静岡県東伊豆町稲取の宿泊施設「伊豆リゾートヴィラ」が7月20日、ピックルボール専用コート全20面のオープニングセレモニーを開いた。運営する伊豆バイオパークは「国内最大規模」と位置づける。もともとテニスコート20面を備えるリゾートで、そのうち6面を改修して20面のピックルボールコートに組み替えた。常設で20面という受け皿は国内にほとんどなく、遠征先や合宿地を探してきた競技者・指導者にとって無視できない開設になる。
宮崎社長は稲取を「聖地」に育てると語った
セレモニーで伊豆バイオパークの宮崎靖志社長は、ピックルボールの可能性を確かめたうえでコートを整備したと述べ、この場所を「聖地」に育てたいと意気込みを語った。坂田真一支配人もテニス施設からの転換と地域活性化への貢献に触れている。施設が掲げる狙いは健康増進・スポーツ振興・観光誘客の三つで、全国規模の大会や合宿の誘致も視野に入れる。
テニス6面から20面を切り出した転用のしくみ
数字は一見ややこしい。テニスコート20面のうち6面を改修し、そこから20面のピックルボールコートを取り出した。ピックルボールのコートはテニスより小さく、テニス1面のスペースに複数面を割り付けられる。今回は6面から20面、面あたりおよそ3面強を確保した計算だ。作業はネットの張り替えとライン引き、路面補修が中心で、更地にアリーナを建てるより初期投資を抑えられる。交通の便が限られる稲取で20面を一気に立ち上げられたのは、この転用のしやすさゆえだ。残るテニスコートを維持したまま専用面を増やす余地も残る。
一般2,200円・伊豆半島住民1,100円の料金設計
| 区分 | 料金(1面・1時間・税込) | 用具貸出 |
|---|---|---|
| 一般 | 2,200円 | 9月末まで無料 |
| 伊豆半島住民 | 1,100円 | 9月末まで無料 |
住民料金を一般の半額に据えた点に狙いが出ている。観光客からは相応の単価を取り、地元住民には日常的に通える価格を出す。前者は宿泊や日帰りレジャーと結ぶ観光収入、後者は平日の稼働を埋める地域利用だ。高齢層も入りやすい競技であることを踏まえると、住民半額は健康増進の看板とも合う。9月末まで用具貸出を無料にした導入期を挟み、手ぶらで試せる状態から常設運用へ移していく。
イベント頼みだった国内に生まれた常設20面
全国のリゾートにはバブル期以降のテニスコートが数多く残り、稼働の落ちた面を抱える施設は珍しくない。そこにピックルボールを重ねる発想は、遊休資産を最小の改修で再稼働させる現実的な解になる。米国では同種の転用が施設チェーンの成長を支え、開業から短期間でチェーンに組み込まれる例もある。ピックルタイムズでも開業8カ月でチェーン入りした米施設を追った。
国内でこれまで面数を稼ぐ取り組みは期間限定が多かった。八王子では最大24面の体験フェスが組まれ、テレビ局主導の夏祭りでは37日間だけコートを置く試みもあった。いずれも終われば面は消える。伊豆リゾートヴィラが違うのは、20面を常設で持ち、日々予約を受けてリーグ戦や連戦の大会を組める土台を恒久設備として据えた点だ。宿泊機能を併せ持つため、日帰り練習だけでなく宿泊を伴う大会や合宿を一つの敷地で受け止められる。
関東圏の大会・合宿を実地で押さえる価値
競技者からすれば遠征・合宿の選択肢が一つ増えた。関東からアクセスできる範囲に20面をまとめて押さえられる場所が生まれたことは、地域大会やクラブ合宿を企画する側の具体的な武器になる。施設を運営する側には、更地からの新設ではなく既存テニス資産の転用という再現しやすいモデルが示された。休眠コートを抱える自治体・事業者は、稲取の「6面から20面」「住民半額」という数字を自前の試算に当てはめられる。ただし20面を埋め続けるのは容易ではない。都市圏から離れた立地で、稼働は観光の波と地域人口の薄さに左右される。「聖地」を名乗り続けるには、大会誘致と定着した地元利用の両輪を軌道に乗せる必要がある。
利用条件は20面・一般2,200円・伊豆半島住民は半額
- 施設:伊豆リゾートヴィラ(静岡県東伊豆町稲取、運営・伊豆バイオパーク)
- コート:ピックルボール専用20面(テニスコート20面のうち6面を改修)
- 料金:一般2,200円/伊豆半島住民1,100円(いずれも1面1時間・税込)
- 特典:9月末までパドルなど用具の貸出が無料
- 問い合わせ:0557-95-3935

