11Six24がHexGrit搭載「Power 2」シリーズ3機種を発売 — スピン持続性でセルカーク超えの検証データも

新興パドルメーカー11Six24(イレブンシックストゥエンティフォー)が、独自のスピン持続技術「HexGrit」を搭載した新パドルライン「Power 2」シリーズの出荷を開始した。ラインナップはHurache-X(エロンゲート)、Vapor(ハイブリッド)、Pegasus(ワイドボディ)の3機種で、価格は全モデル209.99ドル(約31,500円)。複数の独立レビューサイトが実施したスピン劣化テストでは、100試合超のプレー後でもわずか1〜4%の劣化にとどまり、従来のローカーボン表面やグリットコーティングを大きく上回る結果が報告されている。

目次

HexGrit技術の詳細 — 「ダイヤモンドの次に硬い素材」をパドル表面に

HexGritの核心は、炭化ケイ素(シリコンカーバイド)をパドル表面に埋め込む製法にある。創業者のDavid Groechel氏は「ダイヤモンドを除けば地球上で最も硬い物質のひとつ」と説明する。従来のパドルは表面にグリット(粒子)をスプレーや塗布で付着させる方式が主流だったが、HexGritは製造段階で素材そのものに微粒子を組み込む。これにより、使い込んでもグリットが剥がれにくく、スピン性能が長期間にわたって安定する。

The Dinkが実施した100試合超の長期テストでは「測定可能なスピン劣化がほぼゼロ」と報告された。The Kitchenのレビュアーも「複数セッションのプレー後もグリットの劣化が感じられない」と評価している。

3機種のスペック比較

モデル形状長さグリップ長価格
Hurache-Xエロンゲート16.5インチ7.5インチ6インチ$209.99
Vaporハイブリッド16.25インチ7.75インチ5.75インチ$209.99
Pegasusワイドボディ15.8インチ8.12インチ5.75インチ$209.99

3機種に共通する仕様として、MPPフローティングフォームコアを採用。EVAペリメーター(外周部)との組み合わせにより、ドライブ時のポップ(弾き)とディンク・リセット時のソフトタッチを両立する設計だ。カラーバリエーションはティール、ラベンダー、ホワイトの3色。保証期間は12か月。

スピン劣化テストの検証データ

複数のレビューメディアが独立して行ったスピンテストの数値は、11Six24の主張を裏付ける結果となった。

テスト項目11Six24 Power 2従来パドル平均
初期スピン(RPM)2,3352,100前後
100試合後のスピン劣化率8.9%17.9%
グリット残存率98%80〜85%
歴代スピン値ランキング4位

初期RPM 2,335は歴代テスト4位の高水準。劣化率8.9%は競合製品の約半分で、Groechel氏の「一般的なプレイヤーであれば、パドルの寿命が尽きるまでグリットが持続する設計」という説明を数値が証明した格好だ。

プロ選手の採用状況とレビュアーの評価

PPA Tour所属のDekel Bar選手が11Six24の最初のスポンサード選手としてPower 2を使用。新進気鋭のWill MacKinnon選手もスポンサー契約なしでツアーで使用しているのが確認されている。さらにRafa Hewett選手もツアー中に使用が目撃されており、プロレベルでの信頼度は着実に上がっている。

The Kitchenのレビューでは、ドライブ/サーブ:8/10、ディンク/ドロップ:8/10、リセット:8/10、ポップ:8.5/10、フリック/スピードアップ:8/10、アグレッシブアタック:8.5/10と、全カテゴリで高得点を獲得。「ボールをブラッシュする(擦り上げる)打ち方をする選手に特に合う」とされ、スピン重視のベースラインプレーで真価を発揮する特性が指摘された。

価格面でも209.99ドルは、PaddletekグループCPX HYPER+など競合のプレミアムモデル(289ドル以上)と比較して28〜38%安く、コストパフォーマンスの高さも注目点だ。

読者への影響 — スピン劣化問題への回答になるか

パドルのスピン性能が使い込むにつれて劣化する問題は、中上級プレイヤーにとって長年の悩みだった。数か月ごとにパドルを買い替えるコストは馬鹿にならず、環境面でも廃棄パドルの増加が指摘されてきた。HexGritの「寿命までスピンが持続する」というアプローチが実際に機能するのであれば、年間のパドル関連支出を大幅に削減できる。

現時点ではUPA-A(USA Pickleball Association of America)の承認を取得済みだが、USA Pickleballの承認ステータスは確認中。USA Pickleball公認大会での使用を予定している場合は、購入前に最新の承認リストを確認してほしい。

業界への波及 — 「持続可能なスピン」が2026年のキーワードに

2026年のパドル市場は、Gen 4フルフォームコアやGen 3.5フォーム強化ハニカムなど、コア素材の進化に注目が集まっていた。しかし11Six24のHexGritは、スピンの「瞬間性能」ではなく「持続性能」にフォーカスした点で異なるアプローチだ。同様の耐久グリット技術としてはSpartus P1も参入しており、「一度買ったら長く使える」パドルへの需要は確実に存在する。

USAPの偏向(デフレクション)テスト基準をクリアしつつ、合法的にパワーとスピンを最大化するという各社の開発競争は今後も続く。2026年後半には、セルカークやJOOLAなど大手が耐久グリット技術で対抗製品を投入する可能性がある。

ブランド代表モデルスピン技術価格帯
11Six24Power 2シリーズHexGrit(炭化ケイ素埋込)$209.99
SelkirkSLK Dauntlessローカーボン表面$180
CPXHYPER+Gen 5 HYPERFOAM$150(プレオーダー価格)
HonoluluJ6CR/J2CR/J3CRCore Reactor フォーム$195〜$280

まとめ

11Six24のPower 2シリーズは、パドルのスピン持続性という長年の課題に正面から取り組んだ製品だ。炭化ケイ素を表面に埋め込むHexGrit技術は、100試合超の実使用テストで劣化率8.9%という具体的な数値で性能を証明している。209.99ドルの価格帯は大手プレミアムモデルより2〜3割安く、スピン重視のプレイヤーにとっては有力な選択肢になる。今後のUSA Pickleball承認の動向と、2026年USAPルールとの適合状況に注目したい。

FAQ

Q. HexGritと従来のローカーボン表面は何が違う?

A. 従来のローカーボン(raw carbon)やグリットコーティングは、パドル表面に粒子をスプレーや塗布で付着させる方式です。HexGritは製造段階で炭化ケイ素(シリコンカーバイド)を素材に埋め込むため、摩耗による剥離が起きにくく、テストではグリット残存率98%を記録しています。

Q. 3機種のうちどれを選ぶべき?

A. リーチと一撃の威力を重視するならHurache-X(エロンゲート)。スピンと操作性のバランスを取りたいならVapor(ハイブリッド)。スイートスポットの広さと安定感を求めるならPegasus(ワイドボディ)を選んでください。プレースタイルに合わせて形状を選べるのがPower 2シリーズの強みです。

Q. USA Pickleballの公認大会で使えるか?

A. 2026年4月時点ではUPA-A承認を取得済みですが、USA Pickleball承認は確認中です。USA Pickleball公認大会への出場を予定している場合は、USAPの公式承認パドルリストで最新ステータスを確認してから購入することを推奨します。

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この記事を書いた人

ベトナム在住3年目のピックルボール愛好家です。高校時代はバドミントン部に所属し、シャトルを追う毎日を過ごしていました。現在はホーチミンの熱気の中、バドミントンの経験を活かしたスピーディーなボレーと、ピックルボール特有の戦略的な駆け引きにどっぷり浸かっています。現地のコート情報や、バドミントン経験者ならではの上達のコツなど、ベトナムのリアルなプレイ環境をゆるく発信していきます!

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