屋根のあるコートを押さえたから雨でも大丈夫だろう、と思って行ったら、屋根と屋根の継ぎ目から雨が落ちてきて足元が濡れた。ホーチミンの雨季は5月ごろから11月ごろまで続く。三年住んで分かったのは、雨季に打ち続けるコツは「雨に強いコートを選ぶ」ことより、雨で流れる前提でどう予約するかだということだった。
雨の予報は、当てにしないほうがいい
雨季のホーチミンは、午後にスコールが来る日が続く。降っている時間は15分ほどで終わる日もあれば、1、2時間降り続く日もある。やんだあとは晴れることも多い。降水量がいちばん多いのは9月で、台風の影響を受ける年もある。
やっかいなのは、何時に降るかが読めないことだ。天気予報を見て「今日は降らない」と判断しても、コートに着いた頃に降り出すことがある。逆に一日中降るぞという予報の日が、まったく降らないこともある。予報を見て予約するかどうかを決める、というやり方は雨季には機能しない。予報を判断材料にするのではなく、降られても損しない条件かどうかで決めるほうが現実的だ。
ひとつの考え方は、雨季は先の枠を押さえすぎないことだ。ホーチミンはコートの数が多く、当日の飛び込みでも入れることが珍しくない。空を見てから動ければ、降られて丸損になる場面は減らせる。逆に、人数を集めて予定を確定させたい日は、屋根のある面を前もって取っておく。ただしエリアによってコートの密度はかなり違うので、飛び込み前提で動けるかどうかは場所による。この差についてはホーチミンのコート事情に書いた。
返金は期待しないほうがいい
ここが雨季でいちばん痛い部分だ。日本の感覚だと「雨天中止なら返金か振替」と思いがちだが、私が使ってきたコートではそうならなかった。
開始時刻を過ぎたら、もう戻らない
私の経験の範囲では、予約した開始時刻を1分でも過ぎると、そのあと雨で打てなくなっても返金されない。コート側からすれば枠は押さえられていたわけで、理屈は分かる。だが「30分だけ打って土砂降りで終了」でも満額、というのは最初は面食らった。
キャンセルは24時間前、という規定もある
コートによっては、キャンセル可能な期限が24時間前などに設定されている。当日の朝に空を見て取りやめても、その時点ではもう間に合わない。雨季に前日から先の枠を押さえるときは、キャンセル規定を先に確認しておくのが前提になる。前金の考え方や支払い方法はコート料金相場の記事にまとめてある。
屋根があっても濡れる。コートの選び方
「屋根付き」と書いてあれば安心、とはならなかった。私が使ってきた屋根付きコートでは、複数面が並んでいる場合に屋根と屋根の間が開いていることがあった。真上から降るぶんには問題なくても、風を伴うスコールだとそこから落ちてくる。屋根を施工する側も、勾配や雨樋の設計を誤ると横から雨が吹き込むと注意を促していて、屋根付き=濡れないとは限らない。
端のコートは避ける
同じ理由で、いちばん端のコートは濡れやすい。横から吹き込む雨が最初に届くのが端の面で、コートを選べる状況なら私は端を避けるようにしている。予約画面でコート番号を選べる施設なら、真ん中寄りを取っておくと安全度が上がる。
屋根の下でも、置き場所によっては荷物が濡れる
屋根の間や端から吹き込むということは、コートの上だけでなく荷物を置く場所にも吹き込むということだ。ベンチやラックが端に寄っている施設だと、プレー中に着替えやタオルが濡れていることがある。雨季は、着いたときに荷物をどこへ置くかを一度見ておくだけで防げる。
空調付きの屋内面という逃げ道
雨と暑さの両方を確実に避けたいなら、空調の効いた屋内面という選択肢もある。ホーチミンには屋根付きの屋外面を7面持ちながら、空調付きの屋内面を1面用意しているクラブもある。数は少ないが、雨季にどうしても予定を崩したくない日には有効だ。
| コートの種類 | 雨季の使い勝手 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 屋外 | 降ったら終わり。返金も基本なし | 朝や午前など、降りにくい時間帯 |
| 屋根付き(複数面) | 屋根の間と端から吹き込む。真ん中の面を選ぶ | 雨季の主力。時間帯を選ばず使える |
| 屋内(空調あり) | 雨も暑さも虫も回避できる。数が少なく取りにくい | 絶対に流したくない予定 |
濡れるのはコートより、そこへ行く道
意外と語られないが、雨季にいちばん消耗するのは移動だ。ホーチミンは大雨のたびに道路が冠水する。市の集計では、2026年に入ってからの時点で雨による冠水が26路線、高潮によるものが8路線ある。場所によってはバイクの車輪の半分近くまで水が来る。
冠水の常連として名前が挙がる道には、フインタンファット通り(旧7区)も入っている。ただしこの道は雨ではなく高潮による冠水として市のリストに載っている。この通りには人気のあるコートがあるので、大雨のあとだけでなく潮位の高い日も頭に入れておきたい。市は2026年内の完了を目指して総額7兆1,500億ドン規模の対策事業9件を動かしているが、これで解消されるのは50ある浸水地点のうち3カ所にとどまる。いま打ちに行く側としては、降ったあとの道路状況を前提に動くしかない。
もうひとつ、ベトナムのコートは路地の奥にあることが少なくない。大通りが流れていても、コートまでの数十メートルの路地に水たまりができていて靴が沈む。私はこれでシューズを濡らしたことがある。コートに着くまでの数十メートルで、その日の足元が決まってしまう。
コート脇メモ:雨季の夜は、虫が出る
都市部のコートではあまり気にならないが、緑や水辺が近い立地のコートだと、夜は虫が出る。ゴキブリが苦手な人は、雨季の夜に自然が近いコートを選ぶと落ち込むことになる。気になるなら、立地を先に地図で確認しておくか、空調の効いた屋内面を選ぶのが手っ取り早い。逆に言えば、これを気にしない人にとっては選択肢が広がるということでもある。
屋根付き・屋内のコートを条件から探せます。
まとめ
雨季は、予報で判断しようとすると必ず外れる。返金されない前提でキャンセル規定を先に見て、屋根付きなら端を避け、道路の冠水と路地の水たまりまで込みで計画する。ここまでやっておけば、雨季でも打つ回数はそれほど落ちない。
エリアごとのコートの違いはホーチミンのコート事情に、コートと直接やり取りする予約方法はZaloで予約する記事にまとめてある。現地で一緒に打つ相手を探す話はベトナム人プレーヤーの印象もどうぞ。
(文・小島怜/ベトナム在住)

