Sansan株式会社が2026年9月30日、東池袋の「Sansanピックルボールコート池袋」を3階まで広げ、11月15日に拡大オープンすると発表した。フルサイズのインドアコート3面とハーフコート1面を新設し、施設全体でインドアコート6面・アウトドアコート4面・ハーフコート1面の計11面になる。11月分のコートレンタルとレッスンの予約受け付けは10月1日開始の予定だ。同じ3階には、国内の競技統括団体である一般財団法人ピックルボール日本連盟(Pickleball Japan、以下PJ)の事務局が入居する。名刺管理のクラウドサービスで東証プライムに上場している会社が、インドア6面を持つ運営者になった。

インドア3面とハーフ1面を足して計11面、3階は11月15日に開く
施設が開業したのは2026年7月10日だ。リリースは「都内初」の大型ピックルボール専用施設としているが、これは1施設あたりの専用コート面数を基準にしたSansanの自社調べ(2026年1月時点)で、第三者機関の認定ではない。開業後はコートレンタルもレッスンも満員になる日が多く発生していると同社は書いている。今回の増床はその詰まりを外す工事だ。
増設分の内訳はフルサイズのインドアコート3面とハーフコート1面。所在地は東京都豊島区東池袋4-27-10のサンソウゴ池袋ビルで、既存のフロアに3階が加わる。営業時間はインドアが6時から23時まで、公式サイトではアウトドアを9時から21時までとしており、定休日は年中無休(時短営業日あり)と記載されている。
面数ではなく売れる時間の量で見ると、増え方がはっきりする。インドアは1面あたり1日17時間使えるので、3面なら51面時、6面なら102面時。アウトドアは4面×12時間で48面時だから、施設全体はハーフコートを除いて1日99面時から150面時へ動く。在庫は約1.5倍になる。満員が続いていた時間帯をどこまで吸収できるかが11月以降の数字だ。
ハーフコート1面の置き方にも設計の意図が出ている。リリースは、未経験者向けの「初めて体験会」でこのハーフコートを使うと書いている。フルサイズ1面を初心者の基本動作に充てると、ダブルス1組で1面17時間のうちの貴重な枠が埋まる。半面で足りる内容を半面に寄せれば、フルサイズ6面は経験者のレンタルとレベル別レッスンに回せる。体験から継続までの導線を1フロアに収めつつ、単価の高い枠を潰さない配分だ。
名刺管理で東証プライムのSansanが、2024年2月からピックルボールに人を割いてきた
Sansanは2007年6月11日設立、本社は渋谷サクラステージ28階。Yahoo!ファイナンスの企業情報では市場名が東証プライム(証券コード4443)、事業内容は「クラウド型名刺管理法人向けサービス草分け」と書かれている。資本金はリリース記載で73億58百万円(2026年5月31日時点)。営業AXサービス「Sansan」、名刺アプリ「Eight」、経理の「Bill One」、契約の「Contract One」を並べる会社だ。
そのSansanがピックルボールに入った順番が独特だ。2024年2月に国内普及とブランド・マーケティング活動を開始し、2025年8月に国際大会「PPA TOUR ASIA Sansan FUKUOKA OPEN 2025」を主催。2026年4月にピックルボール事業推進室を設置し、室長に小池亮介氏が就いた。7月10日に池袋のコートを開業し、その1週間後の7月17日にPJのグランドスラムパートナーへ就任している。7月17日の自社発表では、2032年ブリスベン五輪での追加種目化を目標に掲げ、年間の大会・イベント協賛、2026年度日本代表のタイトルスポンサー、選手育成と代表強化、池袋のコートを拠点にした体験イベントとレッスンまでを支援範囲に含めた。
活動、組織、大会、施設、競技団体との最上位契約という順に積んでいる。ソフトから入って2年半でハードに降りた格好で、用品メーカーや施設事業者が先にコートを押さえる順路とは逆向きだ。
リーグ戦の会場は池袋、10月14日の開幕だけ有明で打つ
同社はピックルボールの団体リーグ「PX LEAGUE」も運営している。出場36人が6チームに分かれて確定したのは9月で、チームを持つのはアシックス、グローブライド、Sansan、TBSテレビ、トランスコスモス、メルカリの6社。開幕は10月14日。特別開催を有明テニスの森インドアコートで行い、リーグ戦はSansanピックルボールコート池袋で回す。
主催者、会場の持ち主、出場6チームのうち1つが同じ会社ということだ。ここがSaaS企業がコートに投資した理由を読む手がかりになる。リーグ戦のたびに、オーナー6社の担当者と社員が東池袋のビルへ足を運ぶ。Sansanのミッションは「出会いからイノベーションを生み出す」で、売っているのは人と企業のつながりを扱うサービスだ。法人の意思決定者が定期的に集まる場所を、スポンサー枠として買うのではなく自前で保有している。コートは競技の設備であり、同時に本業の商談相手が年に何度も来る自社会場でもある。
競技そのものの性質も効いている。1面に4人が入り、初めてでもラリーが続くので、企業交流会や企業対抗戦の器として扱いやすい。ゴルフのように半日を空ける必要がなく、80分枠で終わる。福利厚生の設備としても、取引先を誘う名目としても、同じ1面を使い回せる。SaaSの営業は人に会う回数で決まる商売だから、面数は接点の本数に換算できる。
3階にはピックルボール日本連盟の事務局が入り、競技団体と施設が同じ床に並ぶ
3階の入居者はもう1つある。PJの事務局だ。PJは2026年4月に日本ピックルボール協会とピックルボール日本連盟が統合して発足した統括団体で、6月に公益財団法人日本スポーツ協会の承認団体となった。選手登録、全国大会の運営、ランキング管理、指導者と審判の育成、国際連携、日本代表の選考・認定・派遣・強化を担う。理事長のRika Riordan氏は、大会を開くにも選手を育てるにも、初めての人が競技に触れるにも、まず場所が必要だとコメントしている。
統括団体の事務局が民間の専用施設のフロアに入る形は、日本のラケット競技では見慣れない配置だ。連盟側の利点は分かりやすい。独立した事務所を構えるより固定費が軽く、大会運営と指導者育成の現場が階段1つ分の距離に来る。施設側は、全国大会や審判講習の日程を自前の在庫で組み立てられる。コートで何が起きているかを見ながら普及の企画を進められる、というのが理事長のコメントの主旨でもある。
一方で、施設の運営会社は連盟の最上位スポンサーであり、リーグの主催者でもある。大会要項に会場選定の基準を書き、ランキング対象大会の一覧を公開しておく。11月15日に11面が開き、11月22日に池袋で第1節が始まる日程は、その手順を先に整えておく区切りでもある。
アシックスの日本橋は10日間で1面、豊洲のPICKLRは屋内7面と、母体ごとに規模が違う
日本でコートを増やしている主体を並べると、スポーツ施設の事業者よりも、別の本業を持つ会社のほうが前に出てくる。母体が何で稼いでいるかによって、面数も期間も営業時間も変わる。
Sansanの増床も、池袋のコートが満員になる日が多いという需要の事実と、本業で回収できるという事情の両方が揃って成立している。
| 母体の会社 | 母体の本業 | ピックルボールでの持ち物 | 確認できる規模と時期 |
|---|---|---|---|
| Sansan | 営業AXサービス・名刺アプリ(東証プライム、証券コード4443) | Sansanピックルボールコート池袋、PX LEAGUEの運営、PJのグランドスラムパートナー | 計11面(2026年11月15日に拡大オープン予定) |
| 日本ピックルボールホールディングス | The Picklrの日本展開 | TOKYO TOYOSU | 屋内7面(2026年9月25日グランドオープン) |
| アシックス | スポーツ用品 | ASICS PICKLEBALL CONNECT、PX LEAGUEのチーム | 1面・10日間(2026年9月18〜27日) |
| トランスコスモス | BPO | PX LEAGUEのチーム | チーム保有 |
| メルカリ | フリマアプリ | PX LEAGUEのチーム | チーム保有 |
アシックスは日本橋室町の福徳の森に1面を10日間だけ置き、参加費を無料にした。用品メーカーの狙いはパドルとシューズに触れる人を増やすことなので、1面と10日間で用が足りる。常設の面数を抱え込む理由がない。
施設運営そのものが本業なら逆の形になる。豊洲のPICKLRは屋内7面で、非会員が1人1時間2,500円。会員はPLAYが月22,000円、UNLIMITEDが月33,000円、PROが月66,000円という階段を用意している。面数と会員の月額で投資を回収する設計だ。
- 用品メーカーが母体なら、コートは商品に触ってもらう売り場の延長に置かれる。期間限定で消えることを前提に予定を立てたい。
- 施設運営が本業の会社は会員の月額で回収するので、ビジターの1時間は非会員2,500円から始まる。
- 本業が別の事業会社は、本業の都合で営業時間や法人向けの枠が決まる。早朝や深夜が開いている一方、企業イベントで押さえられる日も出てくる。
Sansanは3つめの型にあたる。コート料金で回収する絵を前に出すのではなく、6時から23時という長い営業時間と、リーグ・大会・連盟事務局を同じ建物へ集める方向に寄せた。
初めて体験会は80分4,000円、定額制レッスンは12月1日に始まる

3階はレッスンを中心に運用し、レッスンが入っていない時間はレンタルコートとしても開ける。未経験者向けの「初めて体験会」は80分4,000円で、新設するハーフコート1面を使い、少人数でルールと基本動作から入る。その次の段が初級・中級レッスンで、80分4,000円から。プロコーチによる定額制レッスン(月額制)は12月1日開始の予定で、レベル別のクラスから毎月の枠を選ぶ形だ。トップコーチを招いたジュニア育成プログラムも企画されている。プログラムの内容と料金は変更の可能性があるとリリースに注記がある。
場所は池袋駅から徒歩10分、東池袋駅から徒歩3分。コートレンタルの営業時間が6時から23時なので、出社前の1枠と退勤後の2枠が取れる。11月分のコートレンタルとレッスンの予約受け付けは10月1日開始の予定で、オープン日と受け付け開始日はいずれも工事の進捗で変わる場合があると書かれている。
都内でコートを押さえられずにいる人には、11月15日からインドアの時間在庫が倍になるという1点が効く。その日に3階が開けば、同じ床にインドア3面とハーフ1面、そして日本代表を選ぶ事務局が並ぶ。

