プロピックルボール最高峰のPPAツアーが2026-27シーズンに入り、上位ペアの組み合わせが大きく入れ替わった。日本の愛好者にとっての焦点は、ハワイ育ちで日本にルーツを持つ10代タマ・シマブクロ(島袋)が、男子ダブルスでJWジョンソンと新たに組んだ点にある。ジョンソンは前年まで組んでいたCJ・クリンガーを外し、島袋を第4シードのパートナーに選んだ。米メディアは、この新コンビの先行きに慎重な見方を示している。
JWジョンソンが組む相手に島袋を指名した
米フォーブスがシーズン開幕に合わせて公開した展望記事は、開幕大会の男子ダブルスで結成された新チームを一つずつ点検している。その中で第4シードとして挙がったのが、JWジョンソンとタマ・シマブクロの初コンビだ。二人が公式戦でペアを組むのは今回が初めてで、記事は「彼らが最初の大会でどれだけやれるか」を問いとして立てている。
ジョンソンはツアー屈指のオールラウンダーで、シングルスでも上位に食い込む。その相棒に、まだ実績を積み上げている途中の10代を据えた選択は、開幕前から話題を集めた。組み替えが集中した今回のシーズンの中でも、注目度が高い一組だ。
クリンガーを外し、フレイジャー時代の再現を狙う
ジョンソンは2025年から2026年春までCJ・クリンガーと組み、多くのメダルを重ねてきた。ただ、この2年の成績は、それ以前にディラン・フレイジャーと組んで頂点に立った時期には届かなかった。フォーブスの整理によれば、ジョンソンはクリンガーとの関係を解き、台頭株の10代と組むことで2024年当時の勢いを取り戻そうとしている。
相棒を失ったクリンガーは、ウィル・ハウエルズと初めて手を組み、第5シードとして新シーズンに臨む。上位ペアの一角が解けたことで、その下に位置していた選手たちの組み合わせも玉突きで動いた。今回の変更は男子ダブルスに限った再編で、ジョンソンは他の種目では別のパートナーと戦う。
右サイド起用に他選手は短命を予想する
ダブルスでは、コートの左右どちらに立つかで役割が変わる。バックハンド側でボールをさばく右サイドと、フォアで攻める左サイドとでは、求められる動きも打点も異なる。フォーブスの筆者は、この新コンビについて「あまり評価できない一組」と踏み込み、理由を島袋の立ち位置に置いた。島袋は伸び盛りの若手だが、今回のペアでは右サイドに回る。そして、これまで右サイドで良い内容を見せてこなかった、という指摘だ。
記事は、他のプロ選手との会話をもとに「このペアは長く続かないと多くが見ている」とも書いている。あくまで開幕前の予想であり、結果が出れば評価は変わる。裏を返せば、島袋が不慣れな右サイドで機能すれば、周囲の下馬評をそのまま覆すことになる。
島袋はハワイの育成網から出た10代の日本系選手
島袋は、ハワイの育成環境から頭角を現した日本系の10代だ。本紙は今夏、彼が東京の国際大会で金2つを手にした戦いぶりをハワイ育成網の底力として報じた。パドルを握って数年で世界の舞台に立ち、深センの大会では混合ダブルスで金を獲得、三冠にあと一歩まで迫った試合も記憶に新しい。
その若手が、ツアーの中心選手の一人に相棒として指名された。日本にルーツを持つ選手が最上位の常設ツアーで第4シードの一角に座る状況は、日本のピックルボールを追う側にとって身近な題材になる。船水雄太ら日本勢がアジアや欧州のPPAで結果を出し始めた流れとも重なり、海外トップの動きを他人事として眺めにくくなっている。
アルション・ダエスク、パトリキン・スタクスルードは旧コンビに戻った
組み替えはジョンソン周辺だけではない。第2シードでは、クリスチャン・アルションがアンドレイ・ダエスクと再びペアを組んだ。二人は2025年の大半を一緒に戦い、金銀銅を積み上げた実績がある。第3シードには、ヘイデン・パトリキンとフェデリコ・スタクスルードが復活。この組は2024年のツアー・ファイナルズで金を獲得してデビューし、昨年11月のダラスでも優勝している。
ほかにも、デケル・バーとディラン・フレイジャー(第7シード)、タイソン・マガフィンとニコ・アセベド(第12シード)といった新旧の組み合わせが並ぶ。第14シードのパブロ・テレスとマックス・フリーマンは、左利き二人を並べた変則ペアとして目を引く。上位陣が旧知の相棒に戻る一方で、ジョンソンだけが未知の若手に賭けた構図が浮かび上がる。
ベン・ジョンズ組とウォーターズは無敗のまま新シーズンに入る
再編の一方で、崩れていない絶対的な軸もある。男子ダブルスは、ベン・ジョンズとゲイブ・タルディオの組が2025年11月から無敗を続けている。女子ダブルスでは、アンナ・リー・ウォーターズとアンナ・ブライトが2025年9月以降13大会連続で優勝。ウォーターズはシングルスでも2024年6月から25大会を連取している。
本紙は以前、ウォーターズを軸にした王者ペアがなぜ崩れないのかを記録の面から掘り下げた。頂点が固定されているからこそ、その下でどのペアが挑戦権を握るかが年間を通じた見どころになる。ジョンソンと島袋のような新コンビは、この壁を崩す候補として位置づけられる。
PPAツアーはシード制と長い巡回で年間王者を決める
PPAツアーは、北米を中心に世界各地を巡る常設のプロ興行だ。1大会でシングルス、男子・女子ダブルス、混合ダブルスの各種目を並行して行い、選手はランキングに応じてシードを割り振られる。今回の「第4シード」という表記も、開幕大会のドローでの位置づけを指す。
ツアーは年間を通じて多数の大会を重ね、獲得ポイントで序列が動く。個々の大会結果に加え、種目を横断した強さを測る世界統一ランキングの新設も進み、選手の位置づけは以前より読み取りやすくなった。だからこそ、開幕時点のペア編成がその後の年間レースを左右する。序盤で噛み合わない組は、シードを落として苦しい巡回を強いられる。
日本の読者が島袋の右サイドを注視する理由
島袋のペアは、海外トップの組み替え情報という枠を超えて、日本のコートにいる人にとっても具体的な観戦テーマになる。伸び盛りの10代が慣れないポジションで最上位のパートナーと組み、周囲は短命を予想する。この一点だけでも、開幕大会の男子ダブルスを追う理由になる。
右サイドでの起用が機能するか、あるいは早々にペアを解消するのか。結果はシーズン序盤の数大会で見えてくる。日本にルーツを持つ選手が、世界最高峰のツアーでどこまで踏み込めるか。
まとめ:短命予想を覆せるかが最初の焦点
2026-27シーズンのPPAは、ジョンソンとクリンガーの解消、島袋の抜擢、アルション・ダエスクやパトリキン・スタクスルードの復活という形で、上位ペアが大きく入れ替わった。頂点にはジョンズ・タルディオ組とウォーターズが無敗のまま残る。その下で、下馬評の低い新コンビがどこまで食い込むかが、シーズンの最初の見どころになる。日本系の島袋が右サイドで結果を残せば、開幕前の予想は塗り替えられる。まずは緒戦の内容に注目したい。
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