アリゾナ州スコッツデール近郊のRiverwalk開発地区で、世界最大の屋内ピクルボール&パデル施設「PURE Pickleball & Padel」の建設許可が正式に下りた。延べ床面積196,000平方フィート(約18,200平方メートル)、11.44エーカーの敷地に48面のコート、1,200席のチャンピオンシップアリーナ、8面のパデルコート、ルーフトップバーを備える。USA Pickleball本部の移転先にもなる計画で、MLP Phoenix Flamesのホームコートとしても機能する。
施設の全体像——48面コート+パデル+アリーナ
PURE Pickleball & Padelは、ピクルボール専用40面のトーナメントサイズコート(クッション素材+プロレベル照明)を中核に据える。これに1,200席の観客席を備えたチャンピオンシップアリーナと、8面のパデルコートが加わる。屋外には臨時コート12面と5,000席の仮設スタジアムを増設でき、全国規模のイベント時には最大60面まで拡張可能だ。
コート以外の付帯施設も充実している。Wolfgang Puckが手がけるレストラン&バー、ルーフトップパティオ&バー、プロショップ、HonorHealthが運営するスポーツパフォーマンス&リカバリーセンターが入居予定だ。
背景——900日の許認可プロセスを経て
建設許可の申請は2025年9月に提出され、約900日にわたる許認可プロセスを完了した。開発を手がけるのは不動産プライベートエクイティ企業のCaliber Co.と、PUREの共同創設者Kevin J. Berk(元AZ On The Rocks創業者兼社長)およびBrett Warner(全米ピクルボール5度の全国チャンピオン)だ。施設設計はDAVIS建築事務所が担当する。
立地はLoop 101東側、TopgolfスコッツデールとOdySea Aquariumの間に位置するRiverwalk開発地区内で、Salt River Pima-Maricopa Indian Community(先住民族自治区)の管轄下にある。Qualified Opportunity Zone(QOZ)に指定されており、認定投資家向けのQOZファンドも設立されている。
施設スペック一覧
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 延べ床面積 | 196,000平方フィート(約18,200m2) |
| 敷地面積 | 11.44エーカー |
| 屋内ピクルボールコート | 40面(トーナメントサイズ、クッション素材) |
| 屋内パデルコート | 8面 |
| チャンピオンシップアリーナ | 1,200席 |
| 屋外拡張時 | 最大60面+5,000席仮設スタジアム |
| 飲食 | Wolfgang Puckレストラン&バー、ルーフトップバー |
| リカバリー | HonorHealthセンター(コールドプランジ・赤外線サウナ・ジャグジー) |
| 開業予定 | 2027年 |
USA Pickleball本部移転とMLP Phoenix Flames
施設の最大の注目点は、ピクルボールの米国統括団体であるUSA Pickleballが本部をPURE内に移転する計画だ。統括団体の本部と最大級の競技施設が一体化することで、ルール策定・選手育成・大会運営のハブとなる。
さらに、MLPのアリゾナ州チーム「Phoenix Flames」のホームコートとしても機能する。MLP 2026シーズンが20チーム体制で始動した中、専用ホームアリーナを持つチームはまだ少なく、Phoenix Flamesの競争優位につながる。
業界関係者・地元の反応
共同創設者のKevin J. Berkは、スコッツデール地域でのスポーツ・エンターテインメント施設運営の経験を生かし、単なるコート施設ではなく「コミュニティの拠点」を目指すとしている。Brett Warnerは全米5度のチャンピオンとしてのプレーヤー目線を施設設計に反映させた。
不動産業界からは、Riverwalk開発地区全体の価値向上に寄与するとの評価が出ている。TopgolfやOdySea Aquariumと並ぶ集客施設として、地域の観光・レジャー産業へのプラス効果が期待される。
一方で、2027年開業までにピクルボール市場の成長が鈍化するリスクを指摘する声もある。Axiosが報じたコート増加率の鈍化データを踏まえれば、大規模投資の回収シナリオは慎重に見る必要がある。
日本のプレーヤーへの影響
PURE Pickleball & Padelは、米国でのピクルボール・ツーリズムの新たな目的地となる。48面のインドアコート、Wolfgang Puckの飲食、スパ施設を備えた複合施設は、海外からの遠征プレーヤーにとっても魅力的だ。
日本国内でも、コート不足や騒音問題でピクルボール施設の拡充が課題となっている。PUREの「コート+エンターテインメント+リカバリー」という複合モデルは、日本の施設計画にとっても参考になる設計思想だ。
施設ビジネスへの波及——コートだけでは稼げない時代
PUREの事業モデルは、コートレンタル収入だけに依存しない多角的な収益構造を志向している。Wolfgang Puckレストラン、HonorHealthリカバリーセンター、プロショップ、ユースアカデミー、MLP試合のチケット収入——これらの複合収入が施設の採算を支える。
Apolloの2.25億ドル投資やMLPの拡大が示すように、ピクルボール産業は「プレーの場」から「体験の場」へと進化している。PUREはその最前線に位置する施設となるだろう。
まとめ——2027年開業に向けて
PURE Pickleball & Padelは、196,000平方フィートの世界最大屋内ピクルボール施設として2027年の開業を目指す。USA Pickleball本部移転、MLP Phoenix Flamesのホーム化、Wolfgang Puckレストラン併設と、単なるコート施設を超えた「ピクルボールの聖地」を標榜する。建設許可の取得で計画は具体的なフェーズに入った。スコッツデールがピクルボールの世界的中心地になるか、今後の進捗を追っていく。