枠になっていた。
- 2部 15:30〜17:00:初心者から初級者向け。こちらは16歳以上が対象。
各回の定員は40名で、費用はかからなかった。パドルとボールは会場で用意されるため、道具を持っていない人でも手ぶらで加わることができた。1部と2部で対象年齢が分かれていたため、子ども連れなら1部、大人だけで少し打ち込みたいなら2部と、参加者側で選べる設計になっていた。
当時の申込は9月9日13時開始、各回40名の先着枠
受付は9月9日水曜の13時から、ピックルボール専用の申込ページで始まった。定員が各回40名と限られていたため、対象年齢に合った部を早めに押さえておく必要があった。
無料で道具の準備も要らないぶん、都心の休日イベントとしては応募が集まりやすい形式だった。日程と対象を確認し、受付開始の時刻に合わせて手続きするのが確実な方法だった。運動から離れていた人向けの1部は、体を動かすきっかけを探している層と重なるため、家族単位の申込が入ると席が動きやすかった。
主管のティップネスは渋谷区スポーツセンターの指定管理者
運営を担ったティップネスは、この会場と無関係の外部事業者ではない。渋谷区スポーツセンターは、ティップネスが代表を務める共同事業体が指定管理者として運営している施設で、日頃から同社のスタッフが現場を回している。
ティップネスは2025年春にピックルボール事業を立ち上げ、東京タワーの常設コートの運営に加わったり、複数の店舗や公共施設でスクールを開いたりと、パドルスポーツを軸にした展開を続けてきた。渋谷区スポーツセンターでもコーチが常設のスクールを持っている。指定管理者が自前の指導体制を持つ施設だからこそ、単発の体験会でも初めての人にルールと打ち方を丁寧に伝える段取りが組める。
東京グレートベアーズは2022年から渋谷区とホームタウン連携
協力に入った東京ピックルズは、SVリーグに所属する男子バレーボールチーム東京グレートベアーズが立ち上げたピックルボールクラブである。グレートベアーズは2022年に渋谷区とホームタウン連携協定を結び、区民向けの観戦招待や地域でのスポーツ教室を重ねてきた。
バレーボールのプロチームがパドルスポーツのクラブを持つ流れは、以前東京グレートベアーズが渋谷でピックルボールクラブを始動した際に取り上げた。クラブという受け皿を作った次の段階として、区の主催事業に協力の立場で加わり、初めての人が触れる場に選手やクラブの知見を差し込む形になっていた。
クラブ始動と今回の体験会は狙う相手が違う
東京ピックルズのクラブ始動は、継続して打ちたい人が通える拠点を渋谷に置く動きだった。会員として関わり続ける人を想定した器づくりである。
今回の無料体験会は、そこに一歩届いていない層を対象にしていた。パドルを持ったことがない人、運動から遠ざかっていた人、子どもと何か始めたい家庭が、まず一度手を動かしてみる場だった。器を用意する動きと、器の手前にいる人を呼び込む動きは、同じ渋谷・同じ顔ぶれで進んでいても役割が分かれている。区が主催に立つことで、フィットネスクラブの会員でない住民にも案内が届きやすくなる点が、クラブ単独のイベントとの違いになった。
スポーツクラブが自治体施設で体験会を開く背景
公共の体育館でピックルボールの入口が増えている流れは、渋谷に限らない。市立体育館が主催する催しは各地で開かれており、たとえば相模原の市立体育館が10歳から300円で開くピックル体験のように、低い費用と年齢の間口の広さで人を集める形が広がっている。
渋谷の体験会が他と違うのは、施設を運営する指定管理者そのものがピックルボールの指導体制を抱えている点にある。フィットネスクラブは会員向けのスクール運営で指導者と道具を揃えており、その資源を自治体主催の無料枠に転用できる。運動から離れていた住民にコートまで来てもらう入口を、施設側が自前で用意できるわけだ。区は場と告知力を出し、クラブは指導を出し、プロチームは競技の顔として関わる。三者の資源が重なる場所に体験会が置かれていた。
初心者向けの当時の参加ガイド
参加する際の手順は、次の通りだった。
- 対象で部を選ぶ:小学生や運動が久しぶりの人は1部、16歳以上で少し動きたい人は2部。親子なら1部が合った。
- 9月9日13時に申込ページを開く:各回40名の先着なので、受付開始の時刻に合わせて申し込む必要があった。
- 持ち物を軽くする:パドルとボールは会場にある。室内履き、動きやすい服装、飲み物を用意すれば足りた。
- 開始15分前に会場入りする:受付と説明の時間を見込む必要があった。祝日の午後で交通が混む場合もあった。
一人で申し込むことにためらいがあった人向けには、単独参加を前提にした場が他にもある。テニススクールが用意した神戸のオープンプレーのように、知り合いがいなくても加わりやすい仕組みが各地に出てきている。渋谷の体験会も、初めての人を前提にコーチが打ち方から説明する形式だったため、経験者に混ざる不安は要らなかった。
パドル未経験者が当日つまずかないポイント

ピックルボールはテニスより狭いコートで、穴の開いた軽いプラスチックボールを短いパドルで打つ。ラリーがつながりやすく、初めてでも打ち合いが成立する競技だが、当日に慌てないための勘どころはいくつかあった。
- ネット際のノーボレーゾーン:ネットの手前には、ボレーが禁じられた区画がある。ここに入ってのノーバウンド返球は反則になる。最初に説明されるため、まず線の位置を覚える必要があった。
- サーブは下から:肩より下でボールを打ち出す。テニスの上からのサーブとは動きが異なる。
- 力より当てる感覚:ボールが軽いため、振り抜くより面に当てて運ぶほうがラリーが続く。
こうした基本は現地で教わったが、動画や紙の入門書で先に流れを見ておくと理解が早かった。日本語の学び直しの入口としては、日本で初めて出た紙の入門書のような教材もそろい始めている。予習ゼロでも参加できる催しだったが、ルールの骨格を一度見ておくと初回から打ち合いを楽しめた。
渋谷区「思わず身体を動かしたくなる街へ」との位置づけ
この体験会は、渋谷区が掲げる「思わず身体を動かしたくなる街へ。」という方針に沿った連携事業として組まれていた。区が場と告知を持ち、施設運営者が指導を担い、地元のプロチームが競技の入口に立つ。三者の役割が重なる催しは、住民が運動を始めるきっかけを行政単独で作るより厚みを持たせやすい。
渋谷では区の主催で親子向けの無料教室も続いており、以前国際大会の選手が区の無料教室に立つ渋谷の親子ピックルを取り上げた。単発の体験会と継続的な教室が同じ区内で並走することで、一度触れた人が次に通える場へ移りやすくなる。9月21日の各回40名という限られた枠は、その導線の入口にあたった。パドルを初めて握る一日が、渋谷でどれだけの人を次のコートへ送り出したかについては、区や関係機関の公式情報を確認されたい。

