東京・西新宿のヒルトン東京が、ピックルボールとルーフトップビアガーデンを組み合わせた夏季プラン「Pickle & Cheers(ピックル&チアーズ)」を2026年6月17日に開始した。会期は9月30日まで。コートでプレーしたあと、7階のルーフトップテラスでビールやワインを楽しむ流れを、ホテルがひとつの体験商品として束ねた。常設の専用コートではなく、既存のフィットネスとテラスを夏季限定で連結させた点に、コート不足が続く日本ならではの工夫がある。プレーヤーにとっては都心で半日過ごせる新しい選択肢、施設運営者にとっては自前でコートを増やせなくても収益化できるという実例だ。
起点ニュースの要旨
ヒルトン東京が打ち出したのは、平日に5階フィットネスセンターのピックルボールコートでプレーし、そのまま7階ルーフトップのビアガーデンへ流れる一連の過ごし方だ。コートは1面あたり最大4名まで利用でき、平日昼間と夜間で料金が分かれている。プレー後はサウナやシャワーで汗を流し、夕方からは新宿中央公園の緑と高層ビル群を見渡すテラスで乾杯する。ピックルボール利用者にはビアガーデンの優待が付き、スポーツと飲食、ホテルの付帯設備を1日の流れに組み込んだ構成になっている。
なぜ今、ホテルがピックルボールなのか
今回の企画を後押ししたのは、競技人口の急拡大とコート不足という日本特有のねじれだ。米国発祥のピックルボールは世界的に広がり、日本でも商業施設やフィットネスクラブが相次いで参入している。一方で、気軽にプレーできる専用コートはまだ慢性的に足りない。テニスコートの一部を間借りしたり、体育館の時間貸しに頼ったりするケースが多く、「やりたくても場所がない」という声が根強い。
ヒルトン東京が強いのは、その不足を新設ではなく転用で埋めた点だ。フィットネスセンターのコートとルーフトップテラスという既存資産を夏季だけ連結し、西新宿の高層階から新宿中央公園を見下ろす立地を「アーバンリゾート」として価値化した。ピックルボールは初対面同士でもラリーが続きやすく、プレー後の会話が弾む。その社交性をホテルのコア事業である飲食へそのまま接続し、コート代だけでなく飲食まで含めて客単価を作る設計になっている。
料金と内容を整理する
公表されている料金は時間帯と季節で細かく分かれている。ピックルボールはコート単位の課金で、ビアガーデンはプラン制だ。ビアガーデンの金額は、ピックルボール利用者向けに通常料金から15%OFFを適用したあとの優待価格である。
| 項目 | 区分 | 料金(税・サービス料込) |
|---|---|---|
| ピックルボール | 平日7:00〜18:00/60分・1コート | 6,000円 |
| ピックルボール | 平日18:00〜21:00/60分・1コート | 8,000円 |
| ビアガーデン(6・9月) | レギュラー/金土 | 5,950円/6,800円 |
| ビアガーデン(6・9月) | プレミアム/金土 | 6,800円/7,650円 |
| ビアガーデン(7・8月) | レギュラー/金土 | 6,375円/7,225円 |
| ビアガーデン(7・8月) | プレミアム/金土 | 7,225円/8,075円 |
1コートは最大4名まで使えるため、4人でプレーすれば1人あたりのコート代は昼間で1,500円、夜間で2,000円。そこへ飲み放題のビアガーデンを足しても、都心のラグジュアリーホテルで半日過ごす体験としては手が届きやすい水準にまとめている。
運営側とプレーヤー、それぞれの見え方
運営側の視点で読むと、この企画は「コート単体課金では採算が取りにくい」という構造的な弱点に、飲食という第二の収益源を重ねた解になっている。コートは稼働時間に天井があり、価格競争にも陥りやすい。そこへ優待でビアガーデンへ送客すれば、滞在時間と1人あたりの支出を伸ばせる。既存のフィットネスとテラスを使うため、新たな設備投資もほぼ要らない。
プレーヤーの視点では、シャワー・サウナ・パウダールームが揃った環境で気兼ねなくプレーでき、そのまま着替えて飲み会へ移れる手軽さが大きい。一方で、コート利用が平日昼夜の枠に限られ、優待がビアガーデンとのセット前提である点は、純粋に競技だけを安く続けたい層には合わない。観光やレジャー目的で都心の体験を探す層に、より刺さる設計だといえる。
施設運営者が持ち帰れる収益モデル
持ち帰るべきは、ピックルボールを「単体の競技」ではなく「滞在体験の入口」に置き換える発想だ。米Picklrの日本上陸のような常設専用コート型は、面数を確保して時間貸しと会員制で稼ぐモデルで、来店目的はプレーそのものにある。対してヒルトン東京のホテル滞在連動型は、面数は限られるが、来店目的を「半日の体験」に広げ、飲食と更衣設備まで含めて単価を作る。同じピックルボールでも、収益源と来店動機の設計がまるで違う。
この型なら、自前でコートを増やせない立地でも勝負できる。テニスクラブ、ゴルフ練習場、商業ビルの屋上など、季節限定で転用できる空間は都市部にいくつもある。鍵は「コートを貸す」から「半日の過ごし方を売る」への切り替えで、飲食や物販、サウナといった付帯サービスをどれだけ束ねられるかが分かれ目になる。
競技の認知と都心レジャー化への波及
市場全体で見ると、ブランド価値の高いホテルが夏の集客装置にピックルボールを選んだことは、競技が「マニア向けスポーツ」から「都市の余暇」へ移る入口になる。ヒルトンのような名のあるホテルが扱えば、これまで競技に触れてこなかった層の心理的なハードルが下がり、初体験の場が一気に広がる。ホテル側にとっても、定番化して差別化が難しくなったビアガーデン市場に、体験型アクティビティという新しい切り口を持ち込める。豊洲に旗艦店を構える動きや首都圏の旗艦施設構想と並び、都心でピックルボールに出会える接点が着実に厚みを増している。
実用情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企画名 | Pickle & Cheers(ピックル&チアーズ) |
| 会期 | 2026年6月17日〜9月30日 |
| 場所 | ピックルボール=5階フィットネスセンター/ビアガーデン=7階ルーフトップテラス |
| 営業時間 | ピックルボール 7:00〜21:00/ビアガーデン 17:30〜22:00(7・8月は2部制) |
| 予約 | ピックルボール=電話 03-3344-5111/ビアガーデン=公式サイト |
| 付帯設備 | シャワー・バス・サウナ・パウダールーム |
予約前に押さえておきたい点は次のとおり。
- 7月・8月のビアガーデンは17:30〜と20:00〜の2部制(各2時間)。6月・9月とは時間帯と料金が異なる。
- ビアガーデン15%OFFはピックルボール利用者限定。コート利用とセットで予約する。
- 荒天時は営業を中止する場合があり、料金や提供内容も変更され得るため、公式サイトで最新情報を確認する。
まとめ
ヒルトン東京の「ピックル&チアーズ」は、コート不足という日本の弱点を、新設ではなく既存資産の連結で乗り越えた一手だ。プレーヤーは設備の整った都心で半日を過ごす選択肢を得て、運営側は競技と飲食を掛け合わせて単価を伸ばす。施設を持つ事業者は、まず手元の遊休空間とピックルボールの社交性を束ねられないかを点検したい。プレーヤーは、こうしたホテル発の企画が増える今こそ、料金の安さだけでなく「どんな1日を過ごせるか」で施設を選ぶ目を持っておきたい。
よくある質問
ピックルボールをやらなくてもビアガーデンだけ利用できますか
ビアガーデンは単体でも予約できますが、15%OFFの優待はピックルボール利用者限定です。割引を受けるにはコート利用とセットでの予約が前提になります。
初心者でもコートを利用できますか
コートは1面あたり最大4名まで利用でき、時間貸しのためレベルを問わず予約できます。シャワーやサウナなどの設備も整っているため、初めての人でも気軽に試しやすい環境です。
道具のレンタルはありますか
パドルやボールの貸し出し有無は予約時の確認事項です。電話(03-3344-5111)で空き状況とあわせて問い合わせるのが確実です。
あわせて読みたい
引用元:

