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勝敗だけでは決まらないDUPR、8月からAIが動画を見て採点する

2026 7/27
News
2026年7月28日
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ピックルボールの世界共通レーティングDUPRが、2026年8月から採点の材料を増やす。これまで試合結果を軸に動いていた数字に、AIによる動画解析の結果が加わる。撮影は対応するスマートコートの固定カメラでもよいし、手持ちのスマートフォンで録ったものでもいい。DUPRは7月24日に自社ブログでこの変更を告知し、専門メディアのThe Dink Pickleballも同日に伝えている。日本の愛好者にとっても遠い話ではない。大会エントリーの足切りやクラブ内の組分けに使われているあの数字の、作られ方そのものが変わる。

TOC

勝敗の外側が、はじめて数字に入る

DUPRの説明によれば、8月以降のレーティングは競技結果に加えて、技術パートナーが提供するAI動画解析によって「強化される」。プレーヤー側が受け取るものとして挙がっているのは4つ。スキルごとのレーティング、ショット単位の解析、個別化されたコーチングの提案、そしてハイライトの自動生成である。

接続される技術パートナーとして名前が出ているのは、PlaySight、PB Vision、SwingVision、Volley、Track Tennis、Save My Playなど。DUPRは自社のエコシステムを、200万人を超えるプレーヤーと、15,000を超えるクラブ・リーグ・大会・統括団体・技術パートナーがつながったものだと説明している。告知に添えられた標語は「One player profile. One trusted rating. One connected ecosystem.(ひとつのプロフィール、ひとつの信頼できるレーティング、ひとつのつながったエコシステム)」だった。

言い換えると、DUPRは「試合の結果」から「プレーの中身」へと評価の対象を広げにいった。3-11で負けた試合と9-11で競った試合が違うことは従来の計算でも織り込まれていたが、そのラリーの中で何が起きていたかは数字に入っていなかった。

8月は突然ではない、春から積み上げた3手目

この変更は単発の発表ではなく、2026年春から順番に打たれてきた手の帰結に見える。

ひとつ目が4月13日のPB Visionとの提携だ。ここでDUPRは、大会にもリーグにも出ていないプレーヤーが、録画した1試合だけで初期レーティングを得られる道を作った。PB VisionはピックルボールのAI動画解析に特化したサービスで、1試合あたり数千のデータポイントを見る。ショットの質、動き、ポジショニング、ミスの発生、コートのカバー範囲。そこからサーブ、リターン、オフェンス、ディフェンス、俊敏性、安定性の6つの軸で評価が出る。新規ユーザーには解析1本が無料で提供される。

ふたつ目が4月20日のSave My Playとの連携拡大で、これは撮る側の整備にあたる。サーバーを必要としない小型のカメラをコートに据え、ジェスチャーで録画を制御し、ポイントとポイントの間の待ち時間は自動で落とす。撮れた映像はPB Vision経由でDUPRに流れる。

入口を開け、設備を整え、そのうえで本体のレーティング計算に手を入れる。8月の変更は3手目にあたる。

誰が何を担うのか、パートナーの役割を整理する

プレーヤー/サービス 担っている役割 DUPRとの接続
PB Vision ピックルボール専用のAI解析エンジン。1試合あたり数千のデータポイントを処理 解析結果からAI由来のレーティングを生成し、DUPRのプロフィールに反映
Save My Play コート常設のカメラ。サーバー不要、ジェスチャーで録画制御、ポイント間を自動カット 撮影データをPB Vision経由でDUPRへ受け渡し
PlaySight スマートコートの映像基盤 DUPRの技術パートナーとして接続
SwingVision/Volley/Track Tennis 端末やアプリを使った撮影・解析 同上
プレーヤー本人のスマートフォン 対応アプリを通じた自前の撮影 スマートコートがなくても解析の入口になる

この表で見落としたくないのは最後の行だ。固定カメラを備えた施設が近くになくても、スマートフォン1台あれば評価の材料を出せる設計になっている。設備投資が届かない地域を最初から想定に入れた作りだ。

DUPR、PB Vision、Save My Playが語ったこと

DUPRのCEOであるTito Machado氏は、PB Visionとの提携時に「DUPRシステムへのアクセスしやすい入口を増やすことは、この競技を広げるうえでの重要な一歩だ」と述べている。Save My Playとの連携発表でも「プレーヤーがDUPRのエコシステムに入り、関わりやすくすることが我々の中心的な焦点だ」と説明した。競技力の精密な測定より、参加のハードルを下げることを前面に置いた言い方をしている。

PB Vision共同創業者のMike Arney氏の言葉はもう少し技術寄りだ。同氏は「我々が主眼を置いているのは、あなたが実際にどうプレーしたかを評価することだ」として、勝敗という結果指標との違いを強調した。Save My Play共同創業者のDavid Fox氏は「すべてのピックルボールコートに、高品質な映像と分析を届けることが目標だ」と語っている。

3者の立場を並べると、DUPRは制度の設計者、PB Visionは判定エンジンの提供者、Save My Playは撮影インフラの敷設者という分担がはっきりする。レーティングという「信用」を、ソフトとハードの両側から支える構図だ。

日本のプレーヤーに効くのは、精度より「試合数の壁」の解消

ここからが日本の読者にとって本題になる。国内でDUPRを持つ人が最初にぶつかるのは、精度の問題ではなく試合数の問題だ。DUPR公認の形式で結果が登録される大会は国内にまだ限られ、平日夜に仲間内で打っているだけの人には数字が付かない。地方在住なら、対応大会に出るための移動コストがそのまま参入障壁になる。

録画1本で初期レーティングが出る仕組みは、この壁を正面から崩す。長野県茅野市の別荘地・東急リゾートタウン蓼科が2024年9月にUSA Pickleball公認の屋外コート2面を開いたように、日本のコートは大会会場ではない場所に増えている。そこで撮った映像が数字になるなら、競技人口の裾野と競技レーティングの裾野が、はじめて同じ形になる。DUPRを国全体の共通言語として先に敷いたベトナムの事例(ハノイの1勝がLAと同じ価値に、DUPRが敷くベトナムの世界標準)と比べると、日本は制度への接続がまだ疎らで、その疎らさを埋める手段がスマートフォンだったという話になる。

ただし、新しい格差も同時に生まれる。撮れる環境と撮れない環境の差だ。屋外の公共コートで三脚を立てられるか、体育館の天井高とネットの位置でコート全面が画角に入るか、西日の逆光でボールが飛ぶか。プレーの巧拙ではなく撮影条件でスコアが揺れるなら、それは競技の公平性の問題になる。DUPR側は、AI解析由来のレーティングをプロフィール上で「AI-assisted(AI補助)」として区別し、大会やリーグの結果を引き続きレーティングの主軸に置くと説明している。設計としては慎重で、この区別が実運用でどう扱われるかが、日本の大会主催者にとっての判断材料になる。

施設にとって、カメラは設備ではなく在庫になる

市場への波及で大きいのは施設側だ。これまでコートのカメラは、映像を撮るための備品でしかなかった。レーティングに直結するとなると、位置づけが変わる。会員が数字を伸ばすために通う理由そのものになるからだ。

都心のインドア施設ほど効きやすい。7面のインドアを構えて開業前から会員を積み上げた豊洲のThe Picklr(US Picklr's 7-court indoor venue in Toyosu, and the funding design that locked in members 3 months before opening)のような業態は、天候にも日照にも左右されない撮影条件をすでに持っている。屋内で常設カメラを回せる施設は、会費に乗せられる価値が1つ増える。Save My Playが施設向けに用意しているのも、スコア表示やスポンサー枠を載せたライブ配信、映像への課金といった収益化の道具立てで、カメラを費用ではなく在庫として扱う発想になっている。

コーチングの前提も動く。Sansanが池袋の施設でAIコーチの検証を始めた動き(AIコーチはコーチ不足を埋めるか、Sansanが池袋で始めた検証)は、指導者の頭数が足りない国内事情への対応だった。そこにDUPR側からショット単位の解析レポートが降りてくると、レッスンの入口が「今日は何をやりますか」から「6軸のうちディフェンスが低いので、そこを45分」に変わる。人間のコーチの仕事は減らず、扱う情報の質が変わる。

8月までに確認しておきたいこと

Item Details
Start date 2026年8月
必要なもの DUPRアカウントと、対応する技術パートナーのアプリ
撮影方法 対応スマートコートの固定カメラ、またはスマートフォンでの録画
対応パートナー PlaySight/PB Vision/SwingVision/Volley/Track Tennis/Save My Play ほか
初回の費用 PB Visionは新規ユーザーに解析1本を無料で提供
評価される軸 サーブ、リターン、オフェンス、ディフェンス、俊敏性、安定性の6つ
解析される内容 ショットの質、動き、ポジショニング、ミスの発生、コートのカバー範囲
プロフィール上の表示 AI解析由来のレーティングは「AI-assisted」として区別される
試合結果の扱い 大会・リーグの競技結果は引き続きレーティングの主軸
エコシステム規模 200万人超のプレーヤー、15,000超のクラブ・リーグ・大会・統括団体・技術パートナー

まとめ:8月が来る前に、1試合だけ撮ってみる

DUPRが手を入れたのは計算式というより、レーティングという制度の入口の広さだ。トーナメントに出た人だけが数字を持てる世界から、コートに立って撮った人が数字を持てる世界へ動く。競技としての厳密さを守るために「AI-assisted」の区別を残したところに、DUPR側の慎重さも出ている。

プレーヤーができることは3つある。ひとつ、DUPRのアカウント情報を開いて、氏名表記や過去の試合履歴が正しく紐づいているか確認しておく。ふたつ、8月を待たずにPB Visionの無料枠を使い、いつもの1試合を丸ごと撮って解析にかけ、6軸のうちどこが低く出るかを先に知っておく。みっつ、その結果を持って次のレッスン予約を入れる。

施設の運営者なら、やることはもっと具体的だ。自分のコートで三脚をどこに置けば全面が入るか、照明の落ちる時間帯に映像が使えるか、月内に一度実測しておく。カメラの常設を検討するのは、その実測が終わってからで間に合う。

Source:The Dink Pickleball/DUPR/DUPR(PB Vision提携)/DUPR(Save My Play連携)/PB Vision/東急リゾーツ&ステイ

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小島 怜's avatar Rei Kojima

I'm a pickleball enthusiast in my third year living in Vietnam. In high school I was on the badminton team, spending every day chasing the shuttle. Now, amid the buzz of Ho Chi Minh City, I'm fully immersed in the speedy volleys my badminton background enables and the strategic mind games unique to pickleball. I'll casually share the real playing scene in Vietnam—local court info and improvement tips that only a former badminton player would know!

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