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JOOLAが特許侵害で11パドルメーカーを一斉提訴──Propulsion Core技術をめぐり、Adidas・Franklin含む主要ブランドがITCに訴えられる

2026 6/15
ニュース パドル
2026年4月9日2026年6月15日
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この記事の要約
JOOLAが2026年4月7日、Propulsion Core技術の特許侵害を理由にFranklin Sports、Adidas Pickleball、Paddletekなど11社のパドルメーカーを米国国際貿易委員会(ITC)に提訴。ピックルボール業界過去最大規模の知的財産訴訟となる。

ピックルボールパドル市場に激震が走った。JOOLAは2026年4月7日、同社が特許を保有するPropulsion Core技術の無断使用を理由に、Franklin Sports、Adidas Pickleball、Engage Pickleball、Paddletekなど11社のパドルメーカーを米国国際貿易委員会(ITC)に一斉提訴した。ピックルボール業界では過去最大規模の知的財産訴訟であり、「Gen 3パドル」の定義そのものが問われる事態に発展している。

目次

提訴の概要:11社はどこか

JOOLAが訴えた11社は以下の通りだ。

  1. Franklin Sports
  2. Adidas Pickleball
  3. Engage Pickleball
  4. Paddletek
  5. Proton Sports
  6. RPM Pickleball
  7. Friday Labs
  8. Diadem Sports
  9. Facolos
  10. ProXR Pickleball
  11. Volair

注目すべきは、このリストにSelkirkが含まれていない点だ。Selkirkの最新モデル「Era Power」シリーズは、コア全面をフォームで覆うフルカバレッジ設計であり、JOOLAが問題視している「U字型のペリメーターフォーム構造」とは技術的に異なるため、訴訟対象外とされている。一方で、Diademや各社のコア技術が正面から問われる形となった。

争点:Propulsion Core技術とは何か

Propulsion Coreは、JOOLAが2024年に「Gen 3」パドルとして市場に投入した特許技術だ。従来のピックルボールパドルがポリプロピレンハニカムコアのみで構成されていたのに対し、Propulsion Coreはコアの上半分にEVAフォームを馬蹄形(U字型)に配置する。これにより、パドルの打球面に「ダイビングボード」のような制御された弾性が生まれ、スイングスピードを上げなくても強力なドライブやスピードアップショットが打てるようになる。

JOOLAはこの技術を搭載したHyperionやPerseusシリーズ、さらにMOD TA-15、3S、3S Dual、Pro IV、Pro Vなどの製品ラインで大きな商業的成功を収めた。Ben Johnsをはじめとするトッププロの多くがGen 3パドルを使用したことで、この技術は瞬く間に「パワーパドルの標準」として認知されるようになった。

なぜ今提訴なのか──2年間の「沈黙」の裏側

JOOLAがGen 3パドルを発表したのは2024年。それから約2年間、業界では多くのメーカーが同様のU字型ペリメーターフォーム構造を採用したパドルを次々とリリースしてきた。The Kitchenの報道によれば、Gen 3パドルはわずか2年で「JOOLAの独占的イノベーション」から「業界標準」へと変貌した。

この2年間の沈黙について、JOOLA CEOのRichard Lee氏は公式声明で「これは反射的な対応ではなく、原則に基づいた決断だ」とコメントしている。特許の審査・登録プロセスに時間がかかったこと、そして競合他社に「独自の技術を開発する機会」を与えた上での提訴であることを強調している。

Lee氏はさらに「イノベーションを守ることは、他社の活動を制限することではない。このスポーツを前進させるために必要な投資、創造性、エンジニアリングが持続可能であることを確保するためだ」と述べた。

ITC提訴の意味──単なる損害賠償請求ではない

JOOLAが提訴先にITC(国際貿易委員会)を選んだことは、戦略的に大きな意味を持つ。ITCは連邦裁判所とは異なり、特許侵害品の米国への「輸入差し止め命令」を発行する権限を持つ機関だ。つまり、JOOLAが勝訴した場合、被告11社のパドルが米国市場から物理的に排除される可能性がある。

ピックルボールパドルの製造は多くの場合、中国や台湾の工場で行われている。ITCでの勝訴は、これらの工場から米国への輸入そのものを止める効力を持つため、被告企業にとっては連邦裁判所での金銭的賠償以上のダメージとなり得る。USA Pickleballが進めるパドル検査の厳格化と相まって、パドル業界の品質管理と知財保護がかつてないレベルで注目されている。

業界への波紋──プレーヤーへの影響は?

今回の訴訟が一般プレーヤーに直ちに影響を及ぼすことはない。すでに購入済みのパドルが使えなくなるわけではなく、2026年のUSAPルールにおいても、使用パドルの特許状況は規制対象外だ。

しかし中長期的には、以下の影響が予想される。

パドル価格の上昇
被告企業がライセンス料の支払いに応じた場合、そのコストは製品価格に転嫁される可能性が高い。現在150〜250ドルが主流のGen 3パドルの価格帯が上方にシフトする可能性がある。

技術の差別化が加速
U字型フォーム構造が使えなくなった場合、各社は独自のコア技術を開発せざるを得なくなる。SelkirkのフルカバレッジフォームやCarbonの熱成形技術のように、Propulsion Coreとは異なるアプローチが増えるだろう。パドルの重量バランスや打感も、今後さらに多様化していくはずだ。

新興ブランドへの参入障壁
Gen 3技術を「模倣」して市場参入してきた新興ブランドにとっては、ライセンス交渉や独自開発のコストが参入障壁となる。資金力のないブランドは市場からの撤退を余儀なくされるケースも出てくるかもしれない。

被告11社の反応

The Kitchenの報道によると、同メディアは被告11社全てにコメントを求めたが、記事公開時点では「いずれの企業からも回答は得られていない」としている。Franklin Sportsは最近、世界ランク1位のAnna Leigh WatersとNikeとの大型契約を発表したばかりであり、同社がJOOLAの訴訟にどう対応するかは、業界全体の注目を集めている。

今後の展開

ITC訴訟の審理には通常12〜18か月を要する。JOOLAが並行して連邦裁判所にも提訴するかどうかは現時点で明らかになっていないが、同社が「ユーティリティ特許、デザイン特許、商標、著作権」を含む包括的な知的財産ポートフォリオで保護を図っていると公式に表明している点から、追加の法的措置が取られる可能性は十分にある。

ピックルボールが急成長を続ける中、パドル技術をめぐる知財戦争は今後さらに激化するだろう。Gen 3の次にどんなイノベーションが生まれるのか──今回の訴訟は、その答えを業界全体に突きつけている。

よくある質問

Q. 今持っているGen 3パドルは使えなくなるの?

いいえ、すでに購入済みのパドルに影響はありません。訴訟は製造・輸入・販売に関するもので、個人の使用は対象外です。大会での使用もUSAP認定が有効な限り問題ありません。

Q. JOOLAが勝ったら、他社のGen 3パドルは買えなくなる?

ITCが輸入差し止め命令を出した場合、該当するパドルの米国への輸入が禁止される可能性があります。ただし、各社がライセンス契約を結ぶか、設計を変更して非侵害品を開発すれば、販売は継続できます。

Q. なぜSelkirkは訴えられていないの?

Selkirkの最新「Era Power」シリーズは、コア全面をフォームで覆うフルカバレッジ設計を採用しており、JOOLAが特許を主張するU字型ペリメーターフォーム構造とは技術的に異なるためです。

参照元

  • The Dink Pickleball – JOOLA Files Patent Infringement Case Against 11 Paddle Brands
  • PR Newswire – JOOLA Files to Protect Patented Propulsion Core Technology
  • The Kitchen – JOOLA Pickleball files patent infringement lawsuit against competitors
  • Bloomberg Law – Pickleball Paddle Maker Accuses Rivals of Infringing Patent
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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜

ベトナム在住3年目のピックルボール愛好家です。高校時代はバドミントン部に所属し、シャトルを追う毎日を過ごしていました。現在はホーチミンの熱気の中、バドミントンの経験を活かしたスピーディーなボレーと、ピックルボール特有の戦略的な駆け引きにどっぷり浸かっています。現地のコート情報や、バドミントン経験者ならではの上達のコツなど、ベトナムのリアルなプレイ環境をゆるく発信していきます!

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