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テニス経験者の72.5%が関心、33万人市場が持つ36倍の余白

2026 7/03
トレンド ニュース
2026年7月3日
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この記事の要約
ピックルボールワンの市場調査が国内競技人口33万人・潜在1189万人と推計。最大の示唆はテニス経験者の72.5%が関心を持つことにある。テニス層が移りやすい理由と、日本のコート・用品ビジネスへの効き方を考える。

国内のピックルボール競技人口は約33万人、まだ始めていないが関心を持つ「潜在層」は1189万人――ピックルボールワン(東京・千代田区)が約3万人を対象に実施した市場調査でこの推計がまとまった(2026年4月21日にプレスリリースとして公表)。競技人口の36倍という潜在層の大きさが話題を集めたが、施設運営者や用品を扱う事業者にとって本当に効くのは別の数字だ。現役テニス経験者の72.5%がピックルボールに関心を示した、という一点である。

目次

調査が示した「認知は低い、関心は高い」市場

調査によると、ピックルボールの認知率は13.1%にとどまる。調査した11競技の中では9番目で、まだ広く知られたスポーツとは言えない。それでも競技人口は前年の約4.5万人から約33万人へと大きく伸びた。認知が薄いままでも、知った人の関心の高さと歩調を合わせるように7倍近く増えた計算になる。潜在層1189万人という数字は、この「知られていないのに、知れば強く反応する」構造を裏づけている。

ここまでは市場全体の話だ。ただ、1189万人をひとかたまりで眺めても、施設を作る側・用品を売る側の打ち手にはつながりにくい。1189万人のうち誰が最初に動くのかを見極めてこそ、投資の順番が決まる。その手がかりが、テニス経験の有無で関心度が段階的に変わるという調査結果にある。

関心度は「テニス経験の深さ」に比例していた

調査ではテニスとの関わり方別に関心度を分けている。現役でテニスをする人は72.5%が関心を示した一方、過去にやっていた人は30.5%、体験程度の人は26.1%、テニス経験がまったくない人は12.6%だった。テニスとの距離が近いほど関心が高い、というきれいな傾斜が出ている。

この傾斜が意味するのは、ピックルボールが「まったくの未経験者を一から掘り起こす」より、「ラケットで打ち合う楽しさをすでに知っている層を横に引き込む」ほうがはるかに近道だということだ。潜在層1189万人を平らに見るのではなく、まずテニス寄りの層から着火させる。この順番を掴めるかどうかで、施設の稼働も用品の初速も変わってくる。

なぜテニス経験者は移りやすいのか

理由は道具でも場所でもなく、身体の記憶にある。飛んでくる球を横に踏み込んで打ち返す、ネット際の駆け引きを読む、ペアと声を掛け合ってポジションを取る――こうした動きはテニスで身につけた感覚がほぼそのまま生きる。ゼロから覚える競技と違い、初回から「打ち合いになる」体験ができるのは大きい。関心が実際の継続につながりやすい下地がある。

加えて、テニス経験者は年齢を重ねてコートから遠のいた層が厚い。ハードなフットワークやサーブの負担がきつくなり、続けたくても続けにくくなった人たちだ。コートが狭く、球速も抑えめなピックルボールは、その「打ち合いたいが体力的にテニスは重い」という空白にちょうど収まる。関心の高さは、単なる目新しさではなく、抜け道を探していた層の受け皿になっている面が大きい。

実際、調査ではプレー場所として公共体育館(49.5%)に次いでテニスコート(37.9%)が挙がっている。すでに4割近くがテニスコートで打っている。テニス経験者にとっては、通い慣れた場所で新しい競技を始められる。心理的なハードルはさらに低い。

テニス経験と関心度の関係

テニスとの関わりピックルボールへの関心度
現役でプレー72.5%
過去にプレー経験あり30.5%
体験程度の経験のみ26.1%
テニス経験なし12.6%
出典:ピックルボールワン「日本のピックルボール市場調査2026」(2026年4月公表)

日本の施設ビジネスに効く「転用」の経済性

テニス層が動くという事実は、施設側の投資判断を軽くする。ピックルボールのコートは13.4m×6.1mで、バドミントンコートに近いサイズだ。テニスコート1面のスペースには複数のピックルボールコートを引くことができ、既存のテニス施設が最小限の追加投資でラインを足すだけで新しい稼働時間を生み出せる。ゼロから土地を確保して専用コートを建てるのに比べ、初期費用も回収リスクもけた違いに小さい。

ここに、来る客がすでにラケットスポーツ経験者だという条件が重なる。運営側は初心者向けの手厚い指導体制をいきなり整えなくても、まず「テニスの空き時間にピックルボールも」という形で回し始められる。地方の常設コートがプロを呼んでイベント化する動きも各地で出てきているが、その前段として、既存のテニスコートを持つ事業者が最も低リスクに参入できるプレーヤーだと言える。関連する動きは地方常設コートがプロを呼ぶ神戸の事例にも表れている。

用品ビジネスは「乗り換え需要」を狙える

用品側の示唆も明確だ。テニス経験者は道具に金額を払う習慣がすでにある層で、ラケットやシューズに一定の予算を割くことに抵抗が少ない。まったくの初心者が数百円のセット品から入るのとは、単価も買い替え頻度も異なる。関心度72.5%という層は、そのまま「初めからそこそこの一本を買う」用品市場の初期需要になり得る。

この読みは、テニスの名門ブランドが相次いでピックルボールに軸足を移している動きとも整合する。テニスで培った顧客基盤と流通をそのまま横展開できるからだ。国内でも大手スポーツメーカーの参入が始まっており、テニス売り場の隣にピックルボール用品を並べるだけで、経験者の目に触れる導線ができる。ブランド側の動きはHEADがピックルボール会社を名乗る理由やミズノの本格参戦に読み取れる。

数字を追うより、着火点を押さえる

1189万人・36倍という数字は市場の天井の高さを示すが、それだけでは誰も動けない。この調査の価値は、テニス経験の深さと関心度がきれいに比例するという「入り口の地図」を描いた点にある。潜在層の全体を待つのではなく、まず現役・元テニス層に狙いを定める。施設は既存コートの転用から、用品は乗り換え需要から始める。認知13.1%という低さは、裏を返せば「先に着火点を押さえた側が最も長く走れる」市場がまだ手つかずで残っているということだ。

参照元

PR TIMES: 【日本のピックルボール市場調査2026】競技人口33万人、潜在1,189万人―”36倍の成長余地”が示す成長初期市場

ピックルボールワン: 日本のピックルボール市場調査2026 競技人口33万人・潜在1,189万人

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜

ベトナム在住3年目のピックルボール愛好家です。高校時代はバドミントン部に所属し、シャトルを追う毎日を過ごしていました。現在はホーチミンの熱気の中、バドミントンの経験を活かしたスピーディーなボレーと、ピックルボール特有の戦略的な駆け引きにどっぷり浸かっています。現地のコート情報や、バドミントン経験者ならではの上達のコツなど、ベトナムのリアルなプレイ環境をゆるく発信していきます!

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