世界標準のレーティングDUPRと、ニューデリー発の racquet スポーツ基盤Courtlyが2026年8月20日に提携した。狙いはひとつで、Courtlyのアプリで記録した試合を自動でDUPRへ送り、大会でもカジュアルな打ち合いでも同じ数値に積み上げる仕組みをインド全土に敷くこと。日本ではレートを取れる場が大会や一部の体験会に限られており、「普段の1試合をどう数値に変えるか」という同じ課題を先に解こうとしている点で、日本のプレーヤーにも読みどころがある。
Courtlyで打った試合が、手入力なしでDUPRに積まれる
今回の提携で変わるのは、スコアが選手のレートに届くまでの経路だ。CourtlyのTournament Management System(大会運営システム)で確定した結果は、主催者が改めてDUPRへ打ち込み直す必要がなく、そのまま公式レートに反映される。加えて、Courtlyのコミュニティアプリで友人と記録したカジュアルな試合も同じDUPRに合流する。大会の一戦とコートでの遊びの一戦が、別々の帳簿ではなく一本の数値にまとまる。
DUPRは勝敗だけでなくスコア差も織り込んで動く仕組みで、数をこなすほど数値が実力に近づく。だからこそ、記録が抜け落ちる試合が多いほどレートは荒くなる。Courtlyのように大会のスコアもアプリの一戦も同じ口に流し込めれば、母数が増えて数値の解像度が上がる。今回の提携は、その母数をインドの現場でまとめて拾いにいく設計だ。
DUPRのCEOティト・マチャド氏は、この提携で「選手が上達を追い、試合をし、アジアの広いコミュニティとつながることが容易になる」と述べている。Courtly創業者兼ディレクターのタニシュク・マヘンドゥル氏は「世界で信頼されるレーティングを、Courtlyの全プレーヤーの手元に直接届ける」と位置づけた。運営側の手間を削り、記録の入口を増やす。派手さはないが、レートを普及の土台にするうえで効く一手だ。
30の大会フォーマットとDUPRで、実力が近い者同士を組む
Courtlyは主催者に30種類の競技フォーマットを用意している。総当たり、ダブルエリミネーション、リーグ戦といった型を、参加者の顔ぶれに合わせて選べる。ここにDUPRのレートが重なると、主催者は数値を物差しにドローを切り分けられる。3.0前後の初心者卓と4.5級の上級卓を分ける、といった仕分けが感覚ではなく共通指標で決まる。
この「フォーマットの自由度×レートによる振り分け」は、日本の草の根大会が抱える悩みと重なる。実力差が開いたブロックでは初心者がすぐ姿を消し、上級者は消化試合を強いられる。エントリー時点でレートが揃っていれば、1回戦から競り合いになりやすい。運営システムとレートが一つの画面で完結するCourtlyの設計は、参加者の満足度を組み合わせの段階で作りにいく発想だ。
Courtlyは大会・アプリ・自主リーグを一社で抱える
Courtlyはニューデリーに拠点を置き、大会運営システム、選手向けのコミュニティアプリ、そして自前の競技シリーズを一体で運営している。自主イベントにはAmateur Pickleball Tour、Minor League Pickleball India、Corporate Pickleball Leagueが並ぶ。アマチュアの登竜門から企業対抗まで、レートが動く場を自社で複数持っているのが強みだ。
インドはこの1〜2年、公認連盟IPAが学校とコートから150大会を積み上げる普及策を進めるなど、競技化の速度が際立つ。そこへDUPRという世界共通の物差しが差し込まれると、インド国内の一戦が海外の一戦と同じ重みで比較できるようになる。ベトナムでもハノイの1勝がLAの1勝と同じ価値になる標準化が進んでおり、アジアの主要国が相次いでDUPRを共通言語に選び始めている。
日本はUTRやPIQLZで、同じ「日常→数値」を別々に試している
日本でも、日常の一戦を数値に変える試みは動き出している。横浜ではアマチュアの1試合を世界基準のレートに換算するUTRツアーが始まり、壁打ち5分で仮のDUPRを出すPIQLZ提携のような初心者の入口も生まれた。ただ日本の場合、レートを取れる仕掛けが会場やイベントごとに散らばっており、大会に出た日だけ数字が動く人が多い。
Courtlyの座組みが示すのは、大会運営とコミュニティアプリと自主リーグを一社で束ね、そこで打った試合を残らずレートに送る垂直統合の形だ。インドは選手の商業化でも日本の先を走っており、大会・アプリ・レートを一体で回す土台がその推進力になっている。日本ではまだ、大会運営会社と記録アプリとレート提供者が別々に動く場面が多く、プレーヤーがどこで数字を積むかを自分で選ばざるを得ない。
だから日本のプレーヤーが今できるのは、DUPR対応の大会や記録アプリを選び、一戦ごとに数字を残すこと。会場をまたいでも同じレートに積み上がる場を選べば、次に組む相手やブロックの精度が上がる。仲間内の練習試合でも、記録が残る形で打っておけば実力の変化が見える。インドの提携は遠い国の話に見えて、「どこで打てば記録が残るか」を日本の側でも問い直させる。

