標高1,000メートル超の八ヶ岳南麓、山梨県北杜市のグランドメルキュール八ヶ岳リゾート&スパが、2026年8月10日に屋外専用のピックルボールコート6面をグランドオープンした。使われていたテニスコートを改修したもので、宿泊者はプレー料金が無料。パドルもボールもシューズも借りられて手ぶらで打てる。運営はアコーグループのブランド「グランドメルキュール」だ。避暑地のリゾートが、テニスでもゴルフでもなくピックルボールを6面ぶんもそろえて前面に出した——この一手は、日本でコートを探すプレーヤーにとっても、施設をどう回すか考える運営側にとっても、見どころが多い。
グランドメルキュール八ヶ岳、屋外6面を宿泊者無料で8月10日に開業
いこーよニュース(2026年8月6日公開)と施設公式サイトによると、開業したのは屋外6面のピックルボール専用コート。所在地は山梨県北杜市大泉町西井出8240-1039で、八ヶ岳の高原に立つ滞在型リゾートだ。利用対象は宿泊者で、プレー料金は無料。パドル・ボール・シューズがいずれも無料でレンタルできるため、道具を持っていない滞在客でもそのまま試せる。
宿泊はオールインクルーシブ制で、1泊26,000円〜(2名1室利用時の1名料金)。食事や滞在中のアクティビティを料金にまとめる方式で、ピックルボールもこの「泊まれば込み」の輪の中に入っている。テニスコートを改修して生まれたコートなので、既存の平場を転用したかたちだ。なお公式・報道とも「天候や運営状況によっては利用できない場合がある」と断っており、屋外コートゆえの制約は残る。
箱根は1面1時間1,000円、八ヶ岳は6面無料——リゾートで割れる課金の考え方
同じ「ホテルのピックルボール」でも、料金の付け方は施設によって分かれている。八ヶ岳が宿泊料に溶かし込む無料モデルなのに対し、箱根仙石原プリンスホテルは2026年7月1日から11月30日まで、テニスコート「4番」の1面を専用コートに改修し、1時間1面1,000円の予約制で提供している(プレスリリースによる)。貸出用具が無料な点は両者に共通するが、面数と課金の設計はまるで違う。
| Facility | Number of courts | プレー料金 | 用具レンタル |
|---|---|---|---|
| グランドメルキュール八ヶ岳リゾート&スパ(山梨) | 屋外6面 | 宿泊者無料(オールインクルーシブに込み) | パドル・ボール・シューズ無料 |
| 箱根仙石原プリンスホテル(神奈川) | 屋外1面(テニス4番を改修) | 1時間1面1,000円・予約制 | パドル・ボール・シューズ無料 |
1面を時間貸しで回す箱根は、需要を見ながら期間延長を検討する立ち上げ型。対して八ヶ岳は6面を一気に開き、無料で滞在価値そのものに組み込む。前者は「試しに置いてみる」、後者は「滞在の目玉にする」という、投じ方の温度差がそのまま面数と価格に出ている。旅先でどこまで本気で打てるかは、この設計の違いを見れば読める。
テニスコート改修で6面、ピックルボールが高原リゾートと噛み合う理由
八ヶ岳も箱根も、新設ではなくテニスコートの改修で用意した点が共通している。ピックルボール1面はテニス1面より小さく、テニスコート1面から複数のピックルボールコートを取れる。つまり既存の平場とフェンスを活かして面数を増やせるので、リゾートが遊休化しがちなテニス設備を作り替える先として現実的なコストで収まる。八ヶ岳が一度に6面を開けたのも、この転用のしやすさが効いている。
競技そのものの性質も、家族滞在型のリゾートと噛み合う。コートが狭く、パドルは軽く、ルールは半日あれば覚えられる。運動が得意でない世代でもラリーが続きやすいため、祖父母・親・子の三世代が同じコートで一緒に打てる。用具が無料で借りられれば、旅行の荷物を増やさず、思い立ったその場で始められる。滞在中に「みんなで少し体を動かす」枠として、テニスやゴルフより敷居が低い。避暑地の朝夕の涼しい時間帯に体を動かす過ごし方とも相性がいい。
打てる場所が「都心の相乗り」と「旅先のリゾート」に分かれてきた
日本でピックルボールを打てる場所は、性格の違う二つの方向に広がっている。一つは都心の相乗り型。東京・南青山のPickle9はインドアゴルフ施設に併設する形で、ゴルフの隣にコートを構える都心の勝ち筋を示した。地代の高い都市部では、ピックルボール単独で場所代を賄うより、別の収益源と同居させる作りが動いている。
もう一つが、八ヶ岳のような旅先のリゾート型だ。静岡では東急リゾートタウン浜名湖がUSA Pickleball公認の屋外4面を持つなど、県内の施設が実地で稼働している。北海道のルスツリゾートや、静岡・伊豆の大規模なコート群など、宿泊とセットで打てる場所も夏を中心に増えてきた。八ヶ岳の6面無料は、この旅先型のなかでも面数と条件が踏み込んだ部類に入る。旅程に合わせてどこで打てるかは、全国のコート情報と探し方をまとめたガイドで当たりをつけておくと動きやすい。
泊まって打つなら知っておきたい料金・貸出・天候
八ヶ岳で打つ前に押さえておきたい実務の点を整理する。まず料金は宿泊者無料だが、それはオールインクルーシブの1泊26,000円〜(2名1室・1名料金)に含まれるという意味で、コート単体で誰でも入れるわけではない。日帰り利用の可否は公式・報道とも明示していないので、打つことを目的にするなら宿泊予約が前提になる。
次に道具。パドル・ボール・シューズが無料で借りられるので、旅行の荷物にラケット類を足す必要はない。マイパドルにこだわる人だけ持参すればいい。最後に天候。屋外6面ゆえ、雨や運営状況によっては使えない日がある。滞在中に必ず打ちたいなら、天気の良い時間帯を狙い、到着時にフロントで当日のコート状況を確認しておくと空振りが減る。避暑地の山あいは午後に雨が来やすい日もあるため、午前を軸に組むのが無難だ。
Summary
グランドメルキュール八ヶ岳の6面無料は、ピックルボールを「有料の体験メニュー」ではなく「泊まれば付いてくる滞在価値」として据えた点で、箱根の1面1,000円モデルとは別の賭け方をしている。テニスコートの改修で面数を確保し、三世代が手ぶらで打てる導線まで用意したのは、この競技の軽さと転用のしやすさを高原リゾートの強みに変換した動きだ。夏の八ヶ岳で朝いちにパドルを握る滞在が、宿泊料の内側に静かに組み込まれた。
