株式会社ピックルボールワンが2026年6月22日、日本初をうたう全国予選型のピックルボール選手権「PB1 CUP」の始動を発表した。高校サッカー選手権をモデルに、北海道から九州までの8エリアで予選を行い、勝ち上がった代表が一つの全国決勝に集まる。予選は7〜9月、全国決勝は11月1日(予定)に東京・池袋のSansanピックルボールコートで開かれる。エントリー費は1人7,000円(税込)で、Open・35+・50+の3部門に分かれて競う。
これは日本のプレーヤーにとって小さくない出来事だ。これまで国内のピックルボールは単発の大会や交流イベントが中心で、「自分の住む地域の代表として全国を目指す」という縦の動線がはっきりとは存在しなかった。地域予選から全国へという構造が一つできることで、週末に楽しむレベルのプレーヤーにも「勝ち上がる」という具体的な目標線が引かれる。
発表の要旨
主催はピックルボール専業の株式会社ピックルボールワン。予選は全国8エリアで実施し、各エリアの定員はOpen・35+・50+の各部門50名ずつ、合計150名規模を想定している。出場できるエリアは居住地または勤務地によって決まり、好きな地域を選んでエントリーする形ではない。各エリアの各部門から男女1名ずつが全国決勝へ進む。3部門×男女で、1エリアあたり6名の代表が決まる計算だ。
主催者は発表の中で、全国のプレーヤーが一つの目標に向かって集い、つながるための舞台だと説明し、高校サッカーや高校野球のような全国大会の構図を引き合いに出している。予選参加者は全体で800〜1,000名規模を見込むとしている。
PB1 CUPの仕組みと、日本の大会事情
仕組みはシンプルだ。地域で予選を勝ち抜いた選手だけが全国決勝のコートに立てる。高校サッカー選手権でいえば、各都道府県予選を勝ち上がったチームが国立に集まる、あの構図に近い。違いは、年齢で部門が分かれている点と、出場地域が住所・勤務地で固定されている点である。
「住む場所」で戦う土俵が決まる
居住地・勤務地でエントリー先が決まるルールは、地域代表という物語を成立させるための芯になっている。強い選手が一つのエリアに集まって席を奪い合う、という偏りを避ける狙いがあると読める。結果として、どのエリアに身を置いているかが、全国へ進む難易度を左右することになる。
これまでの国内大会との違い
国内のピックルボールはここ数年で施設もプレーヤーも増えたが、大会は主催者ごとに独立した単発開催が多かった。勝っても次の大きな舞台へ自動的につながるわけではなく、実績が一本の線で積み上がりにくい。PB1 CUPは「予選→全国決勝」という一本の道筋を用意した点で、これまでの単発大会とは設計思想が異なる。
大会概要(検証済みデータ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会名 | PB1 CUP |
| 主催 | 株式会社ピックルボールワン |
| 予選エリア | 北海道〜九州の全国8エリア |
| 各エリア定員 | 各部門50名・合計150名規模(Open/35+/50+) |
| 部門 | Open・35+・50+の3部門 |
| エントリー費 | 1人7,000円(税込) |
| 出場エリアの決まり方 | 居住地または勤務地 |
| 全国決勝への進出 | 各エリア各部門から男女1名ずつ |
| 予選期間 | 2026年7〜9月 |
| 全国決勝 | 2026年11月1日(予定) |
| 決勝会場 | Sansanピックルボールコート(東京・池袋) |
※全国決勝日や予選参加者数は発表資料に基づく概算・予定で、開催日・会場の詳細は主催の最新案内で確認したい。
受け止め(意訳・匿名)
発表を受けたプレーヤー側の反応を、複数の声をならして意訳でまとめる。
- 関東で平日夜に練習しているという経験2年ほどのプレーヤーは、「単発の大会だと勝っても次がない。地域代表として全国を狙えるなら、練習する意味が変わる」と前向きに受け止めていた。
- 50代でこの競技を始めたという人は、「50+という部門があるのがいい。同年代だけのトーナメントなら、本気で勝ちに行ける」と話していた。
- 地方の施設運営に関わる立場からは、「うちのエリアは競技人口がまだ少ない。逆に言えば代表枠を取りやすいのでは、という声がコミュニティで出ている」という冷静な見方もあった。
- 一方で、「居住地・勤務地でエリアが固定されるなら、都市部と地方で全国到達の難易度に差が出る」という指摘もあり、ルールの設計を注視する声もある。
プレーヤーへの示唆
ここからは編集部の見立てである。PB1 CUPがプレーヤーにとって持つ意味は、大きく3つに整理できる。
アマチュアでも「全国の舞台」が現実になる
最大の変化は、トップ選手でなくても全国決勝のコートを目指せる入口ができたことだ。Open部門は実力者が集まるだろうが、35+・50+という年齢区分があることで、同世代の中で勝ち上がる現実的なルートが用意されている。仕事や家庭と両立しながら週末にプレーしてきた人にとって、「年齢で区切られた土俵で全国を狙う」という目標は、これまでより手が届く。
狙い目は「部門選び」と「エリアの競技人口」
出場エリアは住所・勤務地で決まるため自分では選べないが、部門は年齢の条件を満たせば選べる。35歳・50歳の境目に近い年齢の人は、どの部門で戦うのが現実的か、競技歴と体力を踏まえて考える価値がある。同年代の層が薄い部門ほど、相対的に代表枠へ近づける可能性がある。
さらに、各エリアから男女各1名ずつしか全国へ進めない設計上、エリア内の競技人口と実力層が、そのまま勝ち上がりの難易度になる。競技人口が成熟していない地方エリアでは、出場者数が定員に届かず、結果として全国への距離が近くなる場面もありうる。自分のエリアの層の厚みを見極めることが、現実的な戦略になる。
地域別の戦い方を意識する
都市部のエリアは出場希望が定員に達しやすく、予選を勝ち抜く密度が高くなりやすい。逆に競技人口の少ないエリアでは、まず定員と参加者の顔ぶれを把握し、早めにエントリーして枠を確保することが効いてくる。住む場所を変えられない以上、自分のエリアの事情に合わせて準備の仕方を変える。これがPB1 CUPでの現実的な立ち回りだ。
競技普及への波及
全国予選型の大会が一つ立ち上がる意味は、個々のプレーヤーの目標づくりにとどまらない。地域予選という器ができると、各エリアに「代表を出す」という求心力が生まれ、地元の施設やコミュニティが大会を軸に動きやすくなる。高校サッカーが地方の部活動を全国とつないできたように、予選の存在は地域単位の盛り上がりを後押しする。
年齢部門が3つ設けられている点も、競技の裾野という観点では見逃せない。35+・50+の枠は、ミドル・シニア層に「自分が主役になれる舞台」を示す。短期的な参加者数だけでなく、長く続けるプレーヤーを増やす設計として機能しうる。日本のピックルボールが一過性のブームで終わるか、定着するかの分かれ目に、こうした継続的な大会構造の有無は効いてくる。
実用情報(エントリー・日程・場所)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エントリー方法 | 主催の案内する応募フォームから申込 |
| エントリー費 | 1人7,000円(税込) |
| 出場エリア | 居住地または勤務地に基づき決定 |
| 部門 | Open・35+・50+から該当する部門を選択 |
| 予選期間 | 2026年7〜9月(エリアごとに開催) |
| 全国決勝 | 2026年11月1日(予定) |
| 決勝会場 | Sansanピックルボールコート(東京・池袋) |
エリア別の開催日・会場・定員の埋まり具合は変動しうるため、参加を検討する場合は主催の最新案内を確認のうえ申し込みたい。定員が部門ごとに設けられている以上、希望者が多いエリアでは早めの判断が安全だ。
まとめ
PB1 CUPは、これまでの国内ピックルボールに足りなかった「予選から全国へ」という縦の動線を一本通す試みだ。北海道から九州までの8エリアで予選を行い、各エリア各部門から男女1名ずつが11月1日(予定)の全国決勝へ進む。Open・35+・50+の3部門構成は、トップ層だけでなく、年齢を重ねてから始めたプレーヤーにも現実的な目標を用意した。
住む場所でエリアが決まるルールは、地域代表という物語を成立させる一方、エリアごとの競技人口によって全国到達の難易度に差を生む。だからこそ、自分のエリアと部門の事情を見極めることが、出場を狙ううえでの実質的な準備になる。週末プレーヤーにとって「全国の舞台」が遠い夢でなくなったこの大会が、日本のピックルボール定着の一里塚になるかどうか、初年度の動きを見ていきたい。

