JOOLAが性格のまるで違う2つのパドルを、7か月ほどの間隔で市場に置いた。競技者向けの「Pro V」と、発泡素材を使った「Power FX」である。Power FXは9月30日に米国発売され、起点記事は179.95ドルと伝えている。一方のPro Vは日本のJOOLA JAPAN(ヨーラ・ジャパン)公式に6形状すべてが税込5万600円で販売されている。公表されている寸法では、6つの形状のうち4つが同じ外接寸法になっている。
精度重視のPro Vと発泡素材のPower FX、並べて何が違うのか
Pro Vはフレームをたわませて面を安定させるという設計
Pro Vは起点記事がPro IVシリーズの精神的な後継と評したシリーズで、売りは同社がKineticFrameと呼ぶ機構だ。喉(スロート)部分のフレームを細くし、インパクトでたわんでから戻ることで面が狂わずにエネルギーが伝わるとJOOLAは説明している。ホッケースティックとゴルフクラブのキックポイント設計から着想を得たという説明だが、置きどころが読みやすくなるという効き方は同社の主張で、第三者の計測結果として確認できたものではない。
Power FXは9月30日に米国発売、179.95ドル
Power FXは、JOOLAが発泡素材で組んだ初のパドルとして打ち出したモデルだ。既存の特許技術Propulsion Coreに発泡材を重ねた16mm厚で、色はDaydream(グリーンとティール)の1色。公式のティーザーページに読める文字は「Available 9.30.26」だけで、色名は起点記事による。179.95ドルは9月24日の欧州中央銀行の参照相場(1ドル=158.85円)で約2万8600円にあたる。
チーフ・エクスペリエンス・オフィサーのGordon Kaye氏は「誰もがパワーを手にしていい」として、プロ向けの技術を全プレーヤーに届ける狙いを語った。プロダクト責任者のAustin Kim氏は「発泡材では何世代も作ってきた」「新しいことを試したわけではない」と述べている。
6形状を1つずつ当たると、公表外寸は3種類しかない
幅19.1cm・長さ41.9cmが4形状で同じ値
形状はPerseus、Kosmos、Scorpeus、Hyperion、Agassi、Grafの6つ。ところがヨーラ・ジャパンの各商品ページの寸法表を6形状ぶん突き合わせると、Perseus・Hyperion・Agassi・Grafの4つがいずれも幅19.1cm×長さ41.9cmで同じ数値になる。輪郭の違いは、公表されている幅と長さには表れていない。JOOLA自身、Graf Pro Vの16mmはAgassi Pro Vの16mmと同じ形で、違いはグリップの細さと配色だと商品説明に書いている。
外寸で明確に分かれるのはKosmos(19.6×41.4cm)とScorpeus(20.3×40.6cm)で、Scorpeusは最も幅広で最も短い。JOOLAが形状が同じだと明記しているのはグラフ16mmとアガシ16mmの1組で、こちらはグリップ円周の違いで分けられている。ペルセウスは角を丸めた輪郭、ハイペリオンは同社の言うエアロカーブと説明が分かれており、外接寸法が同じでも輪郭は別物として売られている。
14mmと16mmで変わるのは重量とグリップ円周
厚みは各形状に14mmと16mmがあり、Graf Pro Vだけ16mm専用。JOOLAの商品説明では16mmが8.1オンス、14mmが7.9オンス(グラフはオンスの公表なし)、幅広のScorpeusは16mmが8.2オンス、14mmが8.0オンス。グリップ円周は日本公式の表記で10.5cmと10.8cmの2通りあり、原則は16mmが10.8cm、14mmが10.5cmと厚みで変わる。ただしシモーネ・ジャルディムのペルセウス16mm、アナ・ブライトのスコーピアス16mm、グラフ16mmの3つは16mmでも10.5cmだ。
| Shape | 公表外寸(幅×長さ) | Thickness | Grip circumference |
|---|---|---|---|
| Perseus Pro V | 19.1×41.9cm | 14mm/16mm | 10.5/10.8cm |
| Hyperion Pro V | 19.1×41.9cm | 14mm/16mm | 10.5/10.8cm |
| Agassi Pro V | 19.1×41.9cm | 14mm/16mm | 10.5/10.8cm |
| Graf Pro V | 19.1×41.9cm | 16mmのみ | 10.5cmのみ |
| Kosmos Pro V | 19.6×41.4cm | 14mm/16mm | 10.5/10.8cm |
| Scorpeus Pro V | 20.3×40.6cm | 14mm/16mm | 10.5/10.8cm |
日本ではPro Vの6形状が税込5万600円で販売されている
米国299.95ドルを9月24日の参照相場で直すと
起点記事にPro Vの価格と発売日の記載はない。JOOLA公式ストアを開くと形状・厚みを問わず一律299.95ドル、ヨーラ・ジャパンでは税別4万6000円・税込5万600円だった。米国表示は売上税を含まない建値なので税別同士で比べると、299.95ドルは1ドル=158.85円で約4万7600円。日本の税別価格はその換算値より1600円ほど低い。
価格の感覚は国内企画のパドルと並べると掴みやすい。東宝監修のゴジラパドルは初回200本を4万4千円で出している。Pro Vはそれより上の価格帯にある。日本市場の伸びはDUPRのデータから成長率を見た記事で扱った。
限定色のラリー ロケットは税別5万3000円(税込5万8300円)
ヨーラ・ジャパンには通常のPro Vとは別に「ラリー ロケット」の限定配色がPerseusとKosmosの16mmで並び、税別5万3000円。限定ボックスや透明エッジテープなどが付き、性能は通常のPro Vと同じとJOOLAは説明している。細かい使い勝手を詰め直す動きは他社にもあり、セルカークが2年かけてバッグを一新した例と別の角度からの動きにあたる。
一方、Power FXはヨーラ・ジャパンのパドル一覧(56点)には並んでいない。日本での取り扱いは米国発売後の展開を待つことになる。
大会で使えるかはUPA-AとUSA Pickleballの2つの一覧で決まる
UPA-Aは265件、USA Pickleballは5341件
合否を決める一覧は1つではない。PPAツアーとMLPの親会社UPAが運用するUPA-A公認パドル一覧は48行(同一ブランドの表記違いを含む)265件。対してUSA Pickleballの公認パドル一覧は5341件で、20倍以上の差がある。
Pro Vは両方に載っている。UPA-A側はAgassi・Graf・Hyperion・Kosmos・Perseus・Scorpeusの6形状で計11件が2026年2月9日付。USA Pickleball側はPerseusの14mm・16mmが2025年10月1日、残る5形状が2025年11月11日付で、さらにRadius Pro V 16mmが2026年4月29日付で載る。起点記事の6形状にRadiusは入っておらず、Pro Vを冠する型は一覧側では6つに収まっていない。日本公式の商品説明にも「UPA-A、USAP PBCoR .43認定」と明記がある。
| 一覧 | Operator | 掲載件数 | Pro V | Power FX |
|---|---|---|---|---|
| UPA-A公認パドル一覧 | UPA(同ページはPPAツアーやMLPと並ぶ関連組織として記載) | 48ブランド265件 | 6形状11件・2026年2月9日付 | Perseus Power FX 16mmが2026年9月22日付 |
| USA Pickleball approved paddle list | USA Pickleball | 5341件 | 12件・2025年10月〜2026年4月付 | 2026年9月25日時点で見当たらない |
UPA-A一覧に9月22日付で加わったのは「Perseus Power FX」16mm、型番P16G3FD。既存の「Perseus 3S Dual 16mm」がP16G3Dで、採番はPerseus系の並びに沿う。発表は「POWER FX」だが一覧側はPerseusの形状名を冠しており、取り寄せや大会エントリーでは、商品名だけでなくコアの厚みとグリップ円周を口頭で確認するほうが確実だ。
Junior PPAは8月30日からUPA-A一覧のパドルが必須になった
PPAツアーのジュニア部門は「2026年8月30日以降、Junior PPA Tourの大会に出る全員がUPA-A公認パドル一覧のパドルを使うこと」を要件に掲げ、事前に自分のパドルが対象かを確認するよう促している。海外大会に子どもを連れて出るなら、手持ちが265件の側に入っているかを先に見る話になる。国内大会の規定は別なので、主催者の要項は毎回読むほかない。
日本でいま1本選ぶなら、先に見るべきは型番と厚みの欄
メーカーの性能説明と第三者の認定は別の欄として読む
2本を並べて見えるのは、JOOLAが上級者向けと万人向けを同じ看板の下で割り切って売っている点だ。ただし「精度が上がる」「楽にパワーが出る」はどちらもメーカーの説明で、公認一覧に載っているのは反発係数などの基準を満たしたという事実にすぎない。試打できるなら14mmと16mmを持ち替えて手に残る感触を確かめるほうが早い。
公式のスペック表でも商品名と数値が食い違うことがある
ヨーラ・ジャパンの「シモーネ・ジャルディム ペルセウス プロ V 16mm」は、商品名が16mmなのに寸法表の「コア(mm)」欄が14mmになっている。JOOLAの英語説明では同モデルは16mm・8.1オンスだ。もう1つ、Perseus Pro Vの14mmは英語説明でグリップ円周4.250インチ(約10.8cm)だが、日本語ページの寸法表は10.5cmである。
買う前は厚み、グリップ円周、シグネチャー名、型番の4点をメモし、日本語と英語の両ページで同値か見比べる。割れていたら販売店に厚みとグリップの実測を確認してもらう。5万円の買い物で、ここを飛ばす理由はない。
