北海道のスキーリゾートとして知られるルスツリゾートが、夏の主役にピックルボールを据えた。2025年7月に道内で初めて開いた専用8面コートを舞台に、2026年6月28日(日)、施設名を冠した大会「RUSUTSU Pickleball Open 2026」を開く。前日の6月27日(土)にはピックルボール日本連盟(PJF)のアンバサダー資格講習会も組まれ、観光リゾートが一日かけて競技の集まる場所へと姿を変える。雪のない季節のリゾートをどう埋めるかという課題に、ラケットスポーツで答えを出そうとする動きであり、夏の遠征先を探す日本のプレーヤーにとっては選択肢がひとつ増えた格好だ。
冠オープン戦が動かしたもの
起点になったのは、コートを作っただけで終わらせなかったことだ。ルスツリゾートは2025年7月4日に専用コートの営業を始め、そのおよそ一年後に施設名を冠した大会へと踏み込んだ。コート開きのイベントとは性格が違う。冠戦というのは、その場所を「練習できる施設」から「本番を戦う会場」へと格上げする宣言に近い。8面というまとまった面数があるからこそ、午前と午後で別々の種目を回し、一日で大会の体裁を整えられる。
大会の構成も実利的だ。午前はダブルス(男子・女子・ミックス)と男子シングルスを置き、それぞれ初級と中級にクラスを分ける。午後は「個人ランダムマッチ」を初級・中上級の二層で用意する。参加者は午前と午後で一種目ずつエントリーできる仕組みで、一回の遠征で複数の試合経験を積めるよう設計されている。試合形式は予選リーグ戦に決勝トーナメントを重ねる方式で、勝ち上がりだけでなく最低限の試合数が保証されるのは、遠路はるばる向かう側にはありがたい。
道内初の専用コートという土台
この大会を支えているのは、北海道で初めてとなるPJF公認の専用8面コートだ。PJFの競技基準に沿って整備され、観覧席も備える。屋外コートで、公式球には屋外用の40穴ボールが使われる。コート開きの時点で1時間3,000円(1面)という料金が示され、リゾート券での利用枠も設けられた。雪上スポーツの拠点が、オフシーズンの集客装置としてラケットスポーツを選んだ形である。
道内に専用コートが他になかった段階で冠戦まで踏み込めたのは、面数とアクセスの両面が揃っていたからだ。新千歳空港から車でおよそ90分という距離は、本州から飛行機で入る遠征客にとっても現実的な射程に収まる。コートが一カ所に8面集約されているため、エントリーが増えても運営側が試合を捌きやすい。施設の規模が、そのまま大会の受け皿の広さになっている。
前日のアンバサダー講習が持つ意味
見落とせないのが、本番前日に組まれたPJFアンバサダー資格講習会だ。6月27日(土)の午前に座学と実技で構成され、ルスツリゾートホテル北館3Fのセミナーホールと専用コートを使う。受講料はPJF個人会員が4,000円(税込)、アンバサダー認定を受ける場合が5,000円(税込)とされている。大会単体ではなく、講習と試合を二日続きで設計しているところに狙いが透ける。
講習を前日に置けば、地元や近隣で指導役を志す人が大会のついでに資格取得へ進める。試合に出る人と教える人を同じ週末に集めることで、コート開設後に最も難しい「その後の運営役を地域内で育てる」段階を一気に進められる。コートを点で終わらせず、人を巻き込んで面にしていく。リゾートが競技ハブを名乗るなら、こうした人材の循環づくりは避けて通れない。
リゾート×競技という流れの中で読む
ルスツの動きは、単発の話ではない。同じ北海道ではクラブメッド・トマムが専用6面を整え、夏のリゾート体験にピックルボールを組み込む動きを見せている。本州でもヒルトン東京が屋上ビアガーデンとコートを束ねて商品化する企画を打ち出すなど、宿泊・観光事業者がこの競技を集客の切り札に据える例が相次ぐ。リゾートが客室稼働とアクティビティ収入を同時に底上げできる点で、ピックルボールは相性が良い。
ルスツが一歩抜けて見えるのは、体験提供で止めずに冠戦という競技イベントまで一気に踏み込んだ点だ。リゾートの集客企画と、勝ち負けを競う大会運営は本来別物で、後者には審判・進行・組み合わせといった運営ノウハウが要る。前日の資格講習をセットにしたのは、その運営力を外から借りるのではなく地域に蓄えていく布石とも読める。観光と競技の両輪を同じ会場で回そうとする設計だ。
夏の北海道遠征をどう組み立てるか
プレーヤー目線で見れば、これは遠征プランの新しい一手になる。区分が初級から中上級まで分かれているため、競技歴の浅い人でも一日複数試合を経験でき、家族やグループで実力差があっても全員がエントリーしやすい。涼しい北海道の夏は、本州の屋外大会につきまとう熱中症リスクを避けたいプレーヤーにとって魅力的だ。試合と観光、温泉やリゾートの滞在を一本の旅程にまとめられる。
遠征を組むなら、まず大会日程を軸に前後の宿泊を押さえたい。前日に資格講習が入る週末は宿が混みやすく、リゾート滞在を兼ねるなら早めの確保が無難だ。エントリーには締切があり、本大会は6月21日、講習会は6月22日が締切とされている。日程・締切は主催の最新告知で必ず確認してほしい。屋外コートゆえ天候の影響を受ける点も、移動を伴う遠征では頭に入れておきたい。
国内ピックルボール市場への波及
会場の多様化は、国内の大会カレンダー全体にも効いてくる。これまで国内の主要トーナメントは関東を中心に組まれがちで、賞金を懸けた本格大会としてはKINTOが冠スポンサーに付く宇都宮の国際大会のような取り組みが注目を集めてきた。そこに北海道の常設会場が加われば、季節と地域を分散させた大会運営が可能になる。夏は涼しい北海道、というすみ分けが生まれれば、年間を通じて競技を続けやすくなる。
観光事業者がスポンサーや会場提供で関わる構図が広がれば、競技側にとっては運営原資の選択肢が増える。リゾートは閑散期の収益源を得て、競技団体は会場と資金を確保し、プレーヤーは遠征の動機になる場所を手に入れる。三者それぞれに利があるからこそ、この種の連携は一過性で終わりにくい。ルスツの冠戦が継続的なシリーズへ育つかどうかは、来季以降の開催と参加者数が試金石になる。
実用情報・関連リンク
- 大会名:RUSUTSU Pickleball Open 2026(2026年6月28日 日曜・9:00〜17:00)
- 会場:ルスツリゾート ピックルボール専用コート(北海道、新千歳空港から車で約90分)
- 前日企画:PJFアンバサダー資格講習会(6月27日 土曜・午前、座学+実技)/ステップアップレッスン
- 区分:午前はダブルス(男子・女子・ミックス)と男子シングルスを初級・中級に分割、午後は個人ランダムマッチ(初級・中上級)
関連記事として、リゾートが競技を取り込む動きを追ったクラブメッド・トマムの専用コート整備もあわせて読みたい。
まとめ
ルスツリゾートの冠オープン戦は、専用8面という器を「練習場」から「本番の会場」へ引き上げ、前日の資格講習で運営の担い手まで巻き込む設計になっている。夏の遠征先を探すプレーヤーが今すぐできるのは、本大会と前日講習それぞれの締切を確認し、出場する種目を午前・午後から選んでエントリーすること、そしてリゾート滞在を兼ねるなら宿泊を早めに押さえることだ。涼しい北海道で試合と旅をひとつにする計画を、今シーズンの選択肢に入れてみてほしい。最新の日程・料金・募集状況は主催の公式告知で必ず確認を。

