メジャーリーグ・ピックルボール(MLP)のシカゴ大会(Week 8)で、ダラス・フラッシュが2大会連続の優勝を決めた。決勝形式のドリームブレーカーでブルックリンを21対10で下しての戴冠だ。週末に最も存在感を放ったのはダラスのブルック・バックナーで、5勝1敗、プレーしたポイントの約65%を取る働きでチームを牽引した。数試合前まで最下位に沈んでいたチームが、一人の選手の急成長を軸に連勝へ乗り換えた。個人の伸びがチーム競技をどこまで動かすのか——日本でMLP方式のリーグや育成を考える関係者にも示唆の多い一戦になった。
ドリームブレーカーでブルックリンを21対10、連勝は11に
ダラスはシカゴを無敗で駆け抜け、前週のサンディエゴ制覇に続く連続優勝を果たした。二週間でブルックリン、ロサンゼルス、コロンバスといった上位を相手に勝ちを重ね、連勝は11に達した。優勝で得た順位ポイントは25で、シーズン順位を8位から6位へ引き上げた。シカゴはオーランドでのシーズン最終戦を前にした終盤の一戦にあたる。ただし連勝の勢いがそのまま順位に直結しないのがMLPの構造だ。11連勝を積んでも6位どまりという算段は、ピックルタイムズでもシーズンポイント制の計算として別途扱った。本稿はその裏で個人がどう化けたのかに焦点を当てる。
バックナーが得点率65%で僅差を勝ちに転がした
この週末のダラスは、一言でいえばバックナーの週末だった。5勝1敗に加え、得点率で約65%を記録した点が効いている。プレーしたポイントの三分の二近くを自軍に引き寄せる働きは、僅差の局面を勝ちに転がす力になる。MLPは男女ダブルスと混合ダブルス、決着がもつれた際のドリームブレーカーで構成される。ドリームブレーカーは各選手が順番に入れ替わってポイントを積む個人色の強い形式で、連続して得点できる選手を抱えるチームが競り合いを制しやすい。ブルックリンを21対10と突き放した決勝の点差は、この局面で個人が波に乗ったときの破壊力をそのまま示している。
アセベド8勝1敗、マッキノン1勝9敗——結果を振る個人の調子
チーム全体でも歯車がかみ合った。テキサス出身のニコ・アセベドは8勝1敗、パートナーのエリック・オンシンスも7勝1敗と上位の数字を並べた。対照的にソーカルのウィル・マッキノンは1勝9敗と苦しみ、選手個人の調子がチーム成績を大きく振らす競技であることが浮き彫りになった。
| 選手 | 所属 | 週末の成績 |
|---|---|---|
| ブルック・バックナー | ダラス | 5勝1敗(得点率約65%) |
| ニコ・アセベド | ダラス | 8勝1敗 |
| エリック・オンシンス | ダラス | 7勝1敗 |
| ウィル・マッキノン | ソーカル | 1勝9敗 |
序盤は最下位、その振れ幅がMLPの構造を映す
ダラスはシーズン序盤のオースティン大会で最下位に終わっている。そのチームが二つのタイトルを連取した。振れ幅の大きさは完成度の不安定さの裏返しでもあるが、同時にMLPというフォーマットの性格をよく表す。少人数のロスターで戦うため、一人か二人が波に乗ればチームは短期間で最下位から頂点へ跳ね上がり、逆も起こる。選手が大会をまたいで頻繁に動く流動性も高く、ピックルタイムズでは4チーム間を選手が一周するトレードも追った。獲得した個人がどれだけ早くチームにフィットして得点源になれるかが勝負を分ける。バックナーの台頭は、その適合が短期間で起きた事例だ。
日本のリーグ設計は個人の得点力と試合形式で主役が決まる
日本でこの一戦から取り出せる論点は二つある。一つは、チーム競技であってもピックルボールは個人の得点力が結果を強く支配する事実だ。育成やクラブ運営を考えるなら、チーム戦術の練り込み以前に、僅差の局面でポイントを取り切れる個人を何人抱えられるかが土台になる。もう一つは、フォーマットが選手の見え方を作る点だ。ドリームブレーカーのように個人の連続ポイントが問われる形式は、バックナーのような選手にスポットライトを当て、スターを短期間で生む。リーグや興行を設計する側にとって、どの形式を採るかは、どんな選手を主役にできるかという選択と表裏一体になる。無名に近い選手が一つの週末で牽引役に躍り出る展開は、観る側の関心を新たに引き込む力を持つ。オーランドの最終戦で、ダラスがこの勢いを順位にどう変えるかを追いたい。

