米国の屋内ピックルボール専門チェーンPickleball Kingdomが、オーストラリアとニュージーランドの2カ国をまとめて1人に任せるマスターフランチャイズ契約を結んだ。9月23日にアリゾナ州フェニックス発で配信されたリリースによると、相手はメルボルンで保育施設と住宅の開発を手がけてきた起業家のCameron Bloomfield氏。これで同社が展開先に挙げる国は米国・インド・オーストラリア・ニュージーランドの4カ国になった。ただし公式のクラブ索引に載るのは42クラブで、営業中は34、米国外はインドのグルガオン1件だけだ。輸出されたのは施設ではなく、国をまとめた開発の権利である。屋内コートを増やしたい日本側には、権利を売って現地に任せる型と、自前で1面ずつ作る型の違いを測る材料になる。
豪NZの開発権を任された人物は何をするのか
発表の中身は、開業ではなく開発を担う体制の話だ。
メルボルンで保育500席超と住宅150戸超を供給した開発者
Bloomfield氏は、戦略・企業買収・不動産開発・リーシングで30年を超える経験を持つ人物として紹介されている。メルボルン一帯で500席を超える保育定員と150戸以上の住宅を供給し、Design & Development Excellence Awardsを複数回受けた。海外展開を統括するRob Streett氏は、人が集まる場所を開発してきた実績を評価する言葉を寄せている。遊休空間を地域の拠点へ変えてきた履歴が、屋内コートの用地確保と直結する。
着手の順番は用地探しと加盟店集めから
職務として書かれているのは、市場開発、用地選定、フランチャイズの拡大、クラブの展開の4つだ。全店を直営するのではなく、2カ国の中で加盟店を募る側に立つ。同社の豪NZ向けページも、屋内施設のフランチャイズ募集を始めたと告知する内容だ。契約と、コートで球が飛ぶ日の間には用地と加盟店の2工程が残る。
公式索引にあるのは42クラブ、営業中は34だった
チェーンの実寸は、同社が公開するクラブ索引で確かめられる。
1クラブ8〜17面、海外はグルガオンの8面だけ
索引(日本時間9月25日未明に生成された版)の掲載は42クラブで、営業中34・開業予定8に分かれる。所在は米国41、インド1で、米国分は21州に散る。1クラブの面数は8面から17面、うち37クラブが10面以上で、空調の効いた屋内にまとめて二桁の面を置く形が多数を占める。営業中34クラブを本稿で合算すると約430面になる。一覧ページの掲載は44件あり、索引に無いFolsom(カリフォルニア州)とYakima(ワシントン州)はどちらも開業予定の表示だった。
「400拠点超」は米国で契約が決まった区画の数
同社の規模としてよく出るのが400拠点超という数字だ。インド展開を告知した同社のページは、これを米国内で「awarded(付与済み)」の400超のロケーションと記す。契約が決まった区画の数であって、開いたクラブの数ではない。専門メディアの記事では「awarded」が落ち、400拠点超だけが残った例もある。営業中34と並べれば、契約の残高と実際の稼働の距離が見える。海外チェーンの規模を聞くときは、開業済みと契約済みを分けて確かめておきたい。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 索引に載るクラブ | 42 |
| うち営業中 | 34 |
| うち開業予定 | 8 |
| 米国 | 41(21州) |
| 米国外 | 1(インド・グルガオン) |
| 1クラブの面数 | 8〜17面 |
| 営業中34クラブの面数合計 | 約430面(本稿で合算) |
※同社公式のクラブ索引(日本時間2026年9月25日未明に生成された版)より。豪州・NZのクラブは索引に現れていない。
2025年末までに10地域超と言っていたが、増えたのは3カ国
海外展開のペースは、過去に語った目標と並べると見える。
国際展開の専任役職を置いてから1年8カ月
同社は2025年1月、当時COOだったRob Streett氏をPresident and Chief Global Officerに就けた。専門メディアPickleball News Asiaが当時伝えた記事には、2025年末までに10を超える海外地域で施設を稼働させる中期目標が記されている。そこから今回の発表までは1年8カ月で、国名として並んだのは米国以外に3つだ。
相手が決まるまで国は増えない
同じ記事は、新しい国に入る速度が現地の主要パートナーを見つけられた時期に大きく左右されると説明していた。今回の豪NZも、開発を任せられる人物が決まったこと自体が発表の中身だ。2025年11月のインド展開では、Bhanu Gulati氏らが率いるTeam BAQ Wizards Indiaが受け皿になった。人が決まってから国が増える順番なら、日本にチェーンが来るかどうかも、店舗計画より先に国内の開発権を誰が取るかで決まる。
日本の屋内コートはチェーンではなく施設を持つ側が増やしている
同じ屋内コートでも、日本で主役になっているのは別の立場の事業者だ。
スキー場が緑の季節に屋内ホールを開けた
長野県では軽井沢プリンスホテルスキー場が屋内のアクティビティホールを8月1日から11月23日までコートに開き、1面1時間5,000円で貸し出している。期間を区切って空いた季節に既存施設を回す運用で、会員を抱える常設クラブとは設計が違う。
日本のDUPR新規登録は12カ月で170%増、世界5位
DUPRの新規登録者の伸びで日本は直近12カ月170%増の世界5位に入り、成長が最も速い10カ国はすべてアジアだった。インドは182%で4位だ。同社が理由を述べているわけではないが、最初がインドで次が豪NZという順番を契約相手の職歴と重ねると、伸び率の高さより用地を扱える相手が見つかった順に近い。
本国では施設の売り出し価格が平均39%下がっている
本国の施設市場は選別の局面に入っている。
値札はEBITDAで決まり、建設費では戻らない
当メディアでも伝えたとおり、直近10週間に9件の施設が売り出し価格を下げ、値下げ幅は平均39%に達したとIAPPFの集計が示している。施設の価値は建設費ではなくEBITDAで測られ、利益が出ていない箱は建てた額を下回る値がつく。屋内に二桁の面を並べる形は建設費が重い。豪NZで加盟を検討する側には、成長率より本国で今出ている売り出し価格が先に読むべき数字になる。
平日の昼を埋める前提が会員制に組み込まれている
同社のFAQでは、コーチングは無料、コート予約は会員に開かれ、用具のレンタルも用意される。厳格な年齢制限は設けず、誕生日や法人向けの貸し切りも受け、観戦用のメザニンも備える。空調の効いた屋内で年間を通して打てることを売りに、レッスンと予約と貸し切りを会員制の上へ重ねる形だ。1面1時間いくらで貸す運用より、平日の昼や早朝を埋める手数が多い。
豪NZのクラブが開くまでに何が決まるのか
外から確認できる米国外の実物はグルガオンの1クラブで、豪NZ側に出ているのは対象都市の一覧と加盟の窓口だ。
米国外で実際に打てるのはグルガオンの8面
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 営業中の米国外クラブ | Pickleball Kingdom Gurugram(インド・ハリヤナ州) |
| 所在地 | 354/2, Darbaripur Rd, Darbaripur, Sector 70, Gurugram, Haryana 122101 |
| 営業時間 | 月〜日 10:00〜23:00 |
| 屋内コート | 8面 |
| 提供内容 | オープンプレー、コート予約、コーチング、クリニック、大会、リーグ、ジュニア |
| 豪NZの対象都市 | メルボルン、シドニー、ブリスベン、ゴールドコースト、サンシャインコースト、アデレード、パース、オークランドほか |
※同社公式サイト(2026年9月25日確認)より。欧州は区画の募集中という段階で、英国・スペイン・ドイツなど9カ国が対象に並ぶ。
毎月クラブ索引を開いて営業中の件数を記録する
豪NZのクラブがいつ開くかは、加盟店が決まってからでないと出てこない。追うなら同社のクラブ索引を月に一度開き、営業中と開業予定の件数の動きを記録しておくと、発表の勢いと実際の開業速度の差が数字で見える。日本で屋内コートを作る側は、面数や立地を詰める前に、グルガオンの1日13時間営業・8面・会員制を自分の物件へ当てはめ、平日の昼に誰が来るのかを先に埋めてみたい。そこが埋まらないまま建った箱が、本国では売り出し価格を4割下げて並べ直されている。
参照元
- PR Newswire「Pickleball Kingdom Continues Global Expansion into Australia and New Zealand」(2026年9月23日)
- Pickleball News Asia「Pickleball Kingdom Continues Global Expansion Into APAC as It Enters Australia, New Zealand」(2026年9月24日)
- Pickleball Kingdom「Australia & New Zealand」
- Pickleball Kingdom「Clubs」
- Pickleball Kingdom「Gurugram, Haryana」
- Pickleball Kingdom「India」
- Pickleball Kingdom「Europe」
- Pickleball Kingdom「FAQ」
- Pickleball News Asia「Pickleball Kingdom Plans Massive International Expansion」(2025年1月15日)
- Pickleball News Asia「Pickleball Kingdom Goes to India to Jumpstart Global Expansion」(2025年11月12日)

