アリゾナ州スコッツデール近郊のRiverwalk開発地区で、世界最大の屋内ピクルボール&パデル施設「PURE Pickleball & Padel」の建設許可が正式に下りた。延べ床面積196,000平方フィート(約18,200平方メートル)、11.44エーカーの敷地に屋内40面のピクルボールコート+8面のパデルコート、1,200席のチャンピオンシップアリーナを備える。Wolfgang Puckが手がけるレストラン&バー、HonorHealthのスポーツパフォーマンス&リカバリーセンター、プロショップなども併設される。USA Pickleball本部の移転先に指定されており、MLP Phoenix Flamesのホームコートとしても機能する予定で、開業は2027年を目指している。
施設スペック——屋内40面のピクルボールコート+8面パデル+複合施設
PURE Pickleball & Padelは、ピクルボール専用40面のトーナメントサイズコート(クッション素材+プロレベル照明)を中核に据える。これに1,200席の観客席を備えたチャンピオンシップアリーナと、8面のパデルコートが加わる。屋外には臨時コート12面と5,000席の仮設スタジアムを増設でき、全国規模のイベント時には最大60面まで拡張可能だ。
コート以外の付帯施設も充実している。Wolfgang Puckが手がけるレストラン&バー、ルーフトップパティオ&バー、プロショップ、HonorHealthが運営するスポーツパフォーマンス&リカバリーセンター(コールドプランジ・赤外線サウナ・ジャグジー対応)、ユースアカデミーが入居予定だ。
背景と開発体制——900日の許認可プロセスを完了
建設許可の申請は2025年9月に提出され、約900日にわたる許認可プロセスを完了した。開発を手がけるのは不動産プライベートエクイティ企業のCaliber Co.と、PUREの共同創設者Kevin J. Berk(元AZ On The Rocks創業者兼社長)およびBrett Warner(全米ピクルボール5度の全国チャンピオン)だ。施設設計はDAVIS建築事務所が担当する。
立地はLoop 101東側、TopgolfスコッツデールとOdySea Aquariumの間に位置するRiverwalk開発地区内で、Salt River Pima-Maricopa Indian Community(先住民族自治区)の管轄下にある。Qualified Opportunity Zone(QOZ)に指定されており、認定投資家向けのQOZファンドも設立されている。
施設仕様一覧
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 延べ床面積 | 196,000平方フィート(約18,200m2) |
| 敷地面積 | 11.44エーカー |
| 屋内ピクルボールコート | 40面(トーナメントサイズ、クッション素材) |
| 屋内パデルコート | 8面 |
| チャンピオンシップアリーナ | 1,200席 |
| 屋外拡張時 | 最大60面+5,000席仮設スタジアム |
| 付帯施設 | Wolfgang Puckレストラン&バー、ルーフトップバー、プロショップ、HonorHealthリカバリーセンター、ユースアカデミー |
| 開業予定 | 2027年 |
USA Pickleball本部の移転先に——統括団体とトップ施設の一体化
施設の最大の特徴は、ピクルボールの米国統括団体であるUSA Pickleballが本部をPURE内に移転する計画だ。統括団体の本部と最大級の競技施設が一体化することで、ルール策定・選手育成・大会運営のハブとなり、PUREはピクルボール業界の中心地としての位置づけが確定された。
MLP Phoenix Flamesのホームアリーナ化
さらに、MLPのアリゾナ州チーム「Phoenix Flames」のホームコートとしても機能する。MLP 2026シーズンが20チーム体制で始動した中、1,200席の専用アリーナを持つチームは限定的であり、Phoenix Flamesの競争優位につながる。
多角的な収益構造——コートだけでは稼げない時代へ
PUREの事業モデルは、コートレンタル収入だけに依存しない多角的な収益構造を志向している。Wolfgang Puckレストラン、HonorHealthリカバリーセンター、プロショップ、ユースアカデミー、MLP試合のチケット収入——これらの複合収入が施設の採算を支える。単なるコート施設から、複合的なエンターテインメント・ウェルネス施設へと軸足を移す戦略が明確に打ち出されている。
Apolloの2.25億ドル投資やMLPの拡大が示すように、ピクルボール産業は「プレーの場」から「体験の場」へと進化している。PUREはその最前線に位置する施設となる見通しだ。
市場環境の変化と開業リスク
一方で、2027年開業までにピクルボール市場の成長が鈍化するリスクも指摘されている。Axiosが報じたコート増加率の鈍化データを踏まえれば、大規模投資の回収シナリオは慎重に見る必要がある。施設の運営実績と市場動向がどう関連するか、注視することが重要だ。
日本の施設計画への参考モデル
PURE Pickleball & Padelの「コート+エンターテインメント+リカバリー」という複合モデルは、日本国内でも参考になる設計思想だ。国内ではコート不足や騒音問題がピクルボール施設の拡充を制約しており、多機能施設による相乗効果の実現が課題となっている。Wolfgang Puckのような高級飲食、医療グレードのリカバリー設備、競技とエンターテインメントの融合は、日本のスポーツ施設にも新しい可能性をもたらす可能性がある。
今後の確認ポイント
建設許可の取得により、計画は具体的なフェーズに入った。2027年開業に向けた以下の進捗を注視する必要がある:USA Pickleball本部移転の正式契約化、施設内のレストラン・アカデミー・リカバリーセンターの事業者確定と開業予定時期、MLP Phoenix Flamesとのホームコート契約の詳細、QOZファンドの投資状況である。建設許可から開業までの実現可能性、および市場環境の変動への対応が、施設の長期的な成功を左右する主要な要素となる。

