株式会社ピックルボールワン(東京都千代田区)が、三井不動産・TBSイノベーションパートナーズ・電通グループ・Sansanを引受先とする第三者割当増資を実施したことが日経新聞の報道(2026年4月)で明らかになった。調達額は非公開だが、業種の異なる大企業4社が同時に参画するこの資金調達は、日本のピックルボール市場が成長期へ移行する過程で、複数の異業種企業が参入する時期に入ったことを示している。
2027年開設予定——日本最大20面超の屋内専用施設
ピックルボールワンは調達資金をもとに、2027年内に日本国内に大型の屋内専用施設を開設する計画だ。コート数は20面以上で、飲食・休憩スペースを併設したスポーツ施設となる見込み。当初の発表時点では、適した土地・物件を全国で募集中とされていた。
比較対象として、当時日本最大規模とされた施設(Pickleball Base Osaka:6面)の3倍以上の規模感であり、北米の主要ピックルボールクラブに匹敵する規模となる計画である。
出資企業4社の戦略的意図を読み解く
今回の資金調達の特徴は、全く異なる業種の大企業4社が同時に参画した点だ。それぞれの意図は明確だ。
三井不動産:スポーツ施設を核にした不動産開発・商業エリア活性化。大型施設の土地・建物提供での役割が期待される。ピックルボールはテニスやゴルフと違い「狭いスペースでも設置可能」という特性があり、商業ビルの屋内フロア活用との相性が高い。
TBSイノベーションパートナーズ:スポーツコンテンツのIP獲得。TBSは2026年7月の東京大会(Sansan TOKYO OPEN)も主催しており、競技普及とメディアコンテンツの両輪戦略を取っている。
電通グループ:スポーツマーケティング領域での先行確保。電通は国内外のスポーツIPを多数扱っており、ピックルボールの広告・スポンサーシップ市場の拡大を見込んだ投資とみられる。
Sansan:「つながりをデザインする」というブランドイメージとピックルボールのコミュニティスポーツとしての特性が合致。法人向けサービスの認知拡大ツールとしても活用できる。
日本ピックルボール市場の現在地(2026年4月時点)
米国では競技人口が500万人を超え、専用施設数は数百か所に及ぶ。日本ではまだ専用施設数が限られており、多くのプレーヤーがテニスコートや体育館を間借りしてプレーしていた。
2026年4月の発表時点では、過去1〜2年で状況が急変していた。大阪・堺に西日本最大の6面専用施設がオープンし、同年7月には東京で国際大会(Sansan TOKYO OPEN)の開催が予定されていた。さらに2027年には20面超の大型施設が登場する計画である。これら施設の開設が2026年及び2027年に集中することで、日本のピックルボール市場が成長段階へ移行していることが読み取れる。
プレーヤーにとっての意味
施設数の増加は、プレーヤーにとって「どこでプレーするか」という最大の課題を解消する見込みだ。発表時点では、都市部でも予約が取りにくいピックルボールコート環境が、これらの施設開設により改善される見通しとされていた。
また、大企業が参入することで、コーチング・用品・大会という周辺エコシステムも充実する見込みだ。テニスやゴルフが辿った「スポーツの産業化サイクル」が、ピックルボール市場でも同様に進行すると考えられている。
日本全国のコート情報については神奈川県のコート完全ガイドなどの地域別情報も参考にしてください。日本のピックルボール組織についてはJPA(日本ピックルボール協会)解説もご覧ください。
FAQ
- Q. ピックルボールワンとは何ですか?
- A. 東京・千代田区に拠点を置く、ピックルボール関連事業(用品販売・施設運営・大会開催)を手がけるスタートアップ企業です。日本最大級の専用施設開設を目指しており、2026年4月の発表では大手企業4社との連携を発表していました。
- Q. 20面以上の施設はどこにできますか?
- A. 当初の発表時点では、適した土地・物件を全国で募集中とされていました。東京近郊が有力とみられていますが、2026年4月時点で正式な場所は未発表でした。
- Q. 三井不動産が投資することで何が変わりますか?
- A. 三井不動産は国内の商業施設・オフィスビル・マンションなど大規模不動産を多数保有しており、その施設内へのピックルボールコート設置が加速する可能性があります。駅近の屋内コートが増えることで、初心者のアクセス障壁が大幅に低くなる見通しがあります。

