屋内の体育館でラリーを続けると、屋外コートで慣れた打球感との差に戸惑うプレーヤーは少なくない。大阪府東大阪市のビーズ株式会社は2026年9月9日、ピックルボール専門ブランド「TOCO」からインドア用練習球を発売した。屋外用を先に手がけてきた同ブランドにとって、屋内向けは初めての一手になる。体育館を借りてプレーする国内のユーザーに向けて、屋内と屋外の打感差の軽減を狙った国産の練習球として投入された。
TOCOがなぜ屋内用の練習球を出したのか
TOCOは「日本発のピックルボール専門ブランド」を掲げ、これまで屋外用の練習球を展開してきた。今回の投入は、ユーザーから「屋内用のボールもほしい」という声が重なったことがきっかけになっている。背景にあるのは、国内のプレー環境の実態だ。海外のように専用屋外コートが潤沢にあるわけではなく、日本では地域の体育館を時間貸しで借りてプレーする形が広がっている。床も天井も壁も囲まれた屋内では、屋外用のボールがそのまま最適とは限らない。
ここで問題になるのが、屋外球に慣れた人が屋内球を打ったときの違和感である。一般に屋内向けのボールは柔らかめに作られる傾向があり、屋外球に慣れた手だと当てたときの手応えが変わって感じられやすい。屋外と屋内を行き来するプレーヤーほど、この差の分だけ持ち替え時の調整が必要になる。TOCOはこの落差を縮めることを開発の主眼に置いたと説明している。
屋外球と屋内球は何が違うのか
ピックルボールのボールは、硬いプラスチックを成型した中空の球体に、複数の穴を空けた構造を持つ。ピックルボールの公式規格では、穴の数は26個から40個の範囲と定められている。同じ規格の枠内でも、穴の大きさと数の組み合わせで飛びやスピードが変わる。屋外向けは小さい穴を多く並べて風の影響を抑え、屋内向けは大きめの穴を少なく配置してスピードを落とし、ラリーを続けやすくする、という作り分けが広く採られている。
今回のTOCOのインドア練習球は26ホール仕様で、屋内側の考え方に沿う。TOCOは、大きめの穴で空気抵抗を持たせてボールスピードを抑え、ラリーを続けやすくする設計だと説明する。加えて、つなぎ目のない一体成型のワンピース構造を採用した。二つの半球を貼り合わせるタイプと違い接合部がないため、飛びや打感の安定と耐久性を狙ったという。屋外用(硬め)と屋内用(柔らかめ)の打球感の差を、適度な手応えを持たせた硬さ設計で軽減した点を、TOCOは最大の特徴として挙げている。
| 比較項目 | 屋外向けの一般的な傾向 | TOCOのインドア練習球 |
|---|---|---|
| 穴の数 | 多め(規格上限は40) | 26ホール |
| 穴の大きさ | 小さめ | 大きめ |
| 狙い | 風の影響を抑える | スピードを抑えてラリー継続 |
| 打感 | 硬く手応えが出やすい | 屋外との差を縮める設計 |
公式規格の26〜40という穴数の幅は、公式球として認められる範囲を示すものだ。そのなかでどの数字を選ぶかにメーカーの設計思想が出る。26ホールは大きめの穴を少なく配置する屋内寄りの構成で、体育館を主戦場に据えた選択とも読める。
価格とセット構成、どこで買えるか
ラインナップは2種類。4個セットと12個セットがあり、練習量や人数に応じて選べる。価格は4個1,430円からで、練習用として買い足しやすい。
| 品番 | 内容 | カラー | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| TPB-104GR | インドア用練習球 4個セット | グリーン | 1,430円 |
| TPB-112GR | インドア用練習球 12個セット | グリーン | 3,300円 |
1個あたりで見ると、4個セットが約358円、12個セットが275円になる。まとめ買いのほうが割安で、サークルや教室のように球数を多く使う現場は12個セットが向く。販売はTOCO公式オンラインストアのほか、販売店や提携スポーツ施設でも扱われる。プレーする施設そのもので買える経路があれば、消耗の速い練習球を補充しやすい。
国産の屋内球は調達と使い分けをどう変えるか
ピックルボールの用具は、パドルもボールも海外ブランドが先行してきた。日本未入荷の新型パドルが秋の話題をさらう状況は、日本未入荷の新パドル5本を追ったこの記事にも表れている。輸入頼みだと、在庫や入荷時期に左右されやすく、公共体育館の利用が多い国内のプレー環境に合わせた作り込みも後回しになりやすい。ボールのように消耗が速く、買い足しの頻度が高い用具ほど、国内で安定して手に入る意味は大きい。
大阪では、ミズノとRondが企業対抗戦を開いた動きのように、国内メーカーが競技シーンに関わる例も出てきた。用具の作り手が現場に近づく流れのなかで、東大阪発のTOCOは屋内という日常の練習環境に目を向けた。海外の強豪ブランドと真っ向から性能を競うより、国内のプレー環境で生じる不便を一つずつ埋めるほうが、国産の現実的な足場になりやすい。屋外と屋内の打感差は、TOCOが差別化点として着目した領域だ。
施設運営者とプレーヤーが確認したいこと
体育館や屋内コートを運営する側にとって、ボールは繰り返し補充する消耗品だ。稲城の商業施設に生まれた常設屋内コートの事例のように、屋内の常設環境が増えれば、床材や照明に合ったボール選びの重要性も上がる。導入前には、実際に使う床でのバウンドと転がり、体育館の反響のなかでの打球音、そして屋外球を使う会員が違和感なく移行できるかを試したい。まず4個セットで床や反響との相性を確かめ、手応えがつかめてから12個セットで複数コート分をまとめて用意する進め方なら、無駄が出にくい。
個人プレーヤーは、屋外と屋内を両方こなすなら、練習で使うボールの種類をできるだけ固定したい。日によって別々の球を混ぜると、打感の基準が定まりにくい。屋内で26ホールの感触に慣れておけば、屋外球へ持ち替えたときの違いも把握しやすくなる。
買う前に4個セットで試したいこと
TOCOのインドア練習球は、屋外と屋内の打感差という、輸入球では手当てされにくかった部分に的を絞った国産球だ。26ホールの一体成型で、価格は4個1,430円から。屋内でプレーする機会が多いなら、まず4個セットを一つ買い、いつも使う体育館の床でバウンドと転がり、打球音、そして屋外球との打感差を実際に確かめたい。性能の評価は打ってみてから決めればよく、手応えに納得できたら教室やサークル向けに12個セットへ広げる、という順番が無理なく進む。

