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アジアで拡大するベトナムのピックルボール|普及の現状と展望

2026 6/14
コート トレンド 大会 海外
2026年2月1日2026年6月14日
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この記事の要約
ベトナムのピックルボールは数年で爆発的に拡大し、2025年には約1,600万人(人口の約16%)という民間推計も登場しました。用品消費は前年同期比で約800%増と勢いは衰えません。この記事では、急成長の背景、最新の普及状況、ホーチミン・ハノイの拠点、Kamitoなど国産ブランド、日本との交流、連盟設立の動きと今後の課題まで、2026年の情報でまとめました。
アジアで拡大するベトナムのピックルボール|普及の現状と展望

いま、ベトナムでピックルボールが爆発的に広がっています。

数年前に上陸したこの新しいスポーツは、ホーチミン市やハノイを中心に専用コートが次々と生まれ、週末には大会やトーナメントが各地で開かれるまでになりました。テニス・バドミントン・卓球の要素をあわせ持ち、年齢や体力を問わず楽しめる手軽さが、ベトナムの人々に受け入れられた大きな理由です。この記事では、急成長の背景、最新の普及状況、主要都市の様子、アジアでの位置づけと今後の課題を、2026年6月時点の情報で整理します。

目次

ベトナムでピックルボールが急成長する背景

ベトナムは、アジアでピックルボールが最も急速に伸びている国の一つです。その背景には、いくつかの要因が重なっています。

若い人口とラケットスポーツ文化

ベトナムは人口構成が若く、新しいスポーツやレジャーへの関心が高い国です。

都市部の中間層が広がり、余暇への支出と健康志向が高まっています。加えて、もともとバドミントンやテニスが親しまれており、似たサイズのコートで遊べるピックルボールへの移行が自然に進みました。ラケットスポーツの土壌があったことが、普及を後押ししています。

製造業の強みと国産ブランド

ベトナムはスポーツ用品の製造国として知られ、その強みがピックルボール用品にも生きています。

国内ではKamito、Sypik、Facolosといったベトナム発ブランドが台頭し、手頃な価格ながら必要な性能を備えた製品を提供しています。多くの国際ブランドのOEM生産を担ってきた経験が、自国ブランドの品質向上にもつながっています。

気候とコストの低さ

熱帯モンスーン気候のため、屋外プレーが年間を通じて可能なのも追い風です。

雨季には屋内施設の需要が高まり、体育館やスポーツセンターへのコート設置も増えています。テニスなどに比べて初期費用が低く、用具レンタルや無料レッスンを用意するクラブも多いため、若者を含む幅広い層が気軽に始められます。

プレー人口と市場の急拡大【数字で見る】

ベトナムのピックルボール人口と関連市場は、ここ1〜2年で桁違いに拡大しました。主な数字を表にまとめます。

指標 数値
プレー人口(推計) 2025年に約1,600万人(人口の約16%)※未公式推計
認知度の伸び 2024→2025年で約152%増(アジア最高水準)
DUPR登録者の伸び 2025年に約184%増
ボール購入額 2025年の最初の10か月で約4,000億ドン(約140万個)

競技人口は爆発的に増加

2024年時点では国内大都市を中心に約1万人とされていた競技者は、その後わずか1年ほどで爆発的に増えました。

2025年10月のUPA Asia(YouGov共同)の推計では、ベトナムのプレー人口は約1,600万人、人口のおよそ16%にのぼるとされています。これは未公式の推計ですが、普及の勢いを示す数字です。若い女性インフルエンサーがSNSでファッショナブルなプレー姿を発信したことも、人気に拍車をかけました。軽量なパドルとボールで怪我の心配が少ない点も、広く受け入れられた理由です。

出典 Vietnam.vn(UPA Asia × YouGov 推計)より作成

SNSとインフルエンサーが火付け役

ベトナムの急拡大を語るうえで外せないのが、SNSの存在です。

若い女性インフルエンサーが、カジュアルでおしゃれなプレー姿をSNSに次々と投稿し、「映える新しいスポーツ」というイメージが一気に広がりました。コートはそのまま撮影スポットになり、プレー動画やファッション、テクニックのハイライトを共有するグループが数えきれないほど生まれています。軽量なパドルとボールで怪我の心配が少なく、運動が苦手な人でも始めやすい点も、こうした拡散と相性がよく、爆発的な認知につながりました。スポーツチャンネルやオンラインで試合配信も増え、見る側の裾野も広がっています。

「億万長者の遊び場」と呼ばれるほどの過熱ぶり

過熱ぶりは、ビジネスや富裕層の動きにも表れています。

現地メディアはピックルボールを「数十億ドル規模の金鉱」「億万長者の遊び場」とまで表現しています。実業家や芸能人がこぞってプレーし、関連事業に投資する動きも目立ちます。一方で、一部のプロ選手からは「健康増進や流行りものの域を出ておらず、本格的な競技とはみなされていない」「高齢者と子どものスポーツだ」といった辛口の評価もあります。爆発的に広がったがゆえに、レクリエーションと競技スポーツのどちらに軸足を置くのか、という議論が同時に起きているのが、いまのベトナムの実情です。

国内市場の急拡大

用品市場の伸びも著しく、消費の数字がそれを裏づけています。

ECや国内紙の統計によると、2025年の最初の10か月だけで、ベトナム人は約140万個のピックルボールを購入し、約4,000億ドンを費やしました。これは前年同期比で約800%という驚異的な増加です。需要に応えるため、コート建設・用品販売・コーチング・大会運営といった関連ビジネスが一斉に立ち上がり、新たな雇用も生まれています。企業のチームビルディングや社内大会、学校・大学でのプログラム導入も進み、職場から教育現場まで、幅広い層に広がり続けています。

出典 VIET JO「ピックルボールがベトナムで流行中」(2024年8月)ほかより作成

主要都市の施設とコミュニティ

ホーチミン・ハノイが二大拠点

ベトナムのピックルボールは、ホーチミン市とハノイが二大中心地です。

両都市には専用コートを備えた施設が複数あり、週末には大会やトーナメントが定期的に開かれています。多くのクラブが無料の初心者レッスンや用具の貸し出しを提供しており、金銭的なハードルが低いのも特徴です。

世代を超えた包括的なコミュニティ

ベトナムのコミュニティは、初心者から上級者まで歓迎する包括的な雰囲気があります。

祖父母から孫まで一緒にプレーする光景もよく見られ、強い家族文化とコミュニティ意識が普及を支えています。多くのクラブが世代や経験を問わず交ざってプレーするため、ピックルボールは単なる運動ではなく、地域や職場の人とつながる社交の場としても機能しています。こうした「対等に楽しめる」性質が、爆発的な広がりの土台になっています。

ピックルボールカフェ・リゾートという新しい業態

過熱する需要を背景に、スポーツと社交を組み合わせた複合施設も次々と登場しています。

一部の起業家は、コートにカフェやバーを併設した「ピックルボールカフェ」や、宿泊とプレーをセットにした「ピックルボールリゾート」を開発しています。プレーの前後に食事や交流を楽しめるこうした業態は、ピックルボールが単なるスポーツを超えて、ライフスタイルの一部として定着しつつあることを示しています。大会面でも、2025年には「Vietnam Pickleball Awards 2025」が立ち上がるなど、表彰や大会を通じてシーンを盛り上げる仕組みづくりも進んでいます。観戦やイベント参加の楽しみ方が広がることで、競技人口だけでなく「関わる人」の総数が増えているのが特徴です。

アジアでの位置づけと国際交流

アジア最速級の成長市場

ベトナムは、アジアで最も急速に伸びているピックルボール市場の一つとして台頭しています。

世界のピックルボール市場規模は調査会社によって幅がありますが、2024年時点でおおむね20億ドル規模、パドル市場だけでも約19億ドルと推計されています。いずれの推計でも、ベトナムはマレーシアと並びアジアで最も成長の速い市場に数えられ、DUPRなどの国際的なデータでもその伸びが裏づけられています。

出典 DUPR「Malaysia and Vietnam Are Leading Asia’s Pickleball Market」より作成

日本との交流が深まる

国際交流も活発で、ベトナムの選手は近隣諸国やアメリカの大会に参加し、技術を磨いています。

日本との関係も深まっており、ベトナム航空は一般社団法人日本ピックルボール協会と、2025年4月1日から2026年3月31日までの1年間、ダイヤモンドスポンサーシップ契約を結びました。航空会社が国内競技団体のトップスポンサーになるのは、ピックルボールが両国をつなぐ観光・交流のコンテンツとして期待されていることの表れです。日本のプレーヤーにとっては、ベトナム遠征や現地大会への参加がしやすくなり、逆にベトナムの選手や愛好者が日本を訪れるきっかけにもなります。距離が近く、両国ともラケットスポーツに親しんできた背景を考えると、今後は選手交流や合同イベント、用品の流通など、幅広い形での連携が広がっていく可能性があります。各国の動向は韓国や中国、タイの記事でも掘り下げています。

出典 PR TIMES「ベトナム航空、日本ピックルボール協会とダイヤモンドスポンサーシップ契約を締結」(2025年4月)より作成

ベトナム発ブランドと製造業の成長

製造業の強みを背景に、ベトナム発のピックルボールブランドが存在感を高めています。それぞれの特徴を整理しました。

ブランド 特徴
Kamito 元はサッカー用品発。ポリマーハニカムコア+グラスファイバーで初〜中級者向け
Sypik 急成長中の専門ブランド。カーボン+グラファイトの複合素材で軽量とパワーを両立
Facolos 「手の届く高品質」を掲げる新興ブランド。伝統的な職人技と現代素材を融合

これらに共通するのは、急成長する国内市場への対応と、国際市場を見据えた品質向上です。国際ブランドとの価格競争力を保ちながら品質基準を満たし、徐々にシェアを広げています。

注目したいのは、ベトナムが多くの国際ブランドのOEM生産拠点でもある点です。長年、海外ブランドの製品を製造してきた技術とノウハウが、自国ブランドの立ち上げを後押ししています。つまり「作る力」と「使う市場」の両方が国内にそろっているわけで、これは他の新興市場には少ない強みです。品質と価格のバランスに優れたベトナム製の用品は、価格に敏感な新興国市場で特に大きな可能性を秘めています。一方で、国際的な認知度の向上、海外の展示会への出展、オンライン販売や流通網の拡大は、グローバル展開に向けた今後の課題です。

今後の展望と課題

連盟設立と統括体制の整備

急成長の一方で、競技を束ねる体制づくりはこれからの段階です。

2025年9月、文化スポーツ観光省はベトナム・ピックルボール連盟の設立準備委員会を正式に承認しました。ただし、包括的な計画や支援策、国際連携を担う正式な統括団体はまだ整っておらず、ルールの統一や指導者育成を含むガバナンスの整備が求められています。爆発的な普及にインフラや制度が追いついていない、というのが現状です。コートの数や指導者の育成が需要に追いつかず、人気施設の混雑や、地域・大会ごとにルールや運営にばらつきが残るといった課題も指摘されています。政府はスポーツ振興の一環として後押しし、地方自治体が公共スペースにコートを設ける動きも広がっており、ボトルネックを一つずつ解消していけるかが、ブームを一過性で終わらせないための鍵になります。

競技力の向上とグローバル展開

現状は健康増進やレクリエーションとしての側面が強く、本格的な競技としての発展はこれからです。

国際大会への参加やプロ選手の育成など、競技力向上の取り組みが期待されます。経済面では、コート建設・用品販売・コーチング・大会運営に加え、ピックルボールカフェやリゾートといった複合施設も登場し、新たな雇用とビジネスを生んでいます。ベトナム製の手頃で高品質な用品が世界市場でシェアを広げる可能性もあり、アジアのハブへと育つ余地は十分にあります。

ピックルボールタイムス編集部
編集部メモ

「1,600万人」という数字はインパクト大ですが、これは民間調査の推計で、正式な連盟がまだ整っていない段階の数字です。ベトナムの本当のすごさは人数より「伸びの速さ」。認知度152%増、用品消費800%増という勢いと、国産ブランドの製造力がそろっている点に、この国ならではの強みがあります。

よくある質問

ベトナムにはピックルボールのプレー人口はどれくらいいますか?

2024年時点では約1万人とされていましたが、その後急増しました。2025年10月のUPA Asia(YouGov共同)の推計では約1,600万人、人口の約16%にのぼるとされています。これは未公式の推計ですが、普及の勢いを示す数字です。

なぜベトナムでピックルボールが急成長しているのですか?

若い人口構成と新しいスポーツへの関心、バドミントンやテニスが親しまれてきたラケットスポーツの土壌、スポーツ用品の製造業の強み、そして低コストで始められる手軽さが重なっているためです。SNSでインフルエンサーが発信したことも拡散を後押しし、用品消費は2025年に前年同期比で約800%増えています。

ベトナム発のピックルボールブランドはありますか?

あります。Kamito、Sypik、Facolosなどが代表的です。手頃な価格ながら必要な性能を備え、国際ブランドのOEM生産で培った技術を背景に品質を高めています。国際的な認知度や流通網の拡大は今後の課題です。

ベトナムにはピックルボールの統括団体はありますか?

まだ正式な連盟は設立前の段階です。2025年9月に文化スポーツ観光省がベトナム・ピックルボール連盟の設立準備委員会を正式に承認しました。ルールの統一や指導者育成など、ガバナンスの整備がこれからの課題となっています。

まとめ:アジアのハブへ育つベトナムのピックルボール

ベトナムのピックルボールは、数年で驚異的な成長を遂げました。

2024年に約1万人とされた競技者は急増し、2025年には1,600万人規模という推計も登場。用品消費は前年同期比で約800%増え、Kamitoなど国産ブランドや日本との交流も広がっています。一方で、正式な連盟の設立やルールの統一、競技力の向上といった課題も残っています。

若い人口、ラケットスポーツの土壌、製造業の強みという条件がそろうベトナムは、アジアのピックルボールハブへと育つ可能性を秘めています。日本にとっても、すぐ近くで進むこの急成長は、今後を考えるうえで見逃せない動きです。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜

ベトナム在住3年目のピックルボール愛好家です。高校時代はバドミントン部に所属し、シャトルを追う毎日を過ごしていました。現在はホーチミンの熱気の中、バドミントンの経験を活かしたスピーディーなボレーと、ピックルボール特有の戦略的な駆け引きにどっぷり浸かっています。現地のコート情報や、バドミントン経験者ならではの上達のコツなど、ベトナムのリアルなプレイ環境をゆるく発信していきます!

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