都心の一等地でピックルボール専用コートを単独運営するのは、なかなか割に合わない。地価と賃料が高く、面数を確保しづらいからだ。この壁を「別業態との相乗り」で越えようとする施設が、東京・南青山に登場した。株式会社CopterOneが運営する複合型インドアスポーツ空間「Pickle9(ピックルナイン)」が、2026年7月1日にプレオープンし、7月15日にグランドオープンする。既に稼働しているインドアゴルフ施設の中にコートを差し込む設計で、日本のプレーヤーにとっては「都心でどうコートを増やすか」という積年の課題への一つの回答になっている。
Pickle9とは何か
Pickle9は、東京都港区南青山3-4-8 KDXレジデンス南青山B1Fにあるインドアゴルフ施設「Loun9ine 青山パークナイン店」の中に併設される。屋内のピックルボール専用コートに加え、シミュレーションゴルフ4打席とパター練習場を備える複合型の空間だ。営業時間は11:00〜23:00(最終予約は22:00)で、コートレンタルは税込9,000円〜/1時間。会員登録は不要で、予約はオンラインで完結する。7月1日から14日までのプレオープン期間を経て、7月15日に本格開業する。
アクセスは東京メトロ銀座線「外苑前」駅から徒歩約6分、半蔵門線・千代田線「表参道」駅から徒歩約7分。運動施設としては破格に交通至便な立地に、ゴルフとピックルボールが同居する形になる。
「ゴルフ×ピックル」という業態が新しい理由
この施設の面白さは、ピックルボール単独では成立しにくい都心の経済条件を、ゴルフ側の収益基盤で支えている点にある。母体となるLoun9ineは2022年7月に開業した150坪級のインドアゴルフ施設で、赤外線と高速カメラで弾道を計測するFULL SWING製シミュレーターや、傾斜を変えて複数のパッティング場面を再現するバーチャルグリーンなど、設備投資の厚い施設として知られてきた。すでに固定客と設備、そして高家賃を吸収できる客単価を持つ空間へ、稼働の余白を埋める形でコートを足したわけだ。
コート単独の専用施設なら、賃料と面数のバランスを取るのに郊外や地下・空きテナントを探すことが多い。だがPickle9は、既存業態の集客動線と設備償却の上にコートを乗せることで、南青山という一等地の家賃を正面から相手にしている。ここが従来の都心インドア施設と発想が違う。
都心インドアの料金水準と照らす
Pickle9のコートレンタルは1時間9,000円〜。都心の他施設と並べると、水準感が見えてくる。
| 施設・エリア | 形態 | コートレンタル目安 |
|---|---|---|
| Pickle9(南青山) | ゴルフ複合・屋内 | 9,000円〜/1時間 |
| 都心型インドア(新橋エリア) | 専用・屋内 | 7,000〜10,000円/1時間 |
| ホテル内施設(品川エリア) | 屋内・ホテル併設 | 8,000〜11,000円前後/1コマ |
数字だけ見れば突出して高いわけではなく、都心一等地のインドアとしては相場の範囲に収まっている。裏を返せば、この価格帯はコート単独では立地を選ぶが、別業態と組めば一等地でも成り立つ、というのが今の都心の実勢だと読める。
広がる「相乗り型」の潮流
コートを主役に据えず、既存の集客資産に乗せる動きは各地で目立ち始めている。ホテルが屋上や宴会需要と組み合わせたり、旅行会社が街なかの遊休地を運営したりと、担い手はスポーツ専業に限らない。都心の一等地で面数を確保する難しさが共通の背景にあり、「ピックルボール単独では地代を払えないが、他の収益源があれば成立する」という判断が各所で働いている。
Pickle9のゴルフ×ピックルは、その中でも設備の親和性が高い組み合わせだ。屋内・天候非依存・少人数・予約制という運営条件がゴルフシミュレーターとほぼ重なり、フロントや更衣、予約システムを共用しやすい。ゼロから専用施設を建てるより、初期投資と運営負荷を抑えて一等地に出られる。
日本のプレーヤーにとっての意味
プレーヤー目線で見ると、Pickle9の登場は「都心で夜遅くまで、天候に左右されず打てる場所」が一つ増えたということだ。23:00まで営業し会員登録も要らないため、仕事帰りに単発で予約して打つ使い方がしやすい。表参道・外苑前という立地は、都心で働く層のアフター需要と噛み合う。
一方で、1時間9,000円〜という価格は、1人で気軽に、というより2〜4人で割って使う前提の設計に見える。ダブルス中心のピックルボールなら、4人でコートを1時間借りれば1人あたりの負担は現実的な水準に収まる。都心の限られたコートを効率よく使うなら、あらかじめメンバーを固めて予約枠を取りに行くのが賢い。ギア面でも、屋内インドアで使うなら音や打感の相性を確かめておきたいところで、都内には300種のパドルを試打できる渋谷の専門店のような場も増えている。事前に自分に合う一本を選んでおくと、限られたコート時間を無駄にせずに済む。
市場への波及をどう見るか
相乗り型が都心の標準になれば、コートの数え方が変わる。専用施設だけを数えていた時代から、「余白を持つ既存施設が何面まで転用できるか」という潜在供給を含めて見る必要が出てくる。ゴルフシミュレーター、フィットネス、ホテル宴会場など、屋内・予約制・天候非依存の空間はいずれもコート化の候補になり得るからだ。
ただし相乗り型には弱点もある。母体業態が主で、コートはあくまで稼働の穴埋めという位置づけだと、面数拡張や大会開催のような競技側の要求には応えにくい。本格的な競技拠点は、やはり20面超のフラッグシップ施設構想のような専用の大型投資が引き受ける。都心の相乗り型は入口を広げ、郊外・大型の専用施設が競技の深さを支える——この二層構造が当面の日本市場の姿になりそうだ。
行く前に押さえておきたい実用情報
- 所在地:東京都港区南青山3-4-8 KDXレジデンス南青山B1F(Loun9ine 青山パークナイン店内)
- アクセス:外苑前駅 徒歩約6分/表参道駅 徒歩約7分
- 営業時間:11:00〜23:00(最終予約22:00)
- コートレンタル:税込9,000円〜/1時間、会員登録不要、オンライン予約制
- グランドオープン:2026年7月15日(7月1〜14日はプレオープン)
都心のインドア事情をもう少し俯瞰したいなら、東京のコート情報をまとめた解説も合わせて確認しておくと、料金や立地の比較がしやすい。
まとめ
Pickle9は、ピックルボール専用コートを都心一等地でどう成り立たせるかという問いに、「別業態の収益で地代を支える」という答えを出した施設だ。プレーヤーとしては、表参道・外苑前で夜まで打てる選択肢が増えたことをまず喜びたい。使うなら、ダブルスのメンバーを固めて1時間枠をシェアするのが料金的にも実用的だ。都心でコートを探している人は、グランドオープン後の予約枠が埋まる前に、一度オンラインで空きを押さえて足を運んでみてほしい。相乗り型がこの先どこまで広がるか、その試金石として観察する価値がある。

