一般財団法人ピックルボール日本連盟が主催する「第2回 PJL ピックルボールジャパンリーグ バーガーキング®カップ」が10月11日、有明テニスの森(東京都江東区)のインドアコートで開幕した。会期は14日までの4日間で、エントリーは計266チーム・延べ1,076人。初日に動いたのは69チームによる企業対抗だった。朝日新聞が12日に報じている。
数字だけを見ると「人気が伸びている大会」で終わってしまうが、エントリーの内訳と会場の押さえ方には、日本でピックルボールの大会がどう成立しているかがそのまま出ている。
7月の告知にあった「800名超」を、エントリーは延べ1,076人で上回った
日本連盟が7月17日に出した開催告知では、予定参加人数は「800名超」、賞金・賞品総額は1,000万円以上(予定)とされていた。エントリー受付は7月25日午前10時開始。そこから約2か月半で、実際のエントリーは延べ1,076人まで積み上がった。告知時点の想定を3割以上超えた計算になる。
ただし、第1回との比較には注意が必要だ。日本連盟の告知は第1回大会について「608名が参加し、アメリカ、台湾、中国、韓国、カナダ、オーストラリアなど7か国から選手が集いました」と書いている。608は実人数、1,076は「延べ」で、朝日新聞も企業対抗やプロなど複数部門の合計として伝えている。一般カテゴリーは初級・中級・上級・上級50+に分かれており、ダブルス競技で部門をまたいで出る選手がいれば、延べ人数は実人数より膨らむ。1.77倍に増えたと読むのは早い。
確度が高いのは、1チームあたりの人数だ。266チームで延べ1,076人なら平均はちょうど4人前後。ダブルス2組+入れ替えという最小構成でチームが組まれていることになり、大会側が「個人エントリーをその場で寄せ集める」のではなく、あらかじめ4人単位の箱を売った形が見える。
初日の69チームは企業対抗、約130社の&BIZ CUPが供給源になっている
266チームのうち初日に出てきた69チームが企業対抗で、全体の4分の1強を占める。この企業カテゴリーは三井不動産との共同開催で、同社が主催する企業対抗リーグ「企業対抗ピックルボール &BIZ CUP」と連携して行われる。&BIZ CUPは約130社が参加する企業対抗リーグで、三井不動産はこの大会のグランドスラムパートナーにも名を連ねている(Sansan、ケネディクスと同じ枠組みで7月に契約)。
つまり、日本で4日間266チームを集めるときの一番太い入口は、クラブの会員でもレーティング上位層でもなく、オフィスビルのテナント企業だという構図になる。米国のクラブはDUPRのスコア提出や会員制リーグで競技人口を囲い込むが、日本では福利厚生と企業間交流の文脈で先に人が動いている。
施設を運営する側から見ると、この順番は値段の付け方に直接効く。週末の個人客より先に、平日昼から夕方に4人単位で動く法人の塊が来る。チーム数で枠を売れるなら予約の歩留まりは読みやすく、キャンセル率も個人客より低い。企業対抗を自前で回す体力がなくても、既存の企業リーグに1日分の会場として入る形なら、コートを持っているだけで参加できる。
テニスのインドア24面を4日間借り切らないと、この規模は作れない
会場は有明テニスの森のインドアコートで、告知の大会概要には24面と明記されている。ピックルボール専用施設ではなく、テニスの屋内コートを面取りしてピックルボール24面に仕立てている。266チームを4日で消化するには1日平均60〜70チームを回す必要があり、専用施設の在庫では足りない。
日本のコート供給は、まだ既存施設の転用と仮設でしのいでいる段階にある。閉館の決まったホテルの地下、駅の高架下、ゴルフ場やスキー場の屋内ホールが次々にコートになっているのはそのためで、敷いて外せる米プロ仕様のサーフェスが日本に入ってきたのも、常設を待たずに面数を作る需要が先に立っているからだ。有明の24面も、大会が終われば元のテニスコートに戻る。
この条件は、大会を企画する側には「会期中の面数は買える、常設の面数は買えない」という制約として残る。地方で同じ規模を狙うなら、専用コートの数より、テニスの屋内施設や体育館を4日連続で押さえられるかが先に来る。
プロは最終日の14日だけ、PX LEAGUE勢と海外選手をその日に寄せた
プロカテゴリーは最終日の10月14日に置かれ、Sansanが進めるPX Leagueとの連携で組まれている。PX Leagueの参画チームに加え、海外のトップ選手を含む特別編成チームが入る建て付けだ。PX LEAGUEは出場36人が確定し、アシックスやメルカリがチームオーナーに名を連ねている。
アマチュア266チームを3日間走らせ、その上にプロを1日だけ載せる。この並べ方は、プロ興行を先に立てて観客を集める米国のツアー型とは逆向きだ。初日から有明に来ている企業チームの選手とその同僚が、最終日にはそのままプロの観客になる。チケットを売る前に会場にいる人数が決まっているので、空席のリスクを負わずにプロの試合を見せられる。
協賛はSansan、三井不動産、ケネディクス、ZIPAIR Tokyo、JOOLA、青山スポーツ、DIADEMが並ぶ。用具メーカーと不動産・ITが同じリストに載るのは、競技人口を売る相手が選手だけでなく、コートを置く側とそこに人を流す側の両方にあるからだ。
バーガーキングは2年続けて冠、10月はコラボバーガーと大会名の両方で出した
タイトルスポンサーはバーガーキングで、運営するビーケー・ジャパンが名を連ねる。第1回から2年続けての冠だ。野村一裕代表取締役社長兼CEOは、競技レベルの向上を見込みつつ、新しく参加する人が楽しめる大会にしたいと述べたと朝日新聞は伝えている。日本連盟のリオダン・リカ理事長は、老若男女が楽しめる点が魅力だとして、日本各地で大会が開かれるよう盛り上げたいと語った。
同じ10月、バーガーキングはピクルス11枚を挟んだコラボバーガーを690円から売り出している。ピクルスという商品の語感と競技名が重なる偶然を、商品棚と大会名の両方で使い切っている。飲食チェーンがスポーツの冠を取ると、ふつうは認知のための出費で終わるが、この組み合わせでは大会名を言うたびに商品名が出る。競技側にとっても、全国チェーンの店頭で名前が露出するスポンサーは、用具メーカー以外の入口を一つ増やす意味を持つ。
次に出るなら、エントリー開始は7月下旬に来る
今回のエントリー受付は7月25日午前10時に開いた。開幕の約2か月半前で、4人単位のチームを組んでから申し込む形になる。社内で声をかけて4人をそろえ、カテゴリー(初級・中級・上級・上級50+)を決めるまでに時間が要るので、動き出すのは6月中が現実的だ。企業カテゴリーを狙うなら、三井不動産の&BIZ CUPに出ているかどうかが近道になる。
参加費を抑える経路もある。日本連盟は5月にアマチュアリーグ「Minor League Pickleball(MiLP)」の日本国内独占ライセンスを取得している。MiLP Japanは各大会の結果にポイントを付け、9月末時点で各カテゴリーのポイント最上位になった個人プレーヤー1人に、PJL バーガーキングカップへの「ドリームチケット」を出す。選ばれた選手は自分で好きなメンバーを集めてチームを組んで出場でき、チーム全体の参加費は無料とされている。MiLPは参加クラブを全国で募集していて、1大会は最低8チームから開催でき、試合結果はDUPRに反映される。地方のクラブが自前の大会を公式戦として回しながら、有明の本戦への席を取りにいける筋が通っている。
有明の24面は14日に片付けられ、テニスコートに戻る。次に266チームが同じ場所に入るのは、またエントリーが開く来年の夏以降だ。
