デトロイト東側のリバータウン地区で、産業用ビル1棟が屋内ピックルボール8面と地元事業者向けの商業区画に変わる。手がけるのはメトロデトロイトを地元とするアラン・ブラウン氏とラフル・バウェジャ氏の2人だ。2026年9月22日付の発表文は住所を3201 Franklin St.と名指しし、建物の60%をクラブが占めるという配分まで書いている。改装費は公式の報道向けページに「推定600万ドル」とある。1ドル157.54円(2026年9月26日時点)なら約9.45億円だ。日本で常設コートを作る側の読みどころは8面ではなく、残る4割を競技以外へ明け渡した床の配り方にある。

3201 Franklin St.の産業ビルを屋内8面に、クラブは建物の6割
発表文が名指しした住所と、もう一つの施設「The Foundry」
公式のプレスリリースは、この建物を1施設ではなく2施設として説明している。6割を使うのがDetroit Pickleball Club(DPC)で、屋内コート、プロショップ、毎日のオープンプレー、リーグ、トーナメント、コーチング、社交スペースを置く。残りは「The Foundry」という商業区画で、地元事業者、飲食、ウェルネス関連の事業者、ラウンジを入れる想定だ。発表文が書いているのはイベント会場ではなくテナントを入れる商業ハブで、会員でも近隣住民でも立ち寄って仕事や食事ができる場所、という説明になっている。
起点のCrain’s記事は開けず、数値は公式資料で取り直した
この件を詳しく報じたのはCrain’s Detroit Businessだが、当サイトからのアクセスでは本文を取得できなかった。そのため数値はクラブ公式サイト、公式プレスアセットのPress Release.pdf、デトロイト市の区画台帳から取り直している。裏が取れなかった数値は載せていない。
公式が出している数字は8面と24,000平方フィート、開業時期は揺れている
11月・12月・「2026年内」が同じ運営元の資料に並ぶ
開業時期の表記が資料ごとに違う。プレスリリースは「late 2026」、報道向けページは「December 2026」、トップページは「Opening this December」、一方でプレスパケットのFounder Biographiesには「Opening November 2026」と刷られ、リバータウン解説記事にも11月が残る。改装工事は進行中で、開業日は確定した形で発表されていない。海外施設の開業予定を社内資料に引くときは、どのページから拾った数字かまで残すほうが安全だ。
会費と住所は「開業前に発表する」と公式FAQが書いている
公式FAQは、会員制度とゲストプレーの扱い、住所・道順・駐車場、飲食の内容、プロショップの取扱ブランドをいずれも「開業前に発表する」としている。決まっているのは8面、屋内・空調完備、毎日のオープンプレーを運営の軸に置くこと、初心者向けのレッスンとクリニック、リーグとトーナメントの計画、貸切・法人利用の受け入れまでだ。料金未発表の段階で日本の施設と価格を並べても比較にならないので、ここでは面積と工事費だけを扱う。
24,000平方フィートを8面で割ると1面3,000平方フィート
敷地は299×100フィート、市の台帳では0.686エーカー
クラブが自サイトで掲げる床面積は24,000平方フィート(約2,230平方メートル)。デトロイト市の区画台帳で3201 Franklinを引くと、間口299フィート×奥行100フィートの29,900平方フィート(約2,778平方メートル・0.686エーカー)、用途地域はSD4、地区名はRivertown、市議会第5区。ただし同じ台帳はこの区画を「商業・更地/建物0棟」と記録しており、改装中の建物と台帳の記載は一致していない。24,000がクラブ部分を指すなら、発表文の「建物の60%」と合わせて建物全体は約40,000平方フィートになる。ただし40,000は公式資料に見つからないので、筆者の割り算として扱う。
600万ドルは1面あたり約1.18億円になる
推定600万ドルを8面で割ると1面あたり75万ドル、約1.18億円。床面積も8で割れば1面3,000平方フィート(約279平方メートル)で、コート本体の外に控えやラウンジ、ロッカー、通路を取った数字だ。出資の内訳や資金調達の方法は発表されていない。
| 項目 | 公表値・公的記録 | 換算・筆者計算 |
|---|---|---|
| 屋内コート | 8面 | — |
| クラブの床面積 | 24,000平方フィート | 約2,230平方メートル |
| 1面あたり床面積 | — | 3,000平方フィート/約279平方メートル |
| 3201 Franklinの区画(市台帳) | 299×100フィート=29,900平方フィート/建物0棟の記載 | 約2,778平方メートル・0.686エーカー |
| 改装費 | 推定600万ドル | 約9.45億円(1ドル157.54円) |
| 1面あたり改装費 | — | 75万ドル/約1.18億円 |
| 建物に対するクラブの比率 | 60% | 残り4割がThe Foundry |
創業者2人の言い分と、自社を1位に置いた比較ガイド
打つだけの場所にしないと創業者は発表文で書いている
発表文でブラウン氏は、3201 Franklin St.を打つだけの場所ではなく近隣のよりどころにしたい、クラブとThe Foundryを一緒に持つことで試合・待ち合わせ・午後の仕事が同じ建物で成り立つ、という趣旨を語っている。同氏は不動産仲介業者で施工の免許も持つ。バウェジャ氏はデトロイト中心部で医療IT刷新を率いた経歴で、USTAのテニス歴が20年以上あると公式の経歴書にある。競技経験のある不動産・施工側と事業運営側が組んだ体制だ。
市内19か所を並べた比較ガイドは、クラブ自身が書いている
クラブは自サイトに市内・近郊19か所の比較ガイドを置き、屋内外・専用施設か否か・ラウンジやカフェの有無を採点して自社を1位に据えている。同じ表にはウォーレンのBash Pickleball Clubが18面、クリントンタウンシップのMetro Pickleballが16面、ウェストブルームフィールドのPickleRageが9面として載る。8面のDPCは面数で郊外勢に届かず、ダウンタウン隣接の立地と併設商業で差をつける構えだ。この表は当事者が書いたもので、順位づけは営業資料として読む必要がある。
テナント募集と創業パートナー募集が同時に開いている
発表文は、The Foundryのテナント募集と創業パートナー(founding partner)の募集をいずれも受付中と書いている。商業区画の借り手を集めながら、同じ時期にプレー側の初期会員も囲う。開業初月の空床と空きコートを同時に減らす動きだ。
日本の専用コートと並べると、デトロイトが選んだ条件はどこが違うか
高架下2面・屋外4面、日本側は面数を絞って立地で取る
国内の直近の新設と並べると差がはっきりする。JR下総中山駅の高架下に入る専用施設は2面から始めて2027年春に5面へ増やす計画で、線路という屋根を借りて全天候型にした。豊洲の屋外4面はドッグパーク敷地内で1面6,000円・朝6時から打てるが、敷地は2028年12月までの暫定利用だ。面数を抑え、駅近や早朝営業で客単価と回転を取るのが日本側の形になっている。8面を1棟に収めたデトロイトは前提にしている土地の値段と広さが違う。
借りる側が真似られるのは「4割を競技外に渡す」配分

床の4割を飲食・ウェルネス・ラウンジのテナントに回す判断は、日本の遊休不動産でも移植できる。レンタルスペースのインスタベースが利用者231名に聞いた調査では、ピックルボールに関心があると答えたのは6%、14人前後にとどまる。母集団が限られる競技だけで平日昼の床を埋めるのは難しく、DPCの配分はその現実への答えになっている。確保した床の全部にラインを引くより、6割で運用実績を取って残りを別の稼ぎ手に貸すほうが、空き時間の痛みは小さい。
物件を探す前に、床の4割を何に使うか決める
公式サイトで押さえておく更新ポイント
DPCは工事中の写真と資料を報道向けに開放しており、開業前に会員料金・住所・駐車場・飲食の中身が順に出る。海外事例を社内資料に引くなら、料金が出た時点で取り直すほうがいい。
問い合わせ先と現在の状況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | Detroit Pickleball Club / The Foundry |
| 所在地 | 3201 Franklin St., Detroit, MI 48207(Rivertown地区) |
| 規模 | 屋内8面・空調完備、クラブ部分24,000平方フィート |
| 開業 | 2026年内。公式資料に11月と12月の両方の表記がある |
| 現状 | 改装工事中。テナント募集・創業パートナー募集を受付中 |
| 連絡先 | 公式サイトのメディア窓口(media@detroitpickleballclub.com) |
日本で1棟を借りてコートを作る側が今日できる作業は一つだ。候補物件の図面を開き、8面ではなく床の6割に何面引けるかを先に出し、残り4割を貸す相手を書き出してみること。相手の名前が3つ挙がらない物件は、平日昼の空きを競技だけで埋める計画になる。

