ピックルの実力評価システムDUPRの参加データで、過去1年に登録者を最も増やした10カ国が出そろった。伸び率は110%から1,200%に及び、上位は東・東南アジアが占めた。米国発の競技が、いま太平洋のこちら側で選手の裾野を広げている。
これは日本のプレーヤーにとって他人事ではない。同じアジアで韓国やベトナムがレート付きの選手を一気に増やす一方、日本の伸びは大会や施設の話に偏り、世界共通の数字には表れにくい。この差が競技力とどう結び付くかを整理する。
1年で110〜1,200%、DUPR登録を伸ばした10カ国はアジアに偏った
The DinkがまとめたDUPRデータは、直近12カ月で最も多くの新規ユーザーを積み増した10カ国を示す。増加率の幅は最小110%、最大1,200%。1,200%は元の登録者が1年で13倍になった計算で、ほぼゼロに近い土台から一気に立ち上がった国があることを意味する。The Dinkはこの顔ぶれを「次の中心地は北米ではない」と表現した。競技の重心が、成熟した北米市場から、これから伸びるアジア市場へ移りつつある。
DUPRは1試合ごとの勝敗から選手のレートを更新する国際的な物差しだ。登録者が増えるほど、その国の試合結果が世界基準で比較できるようになる。ベトナムでハノイの1勝がロサンゼルスの1勝と同じ重みで扱われ始めたように、DUPRの普及は「その国のピックルが世界とつながった」合図になる。単なる愛好者の増加ではなく、レートを持つ競技者が増えている点が重い。
韓国が伸び率首位、マレーシアが2位、ベトナムが3位
The Dinkの続報によれば、新規ユーザーの伸び率で首位は韓国、2位はマレーシア、3位はベトナムだった。総登録者数でもマレーシアは米国・カナダに次ぐ世界3位に浮上し、ベトナムが4位で続く。マレーシアには約300のDUPR登録クラブがあり、クアラルンプールは都市別の登録者数で世界2位に立つ。首都1つで世界屈指の密度に達した格好だ。
数字が示すのは、アジアの中でも先頭集団が固まりつつあること。韓国・マレーシア・ベトナムは、施設の数だけでなくレートを持つ選手を実数で積み上げている。北米の後ろにアジアの3カ国が並ぶ構図は、1年前には見えていなかった。伸び率と総数の両方でこの3カ国が上位に入ったことは、一過性のブームではなく登録者が定着し始めた兆しとも読める。
ベトナムの育成リーグ、マレーシアの300クラブが伸びを支える
急伸の裏には設計がある。ベトナムは初心者を9カ月で全国決勝まで運ぶ育成リーグを用意し、始めたばかりの層に公式戦の出口を与えた。試合に出ればDUPRが付く。出場機会を制度で保証したことが、登録者数の増加に直結している。マレーシアは草の根のクラブを300近くまで増やし、打つ場所と仲間を先に整えた。伸びる国に共通するのは、コートを建てるだけで終わらず、試合に出る導線を同時に敷いている点だ。登録者数は結果であって、原因は「初心者が公式戦にたどり着く仕組み」にある。
日本の伸びはコートの数に出て、DUPRの数字には出にくい
日本のピックルも拡大している。ただ語られ方が違う。伊豆稲取の20面や都心の会員制施設、企業リーグの新設など、話題の中心は施設とイベントだ。競技人口は増えているのに、勝敗を世界基準の数字へ変換して積み上げる動きは、近隣ほど速くない。この差は国際大会で表面化する。DUPRのレートは海外大会のシードやドロー分けの根拠に使われるため、実力があっても数字がなければ格上との対戦を早い段階で引き込みやすい。逆に、レートを持つ選手が国内に厚くいれば、遠征しなくても実力の近い相手と当たり続けられ、成長が速くなる。韓国やベトナムが1年で伸びたのは、この循環に早く入ったからだ。
横浜ではアマチュアの1試合を世界の物差しに変えるUTRツアーが始まり、数字で自分の位置を知る文化が芽生えつつある。個人でできることは早い。DUPRに登録し、練習仲間との試合結果を入力するだけで、韓国やベトナムの選手と同じ土俵の数字を持てる。施設が増えるのを待つ必要はない。
近隣の急伸から日本のプレーヤーが今やること
アジアの勢力図は1年で塗り替わった。韓国・マレーシア・ベトナムが数字で先行し、日本は施設先行で追う。ただしDUPRは国籍を問わず、登録に費用も資格もいらない。今日から登録して地域の試合結果を残せば、来年のデータに日本の1票が加わる。次の一手は、コートを増やす前に、自分の1試合を世界基準へ載せることだ。
- DUPRアカウントを作り、大会だけでなく練習試合の結果も入力する
- UTRツアーなど、レートが付く公式・準公式の試合に出て自分の位置を確かめる
- 韓国・マレーシア・ベトナムの大会情報を追い、DUPRを持って海外遠征の選択肢を広げる

